状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

座席の選択

   煙草吸いたい〜と喫茶店に入り、入り口から座席に着くまで10歩くらいの間にサッと座席を見渡す。喫煙席には2人掛けの席が横並びで5つあり、左端、真ん中、右端と埋まっている。必然的に2組の間に座るしかない。左端のJK2人組はかなり喧しくしている。真ん中はソロのリーマンなので無害。右はおばさんソロ。JKも悪くないけど五月蝿いのはちょっと、と右から2番目に着地し、注文する。本読もう、と開いたところで隣のおばさんの向かいにギャーお待たせ〜と最悪のボリュームでもうひとりのおばさんが到着し、旦那の悪口大会が始まる。同時にJKたちが席を立ち、端から大音量のおばさんトークを浴びながら5つある席の片側にリーマン2人が寄っているという不思議な構図が出来上がる。当然読書どころではない。

 

   と、こういう感じを2,3回連続して経験してから座席選びの選択力について考えてた。結局は運なんだけど。この喫茶店は立地的に最高なので店は変えたくない。なんとかならないものか。入り口からの10歩で瞬時に場を読み、最善の選択を導き出す能力。難しい

私を構成する9冊

 

1.「ブラザーサン・シスタームーン」恩田陸

ブラザー・サン シスター・ムーン

 

2.「ノルウェイの森村上春樹

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

 

3.「ハーモニー」伊藤計劃

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

 

 

4.「夜は短し歩けよ乙女森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女

 

5.「青が散る宮本輝

青が散る (文春文庫 (348‐2))

 

6.「スカイ・クロラ森博嗣

スカイ・クロラ (中公文庫)

 

7.「GO」金城一紀

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8.「ダヴィンチ・コードダン・ブラウン

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉

 

9.「アルケミストパウロ・コエーリョ

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

 

    全冊それぞれに文章を書きたいんだけれど、ここには絶対書ききれないので時間を見つけて随時書きたい。恩田陸は「球形の季節」「六番目の小夜子」あたりの初期の青春モノ3部作と迷った。「蛇行する川のほとり」も捨てがたい。でも自分を「構成する」といったら高校時代に読んで、あらゆる小説の中で一番読み返してるこれかな、と選んだ。その意味で、どうしても中学、高校時代に読んだ青春モノが多くなる。ダンブラウンなら「天使と悪魔」の方が話としては好きかもしれないけど、最初に読んで面白さに衝撃を受けたのはやはりこれ。映画も良かったし。世界史が好きになるきっかけになったしこの本の影響で中世ヨーロッパ史について調べまくった。「青が散る」は読後一番胸にぐっときた小説だ。これについては大学生になる前に読んでしまったのはある意味間違いだったかも。その他の本も何度も読見返したものばかりだ。捻くれず、カッコつけずに選んだ結果の9冊。

   僕が一番本を読んだのは中学生の頃だと思うけれど、そのきっかけになったのは浅田次郎の「王妃の館」だと思う。底抜けに面白くてあんなにゲラゲラ笑いながら読んだ本はあれが唯一だと思う。今読んでも小説ってこんなエンターテイメントできるのか、と感動する。所詮お金のない中学生なのでハードカバーなどもちろん買えず、(でも「ブラザーサン〜」は発売日に買った)親の本棚にある本を片っ端から読むことしかできなかった。この頃村上春樹も一通り読んだがいまいち分からず、後に「1Q84」が出た時ハマり、改めて全部読むことになった。叔父が置いていった「坂の上の雲」と「竜馬が行く」の影響もかなり大きく、大学の専攻は近現代史ゼミを選んた。あとは地元の図書館へ通った。9冊に挙げた青春小説はここで借りて読んだものが殆どだ。学校の図書館はあまり利用できなかった。バスケット部に所属していたのだけれど、本を読んでいると部活の友達に馬鹿にされる、という思い込みがあったので。その後高校は忙し過ぎて全く本から離れてしまい、暇な学生になってから少しずつ読みだして今に至る。

