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状況が裂いた部屋

音楽と映画と日常について

世渡り上手

 小学校の卒業文集に「世渡り上手」というタイトルの作文を書いた友達がいた。内容もなかなかにぶっ飛んでいて、詳しい部分まで覚えていないがすごく人を食ったような文章でひねくれたことを書いていた気がする。まったくマセガキだな、と読んだ大人たちは苦笑いしたと思う。しかし素直で純粋だった当時の僕はこいつの作文は凄いぞ、なんか言ってる事かっこいいしきっと世の中の事よくわかってる頭の良い奴だったんだ!といった感想を持った。実際そいつは頭が良かったし、学級委員に常に推薦され、女の子からはモテて、男友達からはカッコイイと一目置かれていたような奴だった。そいつは地域の中学校に進まずひとりだけ付属中学校の試験を受けてそちらへ進学した。

 その後今に至るまで、一度もそいつと顔を合わせていない。同じ町内に住んでいるのに。高校受験に失敗して私立の滑り止めに進学したがいろいろあったらしく別の高校に編入したがうまく馴染めていなかったらしい事、大学受験も失敗したらしい事は友達伝いに噂で聞いた。成人式は顔を見せなかったし、これだけ近い距離に住んでいても僕の家族も一切姿を見ていないと言っているのはどういう事なんだろう、と頭の片隅でそいつのことは時々気になっていた。

   つい最近、また風の噂だが、そいつは今も実家に住んでいて塾の講師をしているらしい、と聞いた。元気にしていてなによりである。一度会って話したいなと思う。あいつがどんなことを考えてあれから生きてきたのかじっくり聞きたい。まあでも、世渡りはどうなのかはさておき、どうでもいい話で盛り上がりたい気もする。今どうしているんだろう。