状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を観た。正直な感想としては、面白くないとは言わないがうーん、イマイチ…という感じ。作画、音楽、声優さんの声、演技ははすごく好きだ。ただ中盤あたりからのストーリーがごちゃごちゃしていて(理解が足りないだけかもしれない)、クライマックス的なあるシーンの演出で完全に醒めてしまった。あと予告編が素晴らしかったために期待し過ぎたところがあったかもしれない。

 

以下、まとまった文章を書く気力がないため適当に書き散らす雑感メモ。

 

・予告編が出た時から一番グッときていたのがヒロインなずなと主人公典道の身長差だ。中学生の設定だったけど、中1だとまだ女の子の方が背が高くて大人びていたりする。浴衣姿の大人びたなずなを、まだあどけなさのある主人公が手を引いたり自転車の荷台に乗せていたりするの、本当にかわいい。良かった。

 

・なずなと典道は「駆け落ち」をする訳だけれど、お互いに「好き」と告白し合うシーンってなかった気がする。見逃しただけかな。最後水中でキスをするけど、台詞でも妄想でもはっきり気持ちを言い合っていないと思う。祐介には水泳で勝って花火に誘うときに「好きだから」とボソッと言ったけれど。嘘だったけれど。

 

・なずなの生みの父親が「例の玉」を持って海で死んでいたが、あれは彼もタイムリープしていたと言えるのだろうか?作中で全く触れずにあのシーンだけなので、考察のやり甲斐はあるが謎っぽい話を盛り込みたかっただけなのか?と少しモヤっとする。

 

・終盤のクライマックス、酔った花火師が上げた尺玉で町一帯を覆っていた幕が壊れ、2人の「もしも」がガラス片?に写り走馬灯のように降ってくる、というシーンがクサすぎて萎えた。これがクライマックスかよ、と僕は不貞腐れてしまったが、あそこが一番良かった、という感想の人もいたので合わなかっただけかな。

 

・ラストシーン、なずなが居ないのはわかるが、典道もいないことの意味は?ただ想像にお任せします程度なのか。まさか東京へ駆け落ちしたオチじゃなかったし。原作版の後日談にあったという、なずなだけ居なくなった教室のシーンそのままで良かった気がする。

 

・音楽は凄く良かった。サントラ買おうか迷う。名曲「Forever  Friends」は岩井版のオリジナルの方がいいかな。

 

・やはりこのタイミングだと、題材が少し被る「君の名は。」とどうしても比べられてしまうのが可哀想。せめてこちらが先だったら。「ひるね姫」を観た時も思ったが、2時間程度の上映時間でひとつの物語を起承転結までやり切ることの難しさというものがある。風呂敷を広げ、時間内に誰から見ても綺麗に畳むという作業。その点君の名はって凄かったんだなと。「シン・ゴジラ」みたいに圧倒的な情報量をあのテンポのよさで詰め込めるのも凄いけれど、「打ち上げ花火」みたいなノスタルジーや恋愛的な要素がある青春モノだとそうは出来ない。台詞のないシーンや映像の演出で語るような余韻が必要だし。飛び出しは素晴らしかったのに、着地が出来ないこの感じ。偉そうなことも言いたくなる…。

 

・やや蛇足かもしれないけれど、ツイッターで感想を覗いてたらとある人がドラマ版のモテキ2話目を観ながら岩井俊二原作版「打ち上げ花火」を観ていた。原作版を撮影した千葉の某所を2人で聖地巡礼するという話。満島ひかりがいつかちゃん役なのが素晴らし過ぎる。というかあれを撮った大根仁が本作の監督だっけ?どのシーンも寸分違わないくらい岩井版をオマージュ(というか単なる聖地巡礼か)しているようで愛があって良かった。

愛と笑いの夜

 iPhoneのメモ帳に残っていた、今年の5月頃の飲み会の記録。ゼミの同期、後輩と男3人でただ集まって飲んだだけなんだけれど、単純にとても楽しい夜だったので文章にしておく。

 

 ある金曜日の夜、その飲み会は新潟の古町で決行された。古町は駅から徒歩20分はかかるし、僕以外の2人はまだ学生なので、街まで出てきてもらうのはちょっと遠くて悪いな、と企画してから思った。そして当日、2人は大幅に遅刻してきた。到着した2人はボロボロだった。後輩の方は少し前に右膝の十字靭帯を断裂しており、若干足を引きずって歩いていた。バイト中の事故だったらしい。どんなバイトだよ。もうひとりの方は2留しており、3度目の大学3年だったが、その日の講義をサボったせいで今期で受講が3回目となる必修を落としたとのことだった。ボロボロの学生2人が揃ったところで、とりあえず乾杯し、焼き鳥屋で一次会が始まった。

