状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

社会の歯車

 本格的に働き出して2日が経った。忙しい。半端じゃない。学生の頃時々言って「あー俺いま忙しくてさぁ」の「忙しい」とは笑えるほどレベルが違う。まず僕が研修に行っていた先週一週間分の仕事が溜まっており、訳も分からないままそれに手を付けている。手を付けているだけで全然終わらない。隣のデスクの先輩が指導役として仕事を教えてくれるので、しつこいくらいに質問する。28歳で新婚らしい。割とおしゃべりな人なので話しかけやすくてありがたい。でも僕がやる全部の業務を把握している訳ではないので、結局マニュアルや研修で使ったテキスト、前任者が残していった引継書、ファイリングされている去年の業務の書類を読みながら仕事をする。それらを積み上げたデスクでパソコンを使い書類を手書きしハンコを押すのでとても散らかっている。入力したデータもあとから見て分かるようフォルダを作って保存しておかないと面倒なことになる。余裕が無さ過ぎてタスクが5つ以上溜まると発狂しそうになるが、それを一度堪え、コーヒーを淹れ、優先順位をつけてひとつひとつ消化していくと、意外と終わったりする。とりあえず今日は6時になんとかやるべき仕事を終え、7時過ぎに帰宅、ビールを美味しく飲めたので良かった。割とスマートに帰った日だったが、風呂に入ったりご飯を食べたりすると9時半になっており趣味にかけられる時間が2時間しかない。社会人生活は思うより厳しい。誰もが経験することとはいえ、過酷な新人時代をくぐり抜けて30年も社会で働いている親や身近な人、そして世の中全ての大人たちを素直に尊敬する。

  うちの部全体は5つの課で構成されており、昨日は上司に連れられて他4つの課をまわり、ひたすら挨拶をした。部長と少し会話したが良い方だと思った。挨拶に行った初対面で悪い印象になる人は少ないか。他の上司たちもひと言くらい話をするが、期待してるよー、とか頑張ってね、くらいなので顔を覚えておくくらいで精一杯だ。昨日はいきなり歓迎会だったのだけど、話が合う先輩が多くて嬉しかった。やはり県内出身の人ばかりなので地元を聞けば土地の話ができる。他にはおそらく3年後に僕も経験させられる僻地の地方勤務での話、同好会の話、趣味の話や子供の話など。20代後半くらいの割と歳の近い先輩数人に週末の個人的な飲み会に誘われたが、翌朝(今日)誘ってくれた人に挨拶したら嫁に月曜から飲み歩いてんなよ、って凄い怒られて…としょんぼりしながら言われ、流れることになってしまった。家庭を持つと大変だ。その人はなんと大学のサークルの先輩だった。昔のメインアンプはマーシャルではなくツインリバーブだったらしい。いまでもひっそりとあるVOXはその頃買ったものだそうだ。

  課長へ挨拶しにくる来客はとても多いが、たまに係長らしいおっさんにくっ付いて、あからさまに新採用の人も名刺を渡しているのが見受けられる。動きのぎこちなさとガチガチ具合ですぐわかる。僕のデスクは出入り口に割と近いので、その人が出るとき目が合ったので会釈したら、すごい礼儀正しく頭を下げられた。そりゃそうか。お互い頑張りましょう、と思った。