   他に候補に入った本として、児童書という括りにされているけど「モモ」とか「ゲド戦記」とか「ナルニア国物語」とか、小学生の頃読んだファンタジーものがいくつかあった。大人になってから読む新書やらハウツー本やら自己啓発本の類いなんて物はどれだけ読んだところで、純粋だった子供の頃読んだ1冊のファンタジーにも敵わないと思う。あの頃の読書が一番楽しかったかもしれない。いまこの文章を売っていても、あの頃の1冊読むごとに自分の世界が広がっていく興奮が思い出される。そのうち「指輪物語」でも読み直してみようかなと思う。

 

最近考えていること

 

・様々なアイデアは浮かぶのに、それを上手く言語化して人に伝える、もしくは文章に残したり、形として残る作品をつくる、という作業に結びつかない。「時間がない」「お金がない」そんな言い訳を並べてずっと前に進めない。もやもやとした感情を抱えつつ、けれど何かをやろうと企んで構想を練っている、といる現状、そのぬるま湯になんとなく満足してしまっており、なかなかそれ以上前に進めない。そんな状況に慣れてしまっている。

・何かきっかけがあれば、しかしその「何か」とはなんだ?一生訪れないかもしれないし、今がその時なのかもしれない。大きな計画を前にしてワクワクする気分、そんなもの長らく忘れてしまっている。何か新しい場所に飛び込み、新しい物事を始めるときに付きものの不安と期待が入り混じって胸が弾けそうなあの感じ、もう一度感じてみたいと頭のどこかには感じている。それに気付きつつ、なんとなく続く毎日に生かされて、30を過ぎる頃にはそれも消えて行くのかな、と諦めに似た寂しい感情も抱いて暮らしている。

・23歳、新卒で就職し、公務員としての仕事も順調、趣味としてのバンドもコンスタントに活動して作品も作った、人生満足してるかしてないかといえば割と満足だ。しかしこんなものでいいのか、もっと劇的に人生を変えるような、もしくは残りの人生すべてをかけても惜しくないような何かを見つけ、それに全てを捧げるような生き方をして観たくないか?
それを探してる途中、という言い訳を重ねて行くうちに守るものも増えて臆病になり、ついにはこの感情も消えてしまうのかもしれない、大人になるとはそういうこと、なんて使い古した言い回しは使いたくないが、それが一番幸せに近づく方法なんだろうなとめ気付いてしまってる自分が嫌だ。10年先に思い返して、今この時期が人生の分岐点だったねなんて思い返し後悔してももう遅い。

 

23歳の夏の午後は近い

近況

 ・バンドについて

   バンドをやっていて、2017年に入り1ヶ月半ほど、ひたすらそれにに注力している。もちろん平日の昼間は仕事だが、週2,3のペースで夜はスタジオに通う日々。先週からはレコーディングも始まった。そして2月中には3回のライブ、3月には初めての自主企画が控えている。目が回るような忙しさだし毎回のクオリティが落ちないか心配なところではあるけれど、量をこなすことが大事な時期だと信じてやっている。CDをたくさん売りたい。

   思えば去年の5月末、毎日22時を過ぎるデスワークと仕事が出来ない自分への失望感からどん底の日々を過ごしていたタイミングでこのバンドに誘われた。最初は「余裕がない」と断ろうとしたが、いつの間にかさらっと加入し気が付けば学生の頃より熱中して密度の濃い活動をしている。人生わからないものだ。こういった時自分を拾ってくれたメンバーやライブで出会ったバンド仲間に感謝を述べるのがよくある流れだけど薄情な人間なのでそこまで思ってない。自分は運がいいなあとか思ってる。そういうところ嫌な奴だよなと思う。それより、自分たちで作り上げた曲がCDとなって世の中に出たということが一番感慨深い。

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   創作における一番のロマンは、やはり自分たちの作品が形として残り、全然知らない誰かが後にそれを見たり聴いたりしたときに感動する、そんな可能性があるところにあると思う。100枚限定で作った(焼き増しするかもだけど)このCDが10年後くらいに誰かの手に渡って、その誰かがバンドを始めるきっかけになったら、とか、人生救われた、とか(ないとは思うけど)思ってくれたら、なんて妄想をしてニヤニヤしている。残業終わりのボロボロの身体で楽器を背負いスタジオに駆け込み、寝不足のまま連日のレコーディングをこなして出来上がった4曲は素人臭さが滲む拙いものだけど、そんな言い訳は売るときには出来ないし、10年後に手にとってくれる人にはきっとそんな背景は知らない。あるのは曲となんだか意味深なアートワークだけ。形として残るというのはそういう美しさがある。