 2人の近況やゼミの状況(“2留”はゼミに出てないのでわからないようだったが)、大学周辺の飲み屋の変遷などひととおりの話題が終わった頃、入り口からうちの課の課長が入ってくるのが見えた。僕は職場では真面目な新卒2年目の爽やかな青年を演じているため、口には煙草を咥えた状態で、右側にはどう見てもカタギではない外見の体重90キロの元アメフト部、向かいには25歳なのに大学3年の引き篭もり(外見ではわからないだろうけど)を従えて飲んでる構図。あまり上司に見られたくない状況だった。しかし逃げ場は無かったので立ち上がって挨拶すると、課長は一瞬かなり驚いた顔をしたけれど、片目を瞑ってにっこりし「お互い、他人のふりな」と言った。いい人だと思う。その後もしばらく飲み、次の店に移動した。

 

   学生2人にわざわざ街中まで来てもらって飲む目的は、シーシャ屋に行くことだった。前回学生街でゼミ飲みをした際、シーシャ屋に行きたいな、と言ったらこの2人が乗ってきた訳だ。しかし2軒目にはまだ早いかな、と近くのクラフトビールが飲める店に入る。

   その店には結局3時間近く滞在した。後輩がつい昨日女の子にフラれたことをぶちまけたので大いに盛り上がり、気付けば店員の女性と店長さんの5人で恋愛談義になったからだ。完全に酔っ払った後輩はその子とのLINEの会話を見せてきたので4人で携帯を回してじっくり鑑賞したが、なかなかになかなかな内容だった。店長さんはかなり経験豊富らしく、デートの誘い方、一緒に出掛けた翌日の接し方、距離の詰め方、などなど様々なテクを教えてくれた。どれも成る程と思えるアドバイスだったが、あくまで僕のパターンですけどね、と一つの手段として参考までに、というスタンスなところが好感が持てた。一方の僕は大した経験もないのでアドバイスなど持ち合わせてなく、一般論しか言えなかった。こういう話題は専ら聞き役に回るのがいい。2留は爛れた恋愛しかしてこなかったようで、店員ちゃんとジョジョの話に興じていた。いよいよ酔って呂律が回らなくなった後輩が話題の女の子の写真を見せてきたが(専用のフォルダがあった)、めちゃめちゃに可愛かったので店長とプロレス技を掛けようとしたが2人とも簡単に組み付されてしまった。アメフト部は強すぎる。ドイツの黒ビールが美味しかったが名前を忘れた。シュトロハイムは2部に出てくる軍人だしな…。

   時間は23時を回っていた。終電で各々の家に帰るなら駅に向かわなくてはならない。かなり酔っ払った状態で通りに出ると、肩を貸さないと歩けない人、側溝に半分落ちた状態で寝ている人、客引きのお姉さんと会話にならない会話をしている人など、金曜の夜の飲み屋街はカオスな活気に満ち溢れていた。お酒に飲まれた学生が駐車場に行き倒れてたり、虚空に向かって喚き散らしたりしていた学生街の風景が思い出された。2留がどこも変わらねえな、と言って煙草に火を点けた。僕はなんだかとても楽しい気分だった。ここでなんとなく写真を撮ったんだけれど、全部ぼやけている。

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この写真は僕も写っているため、自分で撮った訳ではないのだが、誰が撮ったのか全く記憶にない。サニーデイサービスのアルバム「愛と笑いの夜」みたいで気に入っている。

 

   終電に乗らない選択をし、3軒目は念願のシーシャ屋へ入った。注文の仕方もさっぱりわからなかったので教えてもらいつつ、適当にシナモンとバナナのフレーバーと、ミントのフレーバーを注文した。あのインドっぽい吸入パイプのついた金具に火をくべ、フレーバーを入れていたが器具の観察より隣のソファで乳繰り合ってたカップルが気になった。そのカップルはすぐ居なくなり、狭い店内のほかを見渡すとなかなかに独特でいい空間だった。Macで何かの作業をしている人、ジェンガをする女の子たち、ポロポロとアコギを弾いてる男、などなど、煙の向こうでみんな気怠そうに何かの作業をしていて、でも取り組んでいるものはあくまで暇つぶしで心ここに在らず、という雰囲気が共通していた。僕にそう見えただけかもしれないが。

   後輩は火の鳥を手に取ったがすぐに眠ってしまった。僕たちもやっぱ望郷篇だよな、わかる、でも未来編も好き…と推し篇の話をしつつ少し読んだが、結局オセロをやった。2留はさっきオセロ世界一の人の試合ユーチューブで観たんだ、と言って僕を圧倒した。

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    オセロを何ゲームかしたあと、2人で様々な話をした。漫画の話、小説の話、就活の話、旅行の話、などなど。2留は地元には数人友達がいるらしく、最近大洗へガルパン聖地巡礼に行ったんだ、と楽しそうに話した。僕が7月にタイに行くんだ、と言うと大麻やるなら絶対バレないようにうまくやれよ、と言われた。あとハングオーバー2を観ることをおすすめされた。

 

   居心地がよく、シーシャもずっと吸ってられるのでかなり長い時間いたが、結局後輩を叩き起こして外に出た。夜の街のカオスは治まって静かだった。近くのラーメン屋にはいる。当然のように大盛を頼む2人に現役学生の若さを見せつけられた。

