状況が裂いた部屋

音楽と映画と生活

大学3年の初夏

久しぶりにKensei Ogata「Her Paperback」を聴いていたら、大学3年のある時期の思い出がフラッシュバックしてきた。自分は感傷マゾの気があり、常に将来に希望が持てない後ろ向きな人間であるため、定期的に大学時代の楽しかった思い出に浸っては鬱になっている。

大学3年の初夏。ひどく忙しい時期だった。学生の忙しさなんてたかが知れてるんだけど、この学期だけは何故か全ての方面でやることが多かった。大学の講義は確か週22コマとか入っていた。おそらく教職課程の必修のせい。ゼミも始まった。当時使っていたPCのドライブを見ると、1万字超えのレポートをいくつも書いていたのを確認できる。5月からは大学の公務員講座が始まった。自分はこの時期までやりたい職業が見つからなかったので、消去法的にじゃあ公務員にでもなるか、という考え方だったため、モチベーションは低かった。それでも講義は割と出席していたたので、週に4日は夜6時から9時過ぎまで講義を受けていた。6月には教育実習があった。もう教員になる気はなかったのだけれど、教職課程を無理して途中まで受けてきた以上、半ば意地みたいに教員免許を取ってやろうと考えていた。実習自体はとても楽しく(母校実習で通っていた高校に行けたところが大きい)行ってよかったなと思う。しかし様々な準備や指導案作成に膨大な時間を取られ、公務員試験の勉強は滞ってしまった。

こうした勉強方面での忙しさが一番だったが、バイトもそれなりに入っていた。それまで学生生活の中心を占めていたサークルに顔を出さなくなり、友達と会う機会も減っていった。この後、秋になる頃にはゼミ室に入り浸るようになり、怠惰過ぎる同期と先輩と麻雀に励むなどして新しい居場所を確保するんだけれど、この3年の4〜8月頃はひたすらに孤独だった。

 

この頃、勉強は大学の図書館でやっていたんだけれど、土日はタリーズに通っていた。ツタヤに併設されている、大して広くもないタリーズ。割と居心地が良いと気付いてからは、午前中は大学の図書館、一旦帰宅して昼飯を食べてからタリーズに移動して夜まで粘る、というルーティーンが出来た。

徒歩で移動する間、ずっと音楽を聴いているんだけど、この時期聴いていたのが「Her Paperback」だった。もともとtalkを今はもうない音楽サイト「路地裏音楽戦争」で知り、「waltz for breeze」は良く聴いていた。

talk - Waltz for Feebee [OFFICIAL MUSIC VIDEO] - YouTube

4月下旬、大学への坂道を登りながらよくこのアルバムを聴いていた。ちょうど桜が満開で、映画音楽みたいなこのアルバムがよく景色に合ったのを覚えている。

5月〜6月、先述の理由で忙しくしつつ相変わらず大学周辺をうろうろしながら、talkからの流れでKensei Ogataのソロを聴き始めた。音数が多くなく、素朴な歌物の曲が自分にスッと入ってきて、この時期の孤独感に寄り添ってくれたように感じた。特に気に入ったのが「Happy Sunny March」と「ゆるやかな自殺」だ。サウンドクラウドではCDに収録されている曲の他にもいくつか音源が公開されており、ダウンロードも可能だった(多分現在は不可)。スーパーカーの「Lucky」をアコギで弾き語った音源が好きすぎて、ひとりでスタジオに入りギターを弾くなどした(今見返したらこの時撮った「Lucky」がボイスメモに残っていて死ぬかと思った)。自分とそう年の変わらない、熊本のひとりのミュージシャンの音楽に救われて、厳しい時期を乗り越えられたこともあったな、という思い出。