状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

四国旅行記③

 

○  4日目

f:id:ngcmw93:20220425062237j:image旅行最終日。7:15坂手港発のジャンボフェリーで神戸へ向かい、夕方に飛行機で新潟へ帰る。

 

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f:id:ngcmw93:20220425182348j:imageそういえばこの航路を調べていたら「ニャンコフェリー」って表示されてたのは何だったんだ…可愛いけど、と思ってたらこの船の愛称がニャンコフェリーだった。正式な船名は「りつりん2」らしい。


f:id:ngcmw93:20220425182412j:image船内でオリーブうどんを食べる。顔のつもりなのか?写真を撮ったら作ってくれた若い店員の女性が「あっ…」って表情をしてた。

そしてついに、この旅で最大の楽しみだった「船で明石海峡大橋の下を潜る」というイベントを迎える。甲板に出ると夏のような陽射しが眩しい。他にも橋を撮ろうとするカメラっ子たちがいた。iPhoneを手に良い場所を陣取る。

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f:id:ngcmw93:20220425182821j:imageだんだんと近づいてくる。なんて美しい建造物なんだろう。

 

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f:id:ngcmw93:20220425183242j:image一瞬で潜り抜ける。頭上で車の走行音が聞こえてびびる。
f:id:ngcmw93:20220425183616j:image自転車や歩きで渡ったら最高なんだろうなと思う。

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f:id:ngcmw93:20220425182938j:imagef:id:ngcmw93:20220425183758p:image上が明石、下が淡路島。本当にド迫力で満足した。快晴の空に白い橋が映える。

 

f:id:ngcmw93:20220425183736j:image神戸港に到着。眼前に三菱のでかい倉庫が迫る。船を降りて神戸三宮駅行きのバスに乗る。フラワーロードをほぼ一直線、花時計の横を通って10分かからず着く。神戸・三ノ宮は大都会だ。道ゆく人々がなんか垢抜けて見える。あと高級車がやたら多い。

 

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f:id:ngcmw93:20220425183933j:imageドトールで少し休んでから神戸市立美術館でミイラ展を観る。7体くらいミイラがいた。棺や装飾品、石板や当時の食べ物など。かなり見応えがあって面白かった。CTスキャンによる復元で、ミイラの頭から足へ肉体が再現されていく映像を観てGANTZの転送のやつだ!と思う。多分逆でCTが元ネタ。しかし、分析で2000年前に死んだ人の病名まで分かるのは恐ろしい。変な死に方はできない。

印象に残ったのはミイラの棺に刻まれた絵だ。胴体にびっしりとカラフルに描かれていて、漫画のコマ割りのようだ。死者の生前の人生とかが物語のように表現されている。神々がデフォルメされたキャラのようで可愛らしい。碑文のことをテスラというらしく、絵や象形文字みたいなのが刻まれている。死後の世界でもビールと肉が永久に供給されるとか書いてある。

 

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f:id:ngcmw93:20220425172041j:image中華街の南京町で軽く食べ歩きをする。すごい人出だった。快晴で真夏のような暑さ。一番空いてる屋台で適当に食べた小籠包が旨かった。

喫煙可の純喫茶に入る。「しゅみ」という名前だった。「須彌」と書くらしい。常連ぽい人がマスターに今年の阪神に喝だ!と話しててとても良かった。この時点で3勝17敗という歴史的負けっぷりである。薄暗い喫茶店から道ゆく人々を眺めるのは良い昼下がりの過ごし方だ。2時間くらい文庫本を読んだ。

 

夕方、ポートライナー神戸空港へ。途中の駅名に「計算科学センター(神戸どうぶつ王国「富岳」前)」とあって、確かに理化学研究所はあるが富岳って駅名にもなるんだ、と思う。

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f:id:ngcmw93:20220425172532j:image18:40神戸発→19:50新潟着のFDAに乗って無事到着。3月に就航したばかりの新航路で、これに乗れたのは運が良かった。早く予約したので安かったし。上空から衝撃的にデカい月が見えた。機内が反射してどうにも上手く撮れない。どうやらこの日が満月だったらしい。

 

f:id:ngcmw93:20220422123349j:imageこの日の移動ログ。総移動距離は683キロを超えた。ほとんどが帰りの飛行機だけど。船、バス、モノレール、飛行機と乗り継ぐのはなかなか楽しかった。春の瀬戸内海の気候は過ごしやすくて快適。

f:id:ngcmw93:20220430070420j:image行きと帰りで別の手段を使って旅行するのは飽きがこなくて良かったし、体力的にも4日間の旅行はちょうどいい。かなり満足度の高い旅だった。やはり島を訪れるのが好きだなと思う。またお金を貯めて、今度は夏の北海道へ行きたい。

 

四国旅行記②


○ 3日目

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f:id:ngcmw93:20220418215026j:image朝早く目が覚め、地方ニュースを観るなどする。当たり前だが四国の天気予報をやってて良い。旅先にいることを実感する。新聞を読んだら瀬戸内トリエンナーレとかいう芸術祭が開会したとある。全く知らなかった。直島や犬島、豊島など共にこれから向かう小豆島も会場になっていた。運が良ければなんか展示が観れるかもしれない。

ドトールで朝飯を食う。仕事帰りに2日に一度のペースで行ってるのに、どうして旅先でもドトールを選んでしまうのか。しかしこの「いつものコーヒー」の味がどうしようもなく落ち着くのだった。俺はチェーン店でリズムを保つ資本主義に毒された人間…。

 

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f:id:ngcmw93:20220424160324j:image朝の街を散策する。高松市の印象は富山市に似ていると感じた。コンパクトで、街独自の交通手段(琴電の電車とバス)があって便利だったり、城下町で、区画が碁盤の目のように綺麗なところなど。

 

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f:id:ngcmw93:20220418215702j:image香川県は至るところにうどんの意匠がある。wi-fiからホテルの壁紙、フェリーの座席まで。ナチュラルに狂っている。さすが「うどん県」を名乗るだけある。街を歩けばうどん屋がいくつもある。

 

f:id:ngcmw93:20220419195600j:imageライブハウス兼CDショップのToo Niceを見つけた。自分のバンドが参加したCDも置いてくれてるらしいが、営業時間に合わず残念。自分が関わった音源がこんなに離れた場所で売られていると思うと嬉しい。ちゃんと売れてるのかはわからないが。

 

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f:id:ngcmw93:20220424152619j:image香川県庁へ。古い方の東館は丹下健三による名建築として評価されてるらしい。確かに