 

 

・本の話

   バンドにかなりの時間とエネルギー(あとお金も)を割いているせいでなかなか自分のためだけの趣味が手につかない。読書は滞っており枕元にはいわゆる「積ん読」本が積み重なっている。それでも帰宅途中に寄る本屋で買いたい本は買ってしまうため、消化不良を起こす。しかし本を選び、レジに持っていくあのワクワク感をいまだに忘れてない自分は素直に嬉しい。最近なんてとても楽しみにしていた旅行の朝起きた瞬間、くらいしかワクワク感なんてないのに、本選びだけは特別で、色褪せない。良い本に出会いたい。

   恩田陸直木賞を獲った。めでたい。

翌日にはもちろん探すまでもなく本屋にコーナーが出来ており、例によってワクワクしながら買って帰った。早く読みたいなと思いつつ机の上に置いてある。今週末こそ読み始める。f:id:ngcmw93:20170213225728j:image

 

 

・ドラマの話

   バンドではなくテレビのほう。「カルテット」が面白い。「面白い」では全然足りない、

自分の中で殿堂入りしている「彼女が死んじゃった。」「ロングラブレター」「白い巨塔」といった名作に第3話でもう並んだもしくは超えたことを確信した。満島ひかり演じるすずめが掘り下げられた第3話。松たか子との蕎麦屋での会話がもう、本当に素晴らしかった。演技と脚本が上手いドラマってこんなに面白いんだな、と改めて思えた。

    小道具や台詞や登場人物の仕草が暗示するところについて想像するのはとても面白い。勝手な考察をみんなでワイワイ言ってるのも楽しい。けれど自分なりの分析や感想を文章で書いてみたいよな〜とか思ってるうちに毎回書かずじまいだし、もうすっかり有名なこの方のブログを読めば全て書いてあるので、というか凄過ぎて何も書きたくなくなり、もう満足してしまう。

坂元裕二『カルテット』3話 - 青春ゾンビ

   考察の精度が高いのはもちろん、坂元裕二作品をおそらく全部観てるからこそ出来る他作品との比較やモチーフの由来まで触れていて、ほんとに凄い。このレベルの説得力ってここまでやらないと出せないのかと途方に暮れる。本当に好きなんだろうな、好きじゃなきゃ出来ないよなと思って読んでる。愛がある。

 

今後の抱負を書こうと思うが書けない。自分は4月始まりの手帳をずっと使ってそれに1年の指針を書いて動いているつもりなので、4月になったら書きたい。とか言ってると絶対に書かない。もう少し強い意思を持つ、とか目標にするべきなんだと思う。

新潟市内のレコードショップ探訪

知ってるお店だけ。探せば他にもあるかも

 

1.Bullet

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http://bullet.shop-pro.jp

 

 

2.loopsoundscape

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Bulletと同じ建物の2階にある。

ハウス、テクノあたりがメイン。

 

3.SHE Ye,Ye Records

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http://www.sheyeye.com

2009年頃からあるらしい。

 

4.shabby sic ポエトリー

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行ったら休みだった図。

別の日に行ったらやってた。基本土日のみ。

haruka nakamuraのカーテンコールが入り口のキャンバスに飾ってあって素敵でした

 http://shabbysicpoetry.jp/about/about.html

 

上記4つは距離的にとても近い。

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いずれも駐車場がないが、コインパーキングと提携しているところもあるので駐車してハシゴできるはず。

 

5.KING KONG

 

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古町ローサ地下街の一番奥にある。陳列されているレコード数ではおそらく新潟で一番多い。CDやDVD、書籍もあり、中古の家具や家電、古着まで置いてありサブカルショップといった感じ。雑多な感じがよい。

サイトを見ると大阪が本店で、全国に4店舗あるらしい。新潟店もかなり昔からあるそう。

http://www.kingkong-music.com

 

