状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

2020年4月の短歌

引っ越しに 慣れた自分がすこし悲しい 大人になるってこういうことか 退屈に 向き合うのにも飽きてきて なにかを始める きっかけが欲しい 窓の外 陽のあたる場所に憧れて どこにもいけない 四月の終わり 新しい 靴を買おうとしたけれど 馴染んだボロが まだ…

SuiseiNoboAz 『HAVE A NICE DAY BABYLON TOKYO』

ボアズのライブDVDを買った。2017年9月3日渋谷O-NESTでのライブを収録したもの。2017年から2018年にかけて、ボアズはほぼ1年に及ぶリリースツアーを行った。自分は山形と東京でその内の2本を観た。特に東京で観た回はその年観たライブの中でベストに挙げたい…

救済小説

エピソードが3つある。ひとつは高校3年の2月下旬のこと。大学の前期入試に失敗した自分は高校の図書室にいた。誰かと話をしたかったけれど、人気のない部屋には同じように辛気臭い顔をした人間しか居らず、一体これからどうしたらいいのかと気持ちはひたすら…

半地下の匂い

「そうじゃなくて」長女のギジョンは言う。 「半地下のにおいよ。ここを出れば消える」 映画「パラサイト 半地下の家族」を観た。本当に面白かった。この映画にはポン・ジュノ監督からネタバレ禁止令が出ているけど、以下の文章はがっつりネタバレあり。 半…

黒部峡谷探訪記

11月上旬、黒部峡谷パノラマ展望ツアーに参加した記録。 国内、国外を問わず、自分は旅行でツアーというものに参加したことがない。旅行のプランを立ててもらえて場合によっては安く上がるのは良いかもしれないが、時間や行動を制限されて聞きたくもない説明…

続・国道8号線を巡る冒険

国道8号線を走破する企画の続編。以前、始点である新潟市古町の本町交差点を確認したので、今回は終点の京都市下京区の烏丸五条交差点を訪れることを目的とした。ルートは新潟港からカーフェリーで敦賀港へ向かい、烏丸五条交差点を見た後8号線を使って京都→…

伊豆大島旅行記

2019年9月21日〜22日の日程で、伊豆大島を旅行した記録。 伊豆大島へは船で渡った。JR浜松町駅近くの竹芝桟橋から東海汽船に乗ることができる。このほかに静岡の熱海や下田からも就航しており、大島へ渡る一番定番の手段がジェットフォイルのようだ。この日…

香港旅行記②

香港旅行の続き。 ◯ 2日目夜 ついに夜の廟街へ繰り出すぞ!と元気よく外に出ようとしたら雨が降ってきた。仕方なく適当な近くの飲み屋に入ってハイネケンを飲んでいたらすぐ止んだので、徒歩で移動する。 夜の廟街はとても良かった。活気があって、通りに人…

香港旅行記①

ひとりで香港をぶらついた旅の記録。 雑な旅行だったけれど、結構楽しめたので文章を書く。 昨年、ブックオフの100円コーナーでたまたま手に取った沢木耕太郎の『深夜特急』シリーズに魅せられた自分は、1巻で沢木が訪れた香港の廟街を観たいと思った。世間…

物語を創るという物語

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス) 作者: 大童澄瞳 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2017/01/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (12件) を見る 「映像研には手を出すな!」を3巻まで読んだ感想。 虚構の物語を創り出す制作の現場…

語りの場

用事があって東京へ行く度に、友達と新橋や新宿で朝まで飲むのがお決まりになってきており、本当に楽しい。昨晩もそうだった。朝方、4軒目を出て新宿駅前で解散し、飲み会終わりの少しの寂しさを感じながら銭湯へ行き、サウナに入り少し寝た後に上野をぶら…

出発の年齢

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) 作者: 沢木耕太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1994/03/30 メディア: 文庫 購入: 13人 クリック: 199回 この商品を含むブログ (310件) を見る 一体どれほどの人を放浪の旅へ誘ったかわからない、傑作旅行記『深夜…

物語の導入

ネトフリで久々に「マトリックス」を観た。1作目。当時は映像の凄さやアクションシーン、特に例の時間が圧縮されて弾丸避けるやつが話題になったと記憶してたけれど、改めて観た感想は「導入が良すぎる…」だった。完璧だと思う。 冒頭のトリニティーが国税局…

小旅行の夜

フロントのおじさんに鍵を渡し、外に出る。雨が降っていたので、フロントに戻り「傘って借りれますか?」と聞くと、少々お待ちください、と言われたので壁に貼られた地図を眺めながら待つと傘を持ってきてくれた。「他のお客様が使われたので少し少々濡れて…

禁断の多数決に首ったけ

禁断の多数決「トゥナイト、トゥナイト」輝くネオン、打ち上がる花火、アンニュイな感じの女の子、謎のコンテンポラリーダンス、怪しさと華やかさ、危険な香りと劇薬のような刺激、ミステリアスでエロティック、ロマンチックでどこかグロテスク、めちゃくち…

