状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

書けない人間

説得力の塊のような文章を見つけたので、いつでも読み返せるようブックマークしたついでにここにも貼っておこうと思う(無断転載とかにあたらなきゃいいけど…)

文章を「書ける人」と「書けない人」のちがい

インプット過多の常にごちゃごちゃした頭で、考えを整理して文章なり会話なりで人に伝える能力が著しく低い自分は典型的な「書けない人」なので、書く作業を習慣づけたいなと思う。思うだけなら誰でもできるのだけれど。

「窮屈さ」の研究

 窮屈の原因は何なのか、と真面目に考えてみる。

 
   高校生の頃の自分は、ある意味で健全で真っ当な、どこにでもいるような男子高校生らしい悩みを抱えていた。定期考査の度に築く赤点の山、部活では上手い後輩の活躍で試合の出番が減る一方で、クラスではなんとなくキャラが定まらない。ロッキングオンがよくやる90年代特集の号を買ってはスマパンペイヴメントウィーザーあたりをひたすら聴きまくる、典型的な冴えない学生だ。
  進学校だったので、1年の頃から志望大を第3志望まで書かされ、模試もしょっちゅう受けさせられていた。大学に進学するのは当たり前、受けるからには少しでもレベルの高い大学を受けましょう、そんな流れが完全に出来上がっていたが、そこについては特に窮屈さは感じなかった。「そういうものだ」という暗黙の了解のようなものの不気味さは感じていたが、真っ当な毎日馬鹿騒ぎをしている同級生たちもそのあたりは諦めているというか、まあ大学生になればきっと一人暮らしもできて好きなことをやる時間も持てて、やりたいことはいくらでもできるさ、と大人しくコツコツ勉強していた。教師たちや親に上手いことコントロールされていたのかもしれない。それでも何人かは、中退してフリーターになった後自衛隊に入った奴や、震災をきっかけに思うところがあって、とボランティア活動をすると言い残していなくなった奴がいた。それはそれでかっこいい生き方だと思う。そうやって強烈にやりたいことなどみつからないし、専門性の高い方面に進むことは他を選ぶ選択肢を消すことになるし、あと数学出来ないし、など理由をごねた自分は文系の大学生になったのだった。
 
 
   合格したのは地元の大学だったが、なんとか親を説得し一人暮らしが出来ることになった。「学生」という一応の肩書きがあり、時間は余る程あり、ないのはお金くらい、という素晴らしい時間だったと思う。そんな誰かのお伺いを立てなくても好きに時間を使えて好きなところへ行くことができる、好きなだけ好きなことをできる環境は幸せだった、最初の2年くらいは。この時期の自由さ加減を考えるとやはり実家暮らしにうんざりしている現状は一人暮らしを始めれば解決する気がしなくもない。
  
  

客観なんて無理

http://jp.vice.com/others/who-are-you-sekiguchi

VICEというメディアがある。様々なテーマのネット記事が手軽に読めていい。その中でも「Who Are You」という企画がある。一般の方から公募し、選ばれた方にゆるいインタビューをするという趣旨だ。選んでいる基準はわからないけれど、たぶんなんとなく面白そうな人を本当に適当に選んでるんだと思う。内容としては現在の仕事の話、趣味の話、どこで生まれどう育ってきたかの経歴、初恋の人の話、今後やりたいこと、などなど。特にこれと決めたテーマがあるわけでもないので質問は思いつくままという感じだし、インタビューというより普通に会話してる雰囲気がよい。2ページの記事を読み終えた頃にはその人の人となりをなんとなくわかった気になる。

   自分がこれ出たらどんな感じになるのかな… と想像してみたんだけど、客観的に読んで面白い記事になる気がしない。第一インタビュアーさんが興味を持って深く突っ込んでみようという要素が何もないのではないか… と少し悲しくなった。

居場所の話

   今現在、自分にはいくつの「居場所」があるのかと考える。この場合の指す「居場所」とは、自分の帰属というか「肩書き」であったり、所属しているグループのことだ。誰かがこのグループに電話をかけて、「そちらに〇〇(僕)は居ますか?」と言ったときにそこの誰かが「ああ、〇〇ならウチのものです」とか言ってくれる、つまり僕の存在を認めてくれている場所。

まずは家族だろう。
次に職場。
あと、例えとは離れているが恋人もそうかも
友人のグループで2つくらい。

この中で、心から信頼できる人間しかおらず、なんでも相談できるというグループが無い。

ネットカフェの個室

・最近一番落ち着く場所だ。

・自分の中での夏が始まったなー、と感じる瞬間は多分金曜ロードショーで毎年7月ころ放送されるアニメ映画版「時をかける少女」を観ること、深夜家を抜け出し自転車でコンビニへ行きカップのシャーベットアイスを買ってくること、ひとりで海へ出かけてぶらぶらして特に何もせず帰ること、などがある(今年はどれもしなかった。時かけは放送がなかった)。そして夏の終わりと言えば、隣町の花火大会の音を聞きながらアジカンのマイワールドを聞くことと、友達と手持ち花火でひとしきりはしゃいだ後最後に線香花火をすることだろう。今日は夜がやたら涼しく、夏が終わったというセンチメンタルな気分になってしまった。もう少ししたらコンビニに行くけど、普通にコーヒーと煙草を買うと思う

