状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

香港旅行記①

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ひとりで香港をぶらついた旅の記録。

雑な旅行だったけれど、結構楽しめたので文章を書く。

昨年、ブックオフの100円コーナーでたまたま手に取った沢木耕太郎の『深夜特急』シリーズに魅せられた自分は、1巻で沢木が訪れた香港の廟街を観たいと思った。世間ではGWは10連休、と盛り上がっていたが職場は全然そんなことはなかったので、3連休に1日有給をつなげて4日間で行くことにした。ひとりの旅行は気軽でいい。しかし自分は計画を立てるのが極めて苦手な人間なため、飛行機のチケットを取った以外はまたしてもほぼノープランだった。よって廟街に行くこと、あとスターフェリーに乗って香港島を散策したいな、くらいの漠然とした予定しか立てていない。1泊目の宿だけ出発前日に予約した。日程は4月26日〜29日、の3泊4日。

 

◯ 1日目

成田空港で搭乗のチェックインを済ませたあたりで、wi-fiルーターを持っていないとまずいのでは?と気付く。その場で検索し、見積もりを取ると4日間で6,000円程度だった。特定のサイトから予約サイトへ飛ぶと数%割引になる。地図すら買ってないし、Googleマップが使えないと色々上手くないだろう。その場で申し込みをして受け取りカウンターで一式貰う。充電器の変換プラグも手に入った。少し荷物が増える。

 

飛行機に乗ると自分の座席には既に30歳くらいの男が座ってスマホでアニメを観ている。香港の人かもしれない、と思い、この席はあなたの席ですか、的なことを英語で尋ねるとイエスエスと言われる。多分この人間違えてるけどまあいいか、と男の2つ隣の窓際の席に座る。しばらくすると男が申し訳なさそうにあー、すいません僕が窓側と通路側間違えてました…と日本語で言ってきた。普通に日本人だった。荷物が面倒なんでこのままでいっか、となって窓際の席で景色を見れてよかった。

旅先で読む本として『深夜特急』の香港・マカオ編である第1巻と、チャック・パラニュークの『ファイトクラブ』を持っていった。何故ファイトクラブなのか。この4月は仕事が尋常でなく忙しく、月の残業時間が100時間を超えると"上"からの指示で残業代を付けられなくなる、というバグを発見することとなった。帰宅は毎日23時、日付が変わることもしょっちゅうで土曜も出勤、食事は昼しかまともなものを食べていない、そんな滅茶苦茶な状況で自分を救ってくれたのが、絶望感で溺れそうなある日曜に観た映画『トレインスポッティング』と『ファイトクラブ』だった。どちらも何度も観ている大好きな映画だけれど、この精神的に参っている時期に観たのは正解だった。鬱には犯罪と暴力とドラッグにまみれた映画が効く。適当に仕事を終わらせ(完成はしていないが)荷造りをしている時に、本棚の脇に『ファイトクラブ』の原作小説があるのを見つけた。前に文庫本をまとめ買いしてから積ん読状態の山で忘れていたものだった。とりあえず鞄に入れ、旅の移動中はほとんどこれを読んでいた。本当に面白い。

その他行きの機内ではスパイダーバースを観た。ペニーパーカーちゃん可愛い。あとトイレにあった赤いボタンに「召喚  空中服務員」と書いてあるのを見てなんか笑ってしまった。中国語だとこういう表記になるのか。

 

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5時間のフライトで香港に到着。時差で1時間戻っている。とりあえず少しだけ円を香港ドルに両替する。

 


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エアポートエクスプレスで中心地へ。安いので往復券を買った。確か30日以内なら復路もこれが使える。

出発直前にネットで「オクトパスカード」なるものを買うといいぞ、との記事を読んだので九龍駅構内で買う。右のやつ。この旅行で一番感動したのは香港の交通の便利の良さなんだけれど、このカードさえあれば地下鉄もバスもスターフェリーもトラム(路面電車)も全て乗れてしまう。すごい。suicaみたいにチャージして使う。残額はチャージ機の横の機械にかざすとすぐ見れるし、カウンターに行けば残額は返金される。とにかく楽で良い。

とりあえず中心地をぶらぶらと歩く。かなり暑い。この日の気温は29度だった。荷物もあるので汗をかきながら歩いた。繁華街は飲食店やコンビニ、薬屋などが密集している。街には電線がない。ビルの建設現場の足場が全部竹なのが面白い。

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チョンキンマンションに着く。両替のレートが良いと聞いたので。この時は最終的にここへ泊まることになるとは思ってなかった。客引きのアラブ人に声を掛けられるのをかわしながら奥のレートが良い両替所を使った。

