状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

近況

 ・バンドについて

   バンドをやっていて、2017年に入り1ヶ月半ほど、ひたすらそれにに注力している。もちろん平日の昼間は仕事だが、週2,3のペースで夜はスタジオに通う日々。先週からはレコーディングも始まった。そして2月中には3回のライブ、3月には初めての自主企画が控えている。目が回るような忙しさだし毎回のクオリティが落ちないか心配なところではあるけれど、量をこなすことが大事な時期だと信じてやっている。CDをたくさん売りたい。

   思えば去年の5月末、毎日22時を過ぎるデスワークと仕事が出来ない自分への失望感からどん底の日々を過ごしていたタイミングでこのバンドに誘われた。最初は「余裕がない」と断ろうとしたが、いつの間にかさらっと加入し気が付けば学生の頃より熱中して密度の濃い活動をしている。人生わからないものだ。こういった時自分を拾ってくれたメンバーやライブで出会ったバンド仲間に感謝を述べるのがよくある流れだけど薄情な人間なのでそこまで思ってない。自分は運がいいなあとか思ってる。そういうところ嫌な奴だよなと思う。それより、自分たちで作り上げた曲がCDとなって世の中に出たということが一番感慨深い。

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   創作における一番のロマンは、やはり自分たちの作品が形として残り、全然知らない誰かが後にそれを見たり聴いたりしたときに感動する、そんな可能性があるところにあると思う。100枚限定で作った(焼き増しするかもだけど)このCDが10年後くらいに誰かの手に渡って、その誰かがバンドを始めるきっかけになったら、とか、人生救われた、とか(ないとは思うけど)思ってくれたら、なんて妄想をしてニヤニヤしている。残業終わりのボロボロの身体で楽器を背負いスタジオに駆け込み、寝不足のまま連日のレコーディングをこなして出来上がった4曲は素人臭さが滲む拙いものだけど、そんな言い訳は売るときには出来ないし、10年後に手にとってくれる人にはきっとそんな背景は知らない。あるのは曲となんだか意味深なアートワークだけ。形として残るというのはそういう美しさがある。

 

 

・本の話

   バンドにかなりの時間とエネルギー(あとお金も)を割いているせいでなかなか自分のためだけの趣味が手につかない。読書は滞っており枕元にはいわゆる「積ん読」本が積み重なっている。それでも帰宅途中に寄る本屋で買いたい本は買ってしまうため、消化不良を起こす。しかし本を選び、レジに持っていくあのワクワク感をいまだに忘れてない自分は素直に嬉しい。最近なんてとても楽しみにしていた旅行の朝起きた瞬間、くらいしかワクワク感なんてないのに、本選びだけは特別で、色褪せない。良い本に出会いたい。

   恩田陸直木賞を獲った。めでたい。

翌日にはもちろん探すまでもなく本屋にコーナーが出来ており、例によってワクワクしながら買って帰った。早く読みたいなと思いつつ机の上に置いてある。今週末こそ読み始める。f:id:ngcmw93:20170213225728j:image

 

 

・ドラマの話

   バンドではなくテレビのほう。「カルテット」が面白い。「面白い」では全然足りない、

自分の中で殿堂入りしている「彼女が死んじゃった。」「ロングラブレター」「白い巨塔」といった名作に第3話でもう並んだもしくは超えたことを確信した。満島ひかり演じるすずめが掘り下げられた第3話。松たか子との蕎麦屋での会話がもう、本当に素晴らしかった。演技と脚本が上手いドラマってこんなに面白いんだな、と改めて思えた。

    小道具や台詞や登場人物の仕草が暗示するところについて想像するのはとても面白い。勝手な考察をみんなでワイワイ言ってるのも楽しい。けれど自分なりの分析や感想を文章で書いてみたいよな〜とか思ってるうちに毎回書かずじまいだし、もうすっかり有名なこの方のブログを読めば全て書いてあるので、というか凄過ぎて何も書きたくなくなり、もう満足してしまう。

