状況が裂いた部屋

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ブログタイトルについて

   中村一義のファンならご存知の通り、「状況が裂いた部屋」とは彼が初期の宅録作品を撮った自宅の部屋の名前だ。中村一義は(以下「ナカカズ」って書くけどこの呼び方好きではない)18歳の頃、祖父母が用意してくれていた大学進学用の資金を注ぎ込んで部屋にスタジオ機材を揃え、状況が裂いた部屋を作り上げた。そして4年後、22歳のときに名盤「金字塔」でデビューする。「'97の世代」で一番影が薄い気がするけど当時はどうだったんだろう。ダイドーの缶コーヒーのCMに使われたらしい。2枚目「太陽」や「主題歌」あたりまではこのスタジオでほぼナカカズ一人の手で作られていたみたいだ。部屋は今はもう取り壊されて残っていないらしい。

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1st「金字塔」とシングル盤「永遠なるもの」

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歌詞カードのクレジットに「状況が裂いた部屋」と記載がある

   僕は高校3年生の頃に「キャノンボール」のPVを見て完全なる後追いでナカカズを聴き始め、受験期は「金字塔」と「太陽」をひたすら聴いていた。2012年の武道館ライブも観に行った。センター試験へ向かう電車の中でも「犬と猫」を聴いていたのを覚えている。歌詞や曲はもちろん、アートワークもライブも全てが好きなんだけれど、やはり初期の「金字塔」でデビューした頃の一切ライブをせず、3rdまでほとんど自分で作っていたという宅録時代の曲が好きだ。寂しい生い立ち(主観はよくないけど多分そう)からたった一人で部屋に篭り傑作を作り上げた執念、そしてあの「永遠なるもの」のPV…。生い立ちも含めて、独りで孤独に創作をする道を選び、カセットテープの山を築いた末にあの傑作を作り上げて、奥さんと仲間に囲まれて江戸川の河川敷のピアノを弾き、「僕の人生は、バラ色に変わった!」と叫ぶ。あの曲のラストほど美しいものはない。「金字塔」から最新作「海賊盤」まで100sでの作品も含めアルバムは全部聴いてるけど、やっぱり金字塔がずっと一番だ。いつか全曲レビューとか書いちゃいたいくらい。

 

2017.12.10追記


中村一義 1998 OA-PTV265 LTD0930

最近発見した映像を追記。スペシャなどで放送された初期の中村一義のPVやインタビューを繋いだもの。ファンの方の投稿だと思われる。ありがたい。

一部だけど「犬と猫」「街の灯」「永遠なるもの」などのPVが観れる。状況が裂いた部屋を「状況部屋」と呼んでいるのが確認できる。ただうさぎと江戸川を散歩したり、ニールヤングをBGMに土手をスクーターで走ったりと、いかにも90年代の音楽番組、といったゆるい感じが良い。