Silver Scooter 「Pumpkin Eyes」

Silver Scooter - Pumpkin Eyes When you walk awayTake my hand to stayThink of what you've been dying to, been dying to, been dying to sayPumpkin eyes you are a dreamLook away from everythingSeems like what you wanted, isn't what you wanted …

国道8号線を巡る冒険

国道8号線は、新潟県新潟市から京都府京都市へと続く国道である。一般国道の長さとしては日本第6位の距離であり、そのルートの起源は古くは北国街道にまで遡ることができる。北国街道といえば、とある地方大学の文系学生が「北陸新幹線のルート選定に関する…

映画「64(ロクヨン)」

「君は悪くない」。 15年間部屋に閉じ篭った男は、そう一言だけ書かれたメモを読んだ途端、声にならない叫びを上げて涙を流す。自分を責め続けたひとりの人間が救われて、止まっていた時間が動き出す瞬間だ。 横山秀夫の警察小説「64」の劇場版。前編と後編…

宮本輝「青が散る」

どうしてこんなにも哀しく、寂しいのだろう。テニスに打ち込む主人公を描いた青春小説だというのに、読後まず浮かぶのは「寂しい」という感想だ。これは初めて読んだ学生の頃から変わらない。むしろ読み返すほどにこの寂しさ、無常感は強まるばかりだ。 簡単…

きっかけについて

久々に旅行に出たり、友達と楽しく飲んだりしたおかげか、ここ数週間の過労で参ってしまっていた心が回復し、少しだけ前向きになれた。夏が近づき暖かくなったせいかもしれない。同時に創作へのモチベーションが上がってきたので、この機を逃さぬよう文章を…

ベトナム旅行記②

◯2日目 朝はのんびり起き、近くの店でまたフォーを食べる。さっぱりした味なのでさらっと食べられるし、何回食べても飽きない。一応こっちの主食なんだから飽きるわけないか。昨日より暑い気がするのでTシャツとタイで買ったステテコみたいなパンツという格…

ベトナム旅行記①

GWを利用してベトナムへ旅行に行った。日程は2018年5月3日〜7日。とは言っても3日の深夜に羽田を発ち、7日の早朝に成田へ帰ってきたので現地で過ごしたのは実質3日間。5月4日から6日の3日間の記録。 ◯1日目 1:25羽田発。機内は8割くらい席が埋まっていた。…

『スターウォーズ 最後のジェダイ』を観た

面白かった…。2Dの字幕版を2回、4DXの字幕版を1回観た。ようやく書いてもいい気がしてきたので文章を書く。 「ローグワン」が傑作と評され、一方で「フォースの覚醒」がいまひとつ評価されていない感じに納得してなかったけど(実は自分も「フォースの覚醒」…

一番強度の高いメディア

先日、映画「ブレードランナー2049」を観た。本当に美しい映画だった。大作のSF映画に期待されてそうな派手さはないけれど、圧倒的な映像美と「自分は何者なのか」という哲学的な問いを追求するストーリー、終始漂う物悲しい雰囲気、ラストの主人公の選択、…

大学3年の初夏

久しぶりにKensei Ogata「Her Paperback」を聴いていたら、大学3年のある時期の思い出がフラッシュバックしてきた。自分は感傷マゾの気があり、常に将来に希望が持てない後ろ向きな人間であるため、定期的に大学時代の楽しかった思い出に浸っては鬱になって…

総括と抱負

2018年。2017よりは字面が良い気がする。 平成30年。なかなか区切りが良い。なんとなくいい年になる気がしてきた。 先日、「2017年を漢字一文字で表すとどんな感じ?」と人に聞かれ、「ダジャレかな?」と返したら真っ赤になって肩を殴ってきた。痛い。 私の…

映画「リンダリンダリンダ」

2005年。山下敦弘監督。 何度も見返している大好きな映画を、改めて文章にするのはなんだか気恥ずかしいし、それなりに思い入れがあるため私情を挟まずに客観的な評論をするのは難しい。言い訳をして感想のみ。 簡単にストーリーを説明すると、学園祭を目前…

最高に粋な遊び

http://jaws-complete.tumblr.com/ 禁断の多数決のメンバーによる、スピルバーグの某映画への愛とユーモアに溢れた一連の映像作品。 単純にB級短編映画としてどれも面白いんだけれど、このプロジェクトの実の目的は「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」(…

「ただ座っている老人」についての考察

街を歩いていると時々見かける、何をするでもなくただじっと座っている人。大抵が老人で(どちらかと言えばおじいさんの場合が多い)、普通の民家の前などで、椅子だったり、玄関の石段だったりといった場所に腰をかけて、ぼうっとしている。目の前の道を行き…

読書の時間

恩田陸の著作に「小説以外」というエッセイ集がある。その中に収録されている「読書の時間」という一編は読書というメディアの真理を短い文章でこれ以上なく端的に言い表しており、初めて読んだとき心の底から感服してしまった。短いので思い切って全文を引…