坂元裕二『カルテット』3話 - 青春ゾンビ

   考察の精度が高いのはもちろん、坂元裕二作品をおそらく全部観てるからこそ出来る他作品との比較やモチーフの由来まで触れていて、ほんとに凄い。このレベルの説得力ってここまでやらないと出せないのかと途方に暮れる。本当に好きなんだろうな、好きじゃなきゃ出来ないよなと思って読んでる。愛がある。

 

今後の抱負を書こうと思うが書けない。自分は4月始まりの手帳をずっと使ってそれに1年の指針を書いて動いているつもりなので、4月になったら書きたい。とか言ってると絶対に書かない。もう少し強い意思を持つ、とか目標にするべきなんだと思う。

新潟市内のレコードショップ探訪

知ってるお店だけ。探せば他にもあるかも

 

1.Bullet

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http://bullet.shop-pro.jp

 

 

2.loopsoundscape

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Bulletと同じ建物の2階にある。

ハウス、テクノあたりがメイン。

 

3.SHE Ye,Ye Records

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http://www.sheyeye.com

2009年頃からあるらしい。

 

4.shabby sic ポエトリー

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行ったら休みだった図。

別の日に行ったらやってた。基本土日のみ。

haruka nakamuraのカーテンコールが入り口のキャンバスに飾ってあって素敵でした

 http://shabbysicpoetry.jp/about/about.html

 

上記4つは距離的にとても近い。

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いずれも駐車場がないが、コインパーキングと提携しているところもあるので駐車してハシゴできるはず。

 

5.KING KONG

 

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古町ローサ地下街の一番奥にある。陳列されているレコード数ではおそらく新潟で一番多い。CDやDVD、書籍もあり、中古の家具や家電、古着まで置いてありサブカルショップといった感じ。雑多な感じがよい。

サイトを見ると大阪が本店で、全国に4店舗あるらしい。新潟店もかなり昔からあるそう。

http://www.kingkong-music.com

 

6.TRANE

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ライブハウスGOLDEN PIGSのすぐ近く。

ジャズを中心に扱っているらしい。

 

7.R.STOCK

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新潟市西区寺尾にある。西大通りから少し入った場所。

割とメジャーどころも多く置いていてとっつきやすい。

小さな恋のメロディ」のサントラを買ったことがある。

CDも置いている。

 

◯ 番外編

HEIWA

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 レコードは扱ってないんだけれど、めちゃくちゃ渋い佇まいの店が近所にある。演歌とJ-POPのCDがメイン。というか殆ど演歌。店内の半分は「ナルニア」というフェアトレード製品の店になってる。

 

 

ゼミの思い出

正月で暇なのでゼミの思い出話を書く。

 

   大学では日本史のゼミに入っていた。日本近代史の専門。

ゼミは楽しかったので真面目に取り組んでいたし卒論もそれなりに頑張った気がするが、勉強した内容を覚えていないところからしてそういうことなんだと思う。文系のゼミとは大体そんなものかなとも思う。

   大抵のところは毎回ひとりが文献の要約をレジュメにまとめてきて、その読み合わせで終了、というパターンが多いと思うけれど、うちは大体全員に毎回何かしらの役目が与えられるので毎週のゼミの前に作業が必要だったし、ディスカッション的なことも行われていたのでまだマシな方かもしれない。大学図書館にない文献はよく県立図書館や文書館へ探しに出た。フィルムで保存されている当時の新聞を読むのが好きだった。

  

   先生が個性的な人だった。主に近世の日本と諸外国の貿易や文化の伝来など、国際関係がメインらしい。研究熱心でしょっちゅうロシアなど海外に出張するので、ゼミがひと月まるっと休講になることもしばしばあった。おみやげは決まって不味いチョコを買ってくる。

   先生は、大学教授が本来やらなければいけない事務手続きに非常に疎く、学生がどの単位を取れば卒業できるか全然把握していなかった。もちろんそのあたりは学生が自分で把握しとくべきはずなんだけれど。しかし先生は自分の開講しているゼミの正式な講義名や受講している学生の名前・人数すら把握していなかったので(総勢15人くらいだった)、相当な部類だと思う。どうしても必要な事務は代々ゼミの院生が引き受けていた。半期ごとに課される一万二千字のレポートを書き上げて見せに行くと、「どの単位が欲しい?」と聞かれ、欲しい単位の講義名を紙に書くとそのゼミ以外の講義のものでも単位をくれるのだった。なんでもありかよ。