6.TRANE

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ライブハウスGOLDEN PIGSのすぐ近く。

ジャズを中心に扱っているらしい。

 

7.R.STOCK

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新潟市西区寺尾にある。西大通りから少し入った場所。

割とメジャーどころも多く置いていてとっつきやすい。

小さな恋のメロディ」のサントラを買ったことがある。

CDも置いている。

 

◯ 番外編

HEIWA

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 レコードは扱ってないんだけれど、めちゃくちゃ渋い佇まいの店が近所にある。演歌とJ-POPのCDがメイン。というか殆ど演歌。店内の半分は「ナルニア」というフェアトレード製品の店になってる。

 

 

ゼミの思い出

正月で暇なのでゼミの思い出話を書く。

 

   大学では日本史のゼミに入っていた。日本近代史の専門。

ゼミは楽しかったので真面目に取り組んでいたし卒論もそれなりに頑張った気がするが、勉強した内容を覚えていないところからしてそういうことなんだと思う。文系のゼミとは大体そんなものかなとも思う。

   大抵のところは毎回ひとりが文献の要約をレジュメにまとめてきて、その読み合わせで終了、というパターンが多いと思うけれど、うちは大体全員に毎回何かしらの役目が与えられるので毎週のゼミの前に作業が必要だったし、ディスカッション的なことも行われていたのでまだマシな方かもしれない。大学図書館にない文献はよく県立図書館や文書館へ探しに出た。フィルムで保存されている当時の新聞を読むのが好きだった。

  

   先生が個性的な人だった。主に近世の日本と諸外国の貿易や文化の伝来など、国際関係がメインらしい。研究熱心でしょっちゅうロシアなど海外に出張するので、ゼミがひと月まるっと休講になることもしばしばあった。おみやげは決まって不味いチョコを買ってくる。

   先生は、大学教授が本来やらなければいけない事務手続きに非常に疎く、学生がどの単位を取れば卒業できるか全然把握していなかった。もちろんそのあたりは学生が自分で把握しとくべきはずなんだけれど。しかし先生は自分の開講しているゼミの正式な講義名や受講している学生の名前・人数すら把握していなかったので(総勢15人くらいだった)、相当な部類だと思う。どうしても必要な事務は代々ゼミの院生が引き受けていた。半期ごとに課される一万二千字のレポートを書き上げて見せに行くと、「どの単位が欲しい?」と聞かれ、欲しい単位の講義名を紙に書くとそのゼミ以外の講義のものでも単位をくれるのだった。なんでもありかよ。

それでも解説は丁寧で、質問にも逐一調べて答えてくれたので、本当によい先生だったなと今更感じる。学部のほかの学生からは人気はなかったようだけど。というかそもそも存在をあまり認知されていなかった。

 

   大学教授に時々いる、妙に子供じみたところがある人間にまさに当てはまる人で、ゼミ旅行で行った熱海では学生よりはしゃいでいた。尋常でなく酒が強く、乾杯のビール以外ひたすらウイスキーかバーボンをダブルで飲むのでそれに付き合うと次の日のゼミは出れなくなる。

他にもエピソードはたくさんあるのだけれど、先生ネタはあまり書きすぎると簡単にバレそうなのでやめておく。

 

 

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   ゼミ室は学部棟の8階にあった。とても居心地がよい場所だったので、3年の秋~4年の夏にかけて、公務員試験の勉強のために土日も含めほとんどの時間をこの部屋で過ごした。

バイトを辞めてひどく貧乏な時期でもあったので、光熱費の節約にもなった。一時期に至っては家にいる時間より長く居たかもしれない。ボロい家電がやたら充実した部屋だった。きっと卒業生が処理に困って寄付していったんだと思う。

   学生街で飲み会が終わった後、酒をしこたま買い込んでゼミ室になだれ込み、そのまま朝まで2次会、なんてこともよくやった。ソファーはさすがになかったので椅子をつなげて寝て、次の日朝イチのゼミで発見される奴もいた。

   いまだにそういう阿呆なことやってるのかな、一切なくなってたら淋しいな、と思っていたけれど、最近飲んだ後輩に聞いたところ相変わらずやっているらしく、なんというか愛おしい気持ちでいっぱいになった。