    信じられないことに、このラーメン屋に3時間くらい滞在した。映画の話で盛り上がったからだ。

   2留のスマホの待ち受けは口が裂けたピエロの写真だった。僕がヒース・レジャーだ、と指摘すると彼はめちゃめちゃ嬉しそうにわかるか、もう死んじゃったけど、とダークナイトの話をし始めた。バットマンシリーズでも一番の傑作だと思う。ヒース・レジャーがジョーカー役の役作りの為、ホテルの部屋に閉じこもったエピソードなどを語り合った。一瞬でラーメンを食べた後輩が暇そうで悪かったので、エイリアンの話をした。エイリアン1のラスト、宇宙船に穴が空きエイリアンが掃除機の吸引みたいに外に吸い出されるシーンの最高さ加減について真剣に語り合った。これ以上ない最高のスプラッタ映画だ。しかし2001年宇宙の旅然り、スターウォーズのローグワンのラスト然り、生身の人間が一瞬ハッチの向こう、宇宙空間に出るシーンがあるがその辺判定甘いのどうなんだ、絶対死ぬしダメでしょ…。しかし後で見返したところローグワンはダースベイダーだったし、奴の服は宇宙服も兼ねてるらしいと結論付けられた。そこから、我々が小学生の頃金曜ロードショーでやっていた名作を語り合った。コマンドーハムナプトラバックトゥーザフューチャー、ダイハード、ホームアローンタイタニック、タクシーシリーズ、ミッションインポッシブル、マトリックス… なんであんなに面白かったんだろう、いやいま見ても面白いんだけれど、なんか小学生の頃リビングで夜更かしして観たあのワクワク感ってなんだったんだろう。あの頃のシュワちゃんってこの世で最強だと思ってたし2015年にはホバーボートをみんな乗り回してると信じてたよな、あの感じってもう帰ってこないんだろなあ…と最終的に感傷的になってしまった。

   2留は映画クラスタであり、ネットフリックスに入ったことが引き篭もりに拍車をかけているようだった。あの24が全部見れちゃうんだぜ、とジャック・バウアー役のキーファー・サザーランドが子役時代スタンドバイミーの不良グループのボス役として出演していたことを教えてくれてまじかよと愕然とした。そしてしきりにロードオブザリングの「王の帰還」で呪いが解けた王が目覚めるシーンのモノマネをするのだった。ちゃんとして卒業してほしい、と思いつつこいつにはずっと学生やっててほしいとも思う。

 

   朝方、始発前の駅まで歩いた。帰り道にウォークマンomoide in my headとアパルトの中の恋人たちを聴きながら帰った。時々でいいから、またこんな夜があればいいなと思う。

喫煙所の話

   先日遊園地に行った。中学生の頃にディズニーランドへ行った以来なので10年ぶり。田舎にポツンと建っているその遊園地は、いい感じに寂れていてなんとも言えない情緒があった。店員さんもシルバー人材センターから来ました、みたいなおじいさんばかりで、皆さんアロハシャツを着ており、非常にのんびりとした空気が流れている。適当にジェットコースターに乗ったら割とスリルがあった。スピードの恐怖よりも老朽化の心配からくる部分が大きかったかもしれない。クライマックスの景色が良く、調子いいときのバンドでの演奏中みたいな無敵感を味わえた。滞在2時間くらいだったがなかなか楽しめた。

   遊園地の隣にボートレースのチケットが買える施設があった。正式名称は競艇場外発売場というらしい。スポーツ新聞を小脇に抱えたジャージ姿のおじさん、アル中の雰囲気を漂わせた爺さんなどが賭け事に興じようとウロウロしている空間だった。親子連れが遊びに来る夢の国である遊園地と、何処となく退廃的な空気を醸し出す競艇場が駐車場を共有して隣り合っている構図が、なんとも趣深いな、と思った。

 

   退廃的、なんて書いてしまったがその競艇場はとても綺麗で、窓際に広い喫煙所があった。遊園地への待ち合わせに遅れた連れを待つ間、僕はその喫煙所に座り、2本ほどタバコを吸いながらボートレースを観戦した。

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   ベランダは遊園地の入場ゲートが正面に向いており、父親が家族サービスの一環なのか子供たちの手を引いて向かっていくのがよく見えた。この喫煙所を作った人に他意はないと思うが、競艇場と遊園地、というあまり相容れない2つの構図の断絶を見せつけられているようで、昼間から賭け事に興じている親父たちに何を見せつけてるんだ、と思ってしまった。別に競艇を悪く言っている訳ではない。こっちに来る家族もいるし、全く健全な趣味だ。ボートレース観戦面白かったし。というわけで(?)喫煙所に興味を持った。

 

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   時々行く大型銭湯の喫煙所。広くてよい。風呂に入った後の綺麗な体で喫煙所に入り煙に巻かれるのは嫌だが、大抵風呂上がりは煙草を吸いたくなる。食事の後に吸いたくなるのもそうだけれど、物事や作業が終わったタイミングで吸いたくなるのはなにかメカニズムがあるのだろうか。ただ単に席を立ち喫煙所にいくのに区切りがいいからか。わからない。