それでも解説は丁寧で、質問にも逐一調べて答えてくれたので、本当によい先生だったなと今更感じる。学部のほかの学生からは人気はなかったようだけど。というかそもそも存在をあまり認知されていなかった。

 

   大学教授に時々いる、妙に子供じみたところがある人間にまさに当てはまる人で、ゼミ旅行で行った熱海では学生よりはしゃいでいた。尋常でなく酒が強く、乾杯のビール以外ひたすらウイスキーかバーボンをダブルで飲むのでそれに付き合うと次の日のゼミは出れなくなる。

他にもエピソードはたくさんあるのだけれど、先生ネタはあまり書きすぎると簡単にバレそうなのでやめておく。

 

 

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   ゼミ室は学部棟の8階にあった。とても居心地がよい場所だったので、3年の秋~4年の夏にかけて、公務員試験の勉強のために土日も含めほとんどの時間をこの部屋で過ごした。

バイトを辞めてひどく貧乏な時期でもあったので、光熱費の節約にもなった。一時期に至っては家にいる時間より長く居たかもしれない。ボロい家電がやたら充実した部屋だった。きっと卒業生が処理に困って寄付していったんだと思う。

   学生街で飲み会が終わった後、酒をしこたま買い込んでゼミ室になだれ込み、そのまま朝まで2次会、なんてこともよくやった。ソファーはさすがになかったので椅子をつなげて寝て、次の日朝イチのゼミで発見される奴もいた。

   いまだにそういう阿呆なことやってるのかな、一切なくなってたら淋しいな、と思っていたけれど、最近飲んだ後輩に聞いたところ相変わらずやっているらしく、なんというか愛おしい気持ちでいっぱいになった。

迷子になりたい

    迷子になりたい。正確には「あー、自分いま迷子になってるな…」という状態に憧れてる。

 

   思えば物心ついた頃からずっと同じ街に住み、絶対に親元から出て違う場所に住むぞ…と決めていながら大学進学も上手くいかず結局街を出られず、そして就職はまあここまできたら、と同じ街に留まった。恐ろしいことに10日以上連続してこの街以外で起きたことがない。

 

   息苦しい実家暮らしに飽き飽きして、休日にどこか遠くへ行きたいな、と当てもなく車を走らせることがある。でも、「どこか知らない場所」のことを指しているであろうその「どこか」はどこにもない。20年も住んでいれば周囲の地域はどこに何があるかなんて全て知っているからだ。

 

   自分のことを知る人が誰もいない、誰にも干渉されない土地で、ひとり静かに暮らしたい。

   こんな些細な望みすら叶わない世の中は辛い。

SuiseiNoboAz「the end of the world vs vinyl bukuro」

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   suiseinoboazのライブDVD。2011年11月13日に代官山UNITで行われた2nd発売後のツアー最終日が収録されている。

 

    凄まじい熱量とメンバーの演奏の巧さ、ロックバンドの格好良さの全てが表現されている最高のライブだと思う。カメラワークも抑えめの演出も全てが好き。少しだけ残念なのは中盤から石原さんの声が枯れてしまっているのと、ギターが粗い点くらい。

 

    オープニングで流れているSEが結構好みの曲だったのでsoundhoundというアプリで調べたところ、Domoticというフランスのアーティストの「I hate you forever」という曲だった。因みにこの曲が収録されたアルバムのタイトルは「Ask for tiger」。本編の11曲めに演奏される曲はここからの引用だと推測される。それにしても曲中に「タイガーの炊飯ジャー」なんて歌詞があるバンドは他にいないと思う。このツアーのタイトルもそうだし、この人たちの訳のわからないクールさが大好きだ…。

 

   個人的に大好きな「shoegzer」と「64」も聴くことができて嬉しい。たいていの曲のソロで踏まれるファズの音は常に最高だ。3rdに入っている「tokimekinishisu」が古い曲だとは知らなかった。ほぼアルバム収録時と同じバージョンで演奏している。

 