・今年度の目標の一つに「素直になる」があったんだけど、最近を振り返るとしょうもない嘘をつきまくっていて笑える。その場しのぎの小さい嘘のつき重ねで結果的に自分の首を絞めてる、って事態が多すぎる。

・スーパー自己嫌悪モードに突入すると「もう自分辞めたいな、いっそ生まれ変わるか10歳くらいからやり直したいな」と毎回思うんだけど、その後「これまでと同じ苦労をもう一度繰り返す、若しくはもっと酷い人生があるのかもしれない、そんなハイリスクなこと出来ないな」と思い直してやり直したい欲求が消え、ビールでも飲むか…となる、その繰り返し

・先日受けた職場の研修で「2人組でペアになり一方が1分間相手に話をする。一回目は聞き手は何のリアクションもしてはいけない、目も合わせず完全に無視する。2回目話し手は同じ話をし、聞き手は全力で相槌を打ちリアクションをする」という作業があった。人材育成会社から派遣されてきた講師の意図としては「聞き手の態度としてのリアクションの大切さ」とかを説きたかったんだと思う。僕はこのワークで「話し手」になったんだけど、講師の「じゃあ話すテーマは自分が一晩中でも喋り倒せる一番語れる自信のあるものにしましょう」という指示で完全に混乱してしまって「俺にとって一番語れるものは何だ…スターウォーズネタか?ギャラガー兄弟の話か?恩田陸の小説?たまごかけご飯についてかはたまた宮崎あおいについてか、いやペアワークの相手はおしゃべりでちょっと可愛い同期の女子だ、「さっきのワークであいつキモくて…」とか同期女子グループで言われたらもう職場にいけない)とかを10秒くらいの間にごちゃごちゃ考えた挙句、小学生時代に好きだったNBA選手の話を割と無難に話し、2回目の終わりに「へーバスケやってたんだねー」とというどうでもよさそうなリアクションを貰って何とも微妙な感じで終わった。とてもモヤモヤしたって話。

・同期の話。仲の良い男の同期4人で給料日に焼肉を食う会があり、他にも定期的に飲んだりダーツをするゆるいグループにたまに顔を出していてそれ以外の同期と絡みは特にない。研修で同時入社50人と顔を合わせて久々にみんなで飲んだ。


好きな枡野浩一の短歌5選

 
   学生のあなたの夏を聞きながら
   働く日々がわが夏休み
 
 
さっぱりした感じが好きだ。年下の彼女が欲しくなる…コメントの文章がよかった。「映画館へ、海へ、朝顔市へと飛びまわる彼女の話に、笑ったり感心したりしながら、頭の中を真っ白にして働いた。彼女の長い長い夏休みを思うことが、休暇をとれない僕の夏休みだ、と思っていた。」
 
 
 
 
   いつの日か疎遠になろう俺たちも
 小夜楢岳の人生の中
 
 
「さよならだけの人生の中」と読む(多分)。
一番好きかもしれない。
 
 
 
 
    無理してる自分の無理も自分だと
 思う自分も無理する自分
 
 
小説「ショートソング」の中で、この句に魅せられて短歌の世界に入ったハタチの沖縄美女が主人公の片方(モデルは明らかに枡野浩一本人)に会いに来て、その日のうちにセックスする、という話がある。「ショートソング」についてはいつかしっかり感想を書きたい。とにかく読んでほしい。漫画版もある。
 
 
 
 
   こんなにもふざけたきょうがある以上
   どんなあすでもありうるだろう
 
 
仕事がボロボロで毎日日付けが変わる頃帰宅していた頃、通勤のバスでこの句を読み、なんとか乗り切ろうという気になれた。
 
 
 
 
   だれからも愛されないということの
 自由気ままを誇りつつ咲け
 
 
短歌は短いだけあって最初目にした時に瞬間的に「よい!」となるか否かの判断ができてしまうのが面白いと思う。もちろん何度も読み返してじわじわ来るのもあるんだけど。(個人的に「スルメ短歌」って呼んでる)これは見た瞬間スッと入ってきて、今でも最高にクールだと思う。しかし単行本の「淋しいのはお前だけじゃな」に「恋してるからって急に いい人になっちゃ駄目だよ 物書きでしょう?」という短歌があり、これは昔好きだった人に「最近、書くものに毒がなくなったんじゃない?」と言われて詠んだらしい。
 
 
 
2006年、集英社文庫「ショートソング」
2008年、集英社文庫「淋しいのはお前だけじゃな」(どちらも著:枡野浩一
より引用
 
 
2017.3.25 追記
そういえばこれを忘れていた、漫画版「ショートソング」のカバーにあるやつ。見つけたのは奇しくもバンドを自分の都合で勝手に抜け、就活準備を始めた頃、スーツ姿のときに寄ったブックオフだった。人生こういうことがあるからなんだかなあ、と思う。あのとき抜けたことには特に後悔はないのだけれど。
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