せっかく有名なビルに来たんだし探検しよう、と1,2階を歩き回る。一階は半分くらいが換金所で、あとは飲食店とか時計や携帯周辺機器を売ってる店など。アラブ人とインド人っぽい人が多い。

腹が減っていたのでカレー屋に入ろうと迷っていたらインド人ぽい店員に話しかけられる。メニューの写真と値段を見てまともそうだったので適当に入った。店員に日本人かと聞かれるのでイエスと言うと自分は昔鹿児島で暮らしていたことがある、と言う。じゃあ日本語通じるかな、と話してみると「うん?」みたいな顔をされる。結局カタコトの英語で少し喋った。なんで香港まで来てインド人と鹿児島の話をしているんだ…。カレーは美味かった。


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その後は街を歩き回り、沢木耕太郎が地図を貰うだけに入るペニンシュラホテルを見つけた。一番目立つ交差点にあるので絶対見つかるのだが。ちなみにとなりは百貨店のそごうだった。博物館的な建物に入ってプラネタリウムを観た。めっちゃ良く寝れた。

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繁華街である尖沙咀の先端に来たので、香港島を眺めながらしばらくぼーっとしていた。スターフェリーが行ったり来たりしている。かなりでかい客船も浮かんでいた。昨日まで働いていたと思うと、随分と遠くまで来たものだ。これから3晩も時間がある。何をしようか。とりあえず廟街に行ってみよう、今晩の宿も廟街に近いし、とバスに乗って移動する。

 

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廟街に辿り着く。観て回る前にまずチェックインを済ませたかったので、泊まる宿を探すとなかなか見つからない。ようやく見つけると、廟街の本当にど真ん中だった。1階はセブンイレブン。我ながらいい場所に宿を取った、と思いながらシャワー浴びてちょっと横になったらいつの間にか朝になっていた。そんな事ってあるのか…。

 

◯2日目

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廟街の夜の散策を割と楽しみにしていたのに、宿から一歩も出ずに終わるなんて…と呆然としながら目覚めたけれど、朝の閑散とした廟街も良かった。路上の屋台は朝には骨組みだけに解体されるようだ。スイカレストラン、みたいな名前のチェーン店で朝食セットを頼むとマカロニみたいな太い麺とソーセージとミルクティーが出てきた。

 

やや疲れていたので、10時近くまで部屋でゴロゴロした後に香港島へ向かうことにした。

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まず星光花園という場所へ行くと、ブルース・リーの像があった。観光客っぽい白人に写真を撮ってくれ、と言われ、はい、チーズは通じないよな、と思ったのでスリー、ツー、ワンとカウントして撮る。Have a wonderful day!的な事を言われたのでそのまま返す。この通り自分は英語はまるで喋れないのだけれど、道の標識の中国語は漢字みたいなものなので大体理解できるし、カタコトの英語で道を聞けばどの人も丁寧に教えてくれるので割となんとかなった。ひとりの海外旅行でも全然不自由しないな、と思えたのは大きな収穫だった。まあヨーロッパとかならそうもいかないだろうけど。香港は海外初心者にとってハードルが低い。

 

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スターフェリーで香港島に渡り、海事博物館を少し観た後にバスでヴィクトリア・ピークへ。隣の席に観光で来ているらしい日本人のおばあさんが座ったので道中喋った。前回香港に来たのは1980年頃だった、その時代はまだここまでビルは凄くなかったし、空港も今と違う場所にあったんですよと言う。ヴィクトリア・ピークは景色を見に行ったんだけれど、曇り空だったため特に感動はない。バスは片道40分ほどかけて500メートルくらい山を登る。アジア全般に言えることだが運転がやや荒く、スターフェリーより揺れた。


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その後は香港島の中心部を散策した。動く歩道に乗るなど。

 


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スターフェリーに乗って尖沙咀へ戻り、今晩の宿を探そうとしたらgoogleマップが繋がらない。ポケットwi-fiの充電が切れたのだった。まずいぞ、と思ったがこれも旅の一興ということで適当に探すことにした。時間もたっぷりあるし。しかしこれがなかなか大変で、2時間くらいぐるぐる同じ路地を歩くことになった。スクショしてあった予約ページにはビルの名前と5Floorにある、と書いてある。これかな、と思うビルを見つけても、宿の名前が見当たらない。警備員のおっちゃんやその辺で煙草を吸っているおばさんに何度も聞いて、ようやく辿り着いた。受付の若い男に、この場所を探し出すのは私にとってとても難しかった、と伝えると、笑いながらそんなはずはない、何故なら香港はとても狭い街なのだから、と言われた。