   アンコールで登場したときに「東急ハンズで買った」というピンク色の雨ガッパを着てくるんだけれど、これはピンク・フロイドへのオマージュなのだろうか…。そういうアー写があったような。「メキシコかアイダホ」で最高潮の盛り上がりを見せる。というかストレートで観客がノリやすい曲ってこれくらいしかない気が。一番最後に演奏される「happy 1982」はブリブリのベースが秀逸で(どれもそうなんだけど)、「大事なものから順番に 砂をかけて隠しても 猫の粗相のスピードには追い付けない」って歌詞が好き。理由はない。もはやボアズの専売特許といっても良いアウトロでのテープエコーによるノイズ演奏→メンバー紹介→電源落として締める、という美しい終わり方。マイクスタンドにガムテープで固定されたギターから発せられるノイズをバックに、肩にテープエコーを担ぎ、右手にshureSM58を持って観客を見やる石原正晴、ロマンしかない。

   タイトルにあるとおり、このDVDはケースが透明なビニール袋に入った状態で売られていた。そういう姿勢がいちいちクールだ。公式HPに掲げてある1stのジャケの絵と「Love me or leave me」の台詞もそうだけれど、石原さんの一貫した美意識がバンドの立ち位置、色、格好良さにそのまま現れているんだと思う。こういうバンドがいてよかった。

語り得ないもの

    ここ最近、自分の頭の中がひどくごちゃごちゃしているのを感じる。元から自分の考えを整理できない人間で、大事なことを人に伝える時は一度話をシミュレーションしてから話題にする癖をつけていた。しかしタイミングというのは大抵自分で選べないことが多いし(特に仕事など)、言葉が足りなかったり、変な伝わり方をしたり、結局消化不良に終わることばかりであーあ、また伝わらなかった、と悔しい思いをする。

   会話としての言語化が苦手なら文章があるじゃないか、せめて文章なら、とこうしてブログを書こうとしてみたり、仕事終わりの喫茶店でノートに向かってみるけれど、頭の中にある考えを文章として綺麗にまとめ、伝えたい人に伝える状態として出力することがどうも出来ない。せいぜいメモ書きの何行かで止まってしまう。
   そもそも今ここで言っている文章化したい対象、頭の中に確かにあるのにアウトプットしたいけど出来てない考とは何なのか、というと自分が毎日感じ考えている物事、聴いた音楽、観た映画、読んだ小説の感想だったりする。言いたい事、体験した感想、それらを文章として残したい、もしくは文章化して頭の中を整理したい、そういった目的で書こうとしてるのに、どうにも文章が出てこないのだ。もどかしいことこの上ない。

    大学1年の頃、「シネマワークショップ」という講義をとっていた。週一回、2講義分の時間をぶち抜きで使い、一本の映画を見てグループで感想を伝え合う。そして翌週の講義でそれぞれグループ毎に映画について好きな観点からの考えを模造紙(大洋紙といいたい…)にまとめてプレゼンする、という内容だった。
    取り上げた映画は「ニュースの天才」「JUNO」「ニューシネマパラダイス」など、毎回講師が選び、ジャンルは様々だった。他にももう2本くらいあったはず。どの映画の回か忘れたが、プレゼンで印象的なやりとりがあった。どこかのグループが、「主人公の言葉では表現できない何かについて」みたいなひどく曖昧なタイトルでプレゼンをした。内容はあまり覚えてないが、喋っていたそのグループのリーダー役は結論をまとめきれておらず、最後には「主人公には…なんかこう… 言葉じゃ説明できない何かこう…葛藤があったと感じました!」と締め括った。それに対して講師は「その『何か』を上手く言葉で説明してくれなきゃ」と至極真っ当な指摘をしたのだった。

   プレゼンを聞いていた僕も指摘は「ですよね〜」と聞いていたが、確かにその映画の中で表現されていた主人公の悩みや行動は説明が難しいのは事実だと感じた。言ってしまえば、「それは、映画を観て感じてください」としか言いようがない。もしかしたら撮った監督もそう言うのでは?むしろそうであってほしいくらい。


   何が言いたいかというと、客観的な批評はあくまで客観で、本質を伝える言語化は本当に難しい。けれどもそれを承知で言語化しないと無理な話だ、ってこと。…全然まとまってないけれど。