   

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  自転車で行ける距離にある銭湯に併設されているコインランドリー。実質喫煙所になっている。好きなくたびれ方をした空間だ。平成一桁年代のジャンプが置いてある。誰か捨てろよ。背表紙は日焼けがひどくもはや読めない。

 

 

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   好きなバーガーショップの喫煙スペース。あまり煙が充満しているところでハンバーガーは食べたくないので、別の席で食べてからアイスコーヒーだけ持って来ることが多い。ずっとビートルズが流れてる。狭くて落ち着く。

 

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    俺たちのコメダ珈琲の喫煙所に、1人掛け用でやたら勉強部屋みたいになってる席がある。あまり座ろうとは思わない。

 

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    少し前に山形の酒田へ行ったときに泊まった宿。素泊まり3,000円の安さの割に快適だった。こういう日当たりの良い縁側的スペースが大好きだ。よく旅館とかにある窓際の椅子とテーブルが置いてあるあのスペースも。正式名称は「広縁」というらしい。

 

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最後に最近見つけた一番好きな喫煙所。某新潟市内の映画館の入り口横に、普通は気付かないくらいの隙間があり、半楕円?みたいな形のスペースとなっている。映画を観終わってぼうっとしたい時に一服するのに丁度良い。

 

タイ旅行記②

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タイ旅行の記録の後半。

 

◯3日目

   前日にシンハービールをたらふく飲んだ割には早朝に目が覚める。ホテル内を探検して屋上で煙草を吸った。隣のホテルはプールがついていたが当然誰も泳いでいなかった。

 

   この日は近場の寺院と王宮を見て、買い物をして移動、夜10時に空港から日本へ帰国、の予定。朝食は昨日とほぼ同じメニューを食べた。タイ版の仮面ライダーみたいなのをテレビでやってたんだけど、主人公が全ての敵を登場から10秒くらいで光線発射して倒すので強さがわからない。テンポが良すぎる。B級パチモン感が凄くてかなり面白かった。

   枕元の台に少しだけチップを置いてチェックアウトする。5分くらい歩いてから僕が腕時計を忘れたことに気づき、慌てて戻る。カタコト英語で部屋に時計を…とフロントのおばさんに話してたら掃除のおじさんがコレかね、と持って来てくれた。めっちゃ感謝したしもっとチップ置いとけばよかったと思う。

 

   最初に王宮を観に行こうとバス停を探す。街を歩くと改めて日本企業の多さが目につく。セブンイレブンとかトップバリューとかめっちゃある。

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   日本のお菓子とか普通に売ってる。タイ語表記もあるけど、基本的にパッケージは日本と一緒。伊勢丹は前日の夜見つけた。

   

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   バスに乗ってなんとか王宮に辿り着く。地元の人々はみんな黒い喪服を着ている。王宮は相当に広かったが、おびただしい数のひとが参列していた。先代のプミポン国王(ラーマ9世、本名:พระบาทสมเด็จพระปรมินทรมหาภูมิพลอดุลยเดช)が亡くなったのは2016年10月と地球の歩き方にあったので、もう1年もタイの国民は喪に服してこうして王様の参拝を熱心にしていることになる。そういえば街中至る所にに祭壇みたいなものがあり、プミポン国王の写真が飾ってある。よっぽど慕われた人だったらしい。

 

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王宮入り口の橋は周りは黒い幕が張ってあった。持ち物検査とパスポートの提示を求められる。

 

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街中にこれがある。お供え物も

 

   いくらだったか忘れたが、王宮見学はなかなかの値段を取られた。これだけの施設の維持管理にはまあ金掛かるよね、とも思う。

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王宮内は撮影禁止だったので(あんまり)写真なし。

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次にワット・ポーを観た。王宮から歩いて割とすぐ。

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上の写真の最後、ワット・ポーの中でも一番壮大な仏像の前でお坊さんが記念撮影してたのが最高に面白かった。タイは一生に一度は全員が出家しなければならないらしく、きっとこの人たちも最近出家してとりあえずワット・ポーに来て「まあ、来たからにはせっかくだし記念に撮っときます…?」くらいの感じで写真撮ってもらったんだと思う。周りの目を気にしつついいかな…、いいよね…?って感じでやってて微笑ましかった。

 

   昨日のアユタヤはやはり遺跡、というだけあって雨風や戦乱でボロボロになってたところも多く、侵略者が征服した際に破壊したままで保存されていたりと生々しい歴史を感じられたけれど、この日行った寺院はどこもいたって綺麗で、場所によってはかなり豪華だった。仏教が深く国に根付き信仰されているのはよくわかったが、ある意味綺麗すぎてつまらないところもあった。

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 あとワット・ポーの一角で、小学生くらいの子供たちが黒板を目の前に授業を受けていた。寺は学校の役割も果たしているのか?でも学校の建物は普通にその辺にあるし子供たちは綺麗な制服を着ていたので貧しいから寺でしか学べない、とかでもなさそうだった。第一、この日は日曜日だったし。なんだったんだろうあれは。協会みたいに日曜日は寺で説法を聞こう、みたいなやつなのか。色々考えたがわからない。

 

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昼飯はトムヤンクンを食べる。本場のはやはりパクチーがガッツリ効いてる。美味しかった。スイカジュースもうまい。

どこの店に行っても大抵飲み物は7UPとファンタとコーラは置いてある。必ずストローがこうやって挟まれて出てくる。

 

 初めてトゥクトゥクに乗って移動。

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スリルが凄い。地元走りすぎて怖い。動いてる車の微妙な隙間でもガンガン入って行く。そこまでスピード出さなくていいよ、そろそろ死ぬよ、と思ってる間に着いた。

 

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バックパッカーの聖地、ことカオサンロード。

 

思ってたほど大したことない。活気がある、お店がなんでも揃ってる通り。Tシャツ、雑貨といったお土産屋、カフェ、マッサージ屋、タトゥー彫り屋などなど。あとやっぱり外国人が多い。

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 カフェでコンビニで買った煙草を吸った。銘柄は何があるのかわからなかったのでレッドのやつ!と頼んだらマルボロだった。写真がエグい。

通りを往来する人々をボーッと眺めてたらなんだかすごく心地よかった。改めていま外国来てるんだな、という実感と明後日の今頃またスーツ着て働くなんて信じられない、随分と遠くまで来たもんだな、とぼんやり考えていた。

 

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ここで買ったぞうさん柄のズボンとサンダル。超快適。

もっと早く買えばよかった。

 

今度は地下鉄に乗り、エアポートレールリンクの沿線へ戻る。

 

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 マックスバリューに入ってみた。普通によく見る商品がたくさん。友達はプリッツトムヤムクン味をアホほど買ってた。鮭マヨはイマイチ美味しくなかった…。

 

   その後も少し街を散策し、だいぶ満足したので空港に移動することに。またエアポートレールリンクで郊外へ向かう。

   この旅行は本当は3人で来る予定だったが、銀行員の友達が上司に休暇申請を断られたせいで直前にキャンセルになった経緯があった。可哀想な友達の為にいくつかお土産を買い込む。

 

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   タイ最後の晩餐は空港のタイ料理屋でナシゴレン的な何かを食べた。相方はグリーンカレーを頼んだんだけど辛すぎてひと口目で涙目になり、店員さんを呼んでディスイズトゥースパイシー、プリーズモアスイート…と泣きながら訴えてた。迷惑極まりない。店員さんはハァ、って感じでお皿を持って引っ込み、白いクリームをかけて持ってきてくれた。辛さはあまり変わってなかった。仕方なくボロボロになりながら完食してた。この3日でシンハーハイネケンも浴びるほど飲んだけど、やっぱハイネケンが一番美味いなと思う。

 

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   無事登場し、帰国。手荷物検査の列に並んでた時に前にいたゴツい金髪の白人さんが首に「枝」とタトゥーが入っていたのは何故?と討論したが答えは出なかった。空港に着くと報道陣が詰めかけており、警備員さんに誰か有名人が来るんです?と聞いたら高梨沙羅選手が帰国するらしいですよ、と教えてくれた。ミーハーなので少し待ったら遠目ですごく小柄な女性がぺこぺこ頭を下げながら通っていくのが見れた。その後黄色いユニフォームを来た集団がいたが、それは来日してたドルトムントチームの見送りだったらしい。地下鉄、新幹線と乗り継ぎ、昼には家に着いた。金曜の朝出て、月曜の昼に帰宅した3日半の旅。これ以上長ければ疲れただろうし、短ければ物足りなかったと思う。全てが丁度よかった。

 

   飛行機のチケットを押さえたのは3ヶ月前だったが、宿の予約をしたのは出発の20時間前、観光先の打ち合わせは成田へ向かうバスの中、というあまりにも無計画な旅行だった割には上手いこといったなあと思う。次はもっと近場で香港か台湾を攻めてみたい。

 

 

 

   

タイ旅行記①

f:id:ngcmw93:20170718124751j:image   2017年7月14日〜17日の日程で人生2度目の海外旅行へ行ってきた。行き先はタイ、友人と男2人旅。現地で過ごしたのはだいたい2日半、飛行機で日を跨いだので2泊4日の旅行だった。コンパクトなからとても楽しい旅行になったので書き留めておこうと思う。

 

◯1日目

   新潟駅から上越新幹線と京成バスで成田空港へ。航空会社のカウンターでチェックインし、手荷物検査と出国審査を終えたところで相方が予約していたwi-fiルーターをレンタルし忘れたことに気付く。空港ロビーへは戻れそうもない。潔く諦める。あと検査でニュージーランドで20ドルくらいで買った栓抜き付き多機能ライトが引っかかり、泣く泣く処分した。というかナイフがついていたことにそこで初めて気付いた。多機能過ぎて知らなかったよ。特に思い入れはなかったが勿体無いことをしたと後悔。若干不安を覚えつつ搭乗。このとき14日12時ジャスト。

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   機内は冷房が効きすぎていて寒い。航空券がかなり安かったのでてっきり食事は出ないものと思っていたが出た。初機内食。味付けがもうタイだった。なかなか美味しい。じゃがりこは持ち込み。

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   窓際の席ではなかったので、景色はよく見えなかったが映画を観れたので「湯を沸かすほどの熱い愛」と「インターステラー」を続けて観た。英語だとタイトルはHer love boils bathwaterらしい。杉咲花のファンなんだけれどやはり演技上手い。一番泣けるシーンは探偵の男が幼い娘に、人は死んだらもう会えない、天国にいるお前の母親は死んでいて、だから母親にはもう会えないんだと死の概念を伝えるシーンだ。

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   あとはローリング・ストーンズキューバでのライブ映像を見るなどして過ごした。到着前には牧場しぼりと思われるアイスの提供まであった。満足。

 

   現地時間の16:30にタイのスワンナプーム空港に到着。日本との時差が2時間あり、6時間フライトしたが2時間巻き戻っている。少し得した気分。カウンターでwi-fiルーターをレンタルする。対応してくれたのは若くて可愛い女性だった。が、こちらが英語が全くわからないため手惑った。3日間借りたい、というのは伝わったが、訳がわからない額のお金を請求される。5分ほどジェスチャーでやり取りした挙句、そのほとんどはデポジットで、返したら帰ってくるらしいことを理解。3日後無事にここへ来れたらあの優しいお姉さんと写真撮ろう、と相方と話し合った。

 

    バンコクの街中へは空港に直結しているエアポートレールリンクという高速鉄道を使う。森が生い茂っているところから急に高層ビルが建ち並ぶ都会に出るので、発展途上国感がすごい。マッカサンという駅で降りる。

f:id:ngcmw93:20170718124521j:imagef:id:ngcmw93:20170718124538j:image ここまでずっと屋内だったので、駅で降りたところでようやく、「タイに来たぞ!」感を味わった。まずは匂い。生活臭というか、食べ物の匂い、排気ガスの匂い、植物の匂いなどあらゆる匂いがごちゃ混ぜになり街中に漂っている。一番に異国情緒を感じたのはそれだった。どこの通りも所狭しと屋台が建ち並び、果物やらジュースやら焼き鳥のようなものを売っていた。衛生状態とか心配になったが案外すぐに慣れた。大きな幹線道路には夥しい数の車とバイクが行き交っている。信号はあまりない。広い道路の十字路には流石にあるが、ちょっとした曲がり角とかには基本ないので、「渡るぞ!」とアピールし勇気を持って車を停めさせなければならない。

   活気に満ちた街に感動しつつ、マッカサン駅から歩いて15分くらいのホテルに着く。

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非常にわかりづらいところにあったが、旅先のテンションで迷うのすら楽しかった。ここでも1000パーツのデポジットを取られ、部屋に入る。6階建ての6階。

   f:id:ngcmw93:20170811070950j:imagef:id:ngcmw93:20170811071007j:image ドリアンの持ち込みが厳しく制限されてて笑った。

 

   荷物を置いてすぐに夜の街へ。

   バンコクの夜、といえば歓楽街とゴーゴーバーだろ、と思うけどこの日はまだ初日だし、まだ銀行でバーツに両替してないから手持ちほとんど無いし、と言って近場を散策して夕飯を食べる程度にしておいた。パッタイとよくわからないスープを食べたが美味しかった。全てにパクチーが入っている。あと食べてる最中に突然停電して面白かった。10秒くらいで復旧したけど。よくあるらしい、流石発展途上国だ。

f:id:ngcmw93:20170811071600j:imagef:id:ngcmw93:20170811071615j:imagef:id:ngcmw93:20170811071644j:imagef:id:ngcmw93:20170811071724j:image

 部屋に帰りシャワーから戻ると、相方がテレビの配線をいじっている。音が出ないらしい。適当にチャンネルを回すと、アニマックスがあったので無音で金田一少年の事件簿らんま1/2を観る。2晩泊まったが、ホテルではずっとアニメを観ていた。翌日には音が出たし。らんま可愛い。

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ビールを飲む。スナック菓子がめちゃ美味い

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◯ 2日目

   翌朝、ホテルで朝食を食べ、9時に出発。ホテルの人にサワディークラップ(発音的にはサワディカー、って感じ)と挨拶するとニッコリと返してくれる。さすが微笑みの国だ。この日の予定は終日アユタヤ遺跡観光。天気が心配だったが快晴だった。

   アユタヤへ鉄道で行くには、クルンテープという駅に行く必要がある。グーグルマップによると徒歩45分。地下鉄に乗って行くつもりだったが、街を歩きたいね、となって結局頑張って歩くことになった。早朝の散策はなかなか楽しかった。

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日本語が微笑ましい感じになってる。街を歩いていると、露天の人やトゥクトゥクのおじさんになぜか日本人と判断されて「おいしい!」とか「ありがとう!」とかクソ適当な日本語で話しかけられる。他にもアジア人はたくさんいるのに、どうして見分けられるんだろうか。

 

f:id:ngcmw93:20170811141839j:imagef:id:ngcmw93:20170811141924j:image 途中で川沿いに出たので水上マーケットが見れるかな、と期待したが走っていたのは超高速の水上乗合バス?だけだった。

f:id:ngcmw93:20170715101125j:plainf:id:ngcmw93:20170910181729j:imagef:id:ngcmw93:20170715100639j:plain   道を歩くと猫がたくさんいる。みんな人懐っこくて触らせてくれる。

 

   グーグルマップを頼りになんとか歩いてクルンテープ駅にたどり着いたが、この日は土曜日だったため事前に調べていたダイヤでは電車は走っていないことが判明。どうしよ、と途方に暮れていたらアナタ日本人?アユタヤ行く?と日本語ができるおばさんに話しかけれられる。ガイドの人らしく、こちらのたどたどしい英語とおばさんのなぜか関西訛りの日本語でなんとかタクシーでアユタヤ1日観光がお得で便利、ということがわかり紹介してもらう。アユタヤどうやって観光するん?と聞かれてバイウォーク!と僕が答えたらなんでやねん!と強烈にどつかれて笑った。アユタヤの遺跡は街に点在しており、回ろうとしたらトゥクトゥクに乗るか自転車レンタルをすることになるらしい。全く下調べしていないことを反省しつつおばさんにお礼を言い、タクシーに乗った。

 

   高速を140キロくらいでブッ飛ばすタクシーは怖かったが気持ちよかった。アユタヤ遺跡はアユタヤ県にある。40分弱で着いた。レートが良さげなところで1万円分バーツに両替する。

    見たかった主な遺跡は全部見れた。しかし写真はどれがどれだか忘れたので適当に載せておく。

f:id:ngcmw93:20170910140324j:imagef:id:ngcmw93:20170910140341j:imagef:id:ngcmw93:20170910140428j:imagef:id:ngcmw93:20170910140443j:imagef:id:ngcmw93:20170910140504j:imagef:id:ngcmw93:20170910140545j:imagef:id:ngcmw93:20170910175444j:imagef:id:ngcmw93:20170910175523j:imagef:id:ngcmw93:20170910175541j:imagef:id:ngcmw93:20170910175600j:imagef:id:ngcmw93:20170910175629j:imagef:id:ngcmw93:20170910175655j:image

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また怪しい日本語を発見。あざとい

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パイナップルアイスが美味しかった。

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犬は暑さでぐったりしていた。

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アユタヤは川に囲まれた地形のようだ

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   タクシーのおじさんは観光中はタクシーで煙草を吸って待っていてくれる。遺跡の入り口に着くとヒア!と言って知らせてくれ、僕ら2人が1時間くらいふらふらと観光して戻ってくると近くの駐車場から手を挙げて知らせてくれ、また次の遺跡で降ろしてくれて、の繰り返し。トヨタの車だったのでメイドインジャパンだ、と言ったらそうそう、あんたの国のだ、みたいな会話をした。遺跡巡りの途中の車内で、おじさんが突然「ぞうさん?」と聞いてきて、2人で何事…?と困惑していたら今度は「ぞうさん、する?」と聞いてきた。そこでようやくお金を払ってゾウに乗ることできるけどどうする?という意味だと分かって笑った。結局乗らなかったけど。いいおじさんだった。 

 

   この日はホテル戻ってひと休みした後、ある意味メインイベントであった”夜のバンコク”をめちゃめちゃ楽しんだ。詳細は敢えて割愛する。お店の中は撮影禁止だった。

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   長くなったので後半はまた後日書く。

 

 

 

 

 

 

 

   

日本版ボーナストラックの功罪

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   高校2年の夏に「Today」のPVを見て以来、ずっと自分の中でオールタイム・ベストバンドであるSmashing Pumpkins、そのTodayが収録されていて、バンドがブレイクしたきっかけとなったアルバムが2nd「siamese dream」。

   全13曲、トータルタイム62分の名盤だが、僕が高校生の頃近所のツタヤで借りたものは14曲目があった。アップテンポの轟音曲「Pissant」である。大学生の頃、相変わらずこのアルバムをよく聴いていた頃に考えていたのは「最後の曲、蛇足すぎでは…?」ということだった。このアルバムの一番好きなのは後半にこれでもかとばかりにメロウな曲が並ぶ流れだ。ジェームス・イハの作曲である「soma」「mayonaise」、リフが美しいミニマムな曲(Todayとこの曲のリフだけ弾ける)「sweet sweet」、そして最もテンポが遅く、控えめで耽美なストリングが綺麗な名曲「Luna」。これらが「silverfuck」「Geek USA」(曲名から最高)といった強烈なギターリフのあるアップテンポな曲と交互に聴かされるバランスが良い。しかしLunaがかなり壮大な曲なので、これで終わるのがどうしてもベストな気がする。ボーナストラックって誰が決めて入れてるんだろうか。

 

   みんな大好きRadioheadの2nd「the bends」の「killer cars」も日本版ボーナストラックだ。しかしこっちは蛇足な印象は受けない。むしろノリが良いのに壮大さもあるこの曲はアルバムの最後にぴったりで、普通に通常盤に入れろよ、と思う。

 

   Weezerの通称「Red Album」の最後にはまさかの日本語版「メリクリ」が収録されている。リバース・クオモの日本愛と遊び心が炸裂した結果だと思うけど、これがなかなかに良い。いかにも外国人が頑張って日本の歌を歌ってみました感があるが、BoAはそもそも韓国の方だけど、この曲は誰でも知ってる「日本の歌」と認知されてると思うので問題ない。リバースの日本語では、2009年のフジロックでparfect situationを演奏する前にMCで「フジサン、ニイガタサン…」と新潟という山があると勘違いしてるあたりが可愛すぎる。

SuiseiNoboAz@酒田music factory

   酒田でフェスを見てきた。7月上旬の土日2日間を使った、各日1ステージのみの、小規模でいかにも地方のライブイベント、って感じのやつだ。なかなかに雰囲気が良くて楽しめた。ユニーク過ぎるパフォーマンスと格好良過ぎる曲で一瞬でファンになってしまったCHAIというガールズバンドや、本格派轟音シューゲイザーバンドのslow snow slideなど片道3時間かけて行く価値あったな、と思えるバンドばかりだった。もちろん一番の目的は2日目にトリで出たLOSTAGEのライブを見て、話題の新譜を五味さん本人から買うことだったし、それは達成できた。In Dreamsは名盤。でもここではボアズのライブについてだけ書く。

   結論を先に書くと、本当に最高のライブだった。

 

 

 SuiseiNoboAz

 2017年7月8日21:10〜 酒田music factory

 

セットリスト

 

1.ultra
2.pika
3.gakiami
4.shoegazer
5.T.D.P.P PIRATES LANGUAGE
6.rock'n roll
7.elephant you
8.hypercub
9.liquid rainbow
en.E.O.W

 

 

   書き出してはみたけれど後半の曲順が曖昧だ。hypercubは6曲目だったかもしれない。やったのは確かにこの10曲。

 

   1曲目、てっきりliquid rainbowでくると思っていたら予想を裏切られた。オープニングの定番曲urtra。ギターの音が良過ぎる。石原さんが高い音がキツそうでがなり散らすように歌っていた。続けて2曲目はpika。イントロの音の広がりが本当に気持ちいい。ぬるぬると自在に動くベースラインとサビの疾走感。自分は石原さん側の2列目あたりで観ていたんだけれど、音のバランスが完璧だと思った。2013年のライジングサンで観たときはスピーカーの目の前だったため、爆音のファズでかなり耳にダメージを負ったので。

 

   gakiamiの前に石原さんは横に設置した機材(Macbookとパッドのようなものがあった)から謎の音声を流し、客をポカンとさせてから曲に入った。流石にお経ではなかった。俺のファズは水陸両用モデル。

 

   shoegazerは2ndのなかでも64やlandryと並び大好きな曲だが、gleenlandの間奏と同じく高野メルドーがいい感じの浮遊感のあるギターを弾いていて見事にアップデートされていた。高野メルドーはインターネット狂なのでこの文章を読んでくれるかなとちょっと期待している。

 

   途中、石原さんが我々は山形でのライブは初めてだが、山形の事は愛読している本上まなみさんのエッセイでよく知っている、という旨のMCをしてウケていた。ちなみに僕は翌日ブックオフ本上まなみほんじょの鉛筆日和。」を108円で購入し、もれなくファンになった。かわいい文章だ。

 

   T.D.P.P、相変わらず壮絶な曲だ。ライブでよくやるなと毎度思う。ずっと赤い照明なのがよかった。「ピザでも食ってろ豚野郎‼︎」感が炸裂してた。伝われ。

 

   3rdのubikからrock'n rollとelephant youをやってくれたのも嬉しかった。というか2ndから新譜までのライブ曲を包括していて最高のセットリストだった。4人体制になってもそれまでの既存曲では石原さんの弾いているパートは特に変わらず、バンドの土台にメルドーのギターが一本上乗せされたという感じだ。

 

   hypercubはやってくれると思っていたが案の定素晴らしかった。轟音ファズのあまりの美しさに恍惚とした。ひとつのコードをまさに「64分くらいの感じで」ひたすら弾き倒す間奏、男らしさと潔さがロックンロール感あった。ラストにliquid rainbowで本編終了、掃けてすぐにアンコール、E.O.Wで一番の盛り上がりを見せた。延々と引き延ばされるアウトロの中、天井から吊るされた石原さんのストラトからノイズを発したままこの日何度目かわからないメンバー紹介、最後テープエコーがブツリと落とされて終わった。ロックバンドならこうありたい、こうあってほしいという願望全てを叶えるような立ち姿のバンドだと思う。もしかしたら逆で、こんなかっこいいバンドのことをロックバンドと呼ぶのかもしれない。いずれにせよバンドのロマンの全てを体現したライブであった。

 

   ツアーをもう一周まわりたいくらいだとも話していた。頼むから新潟に来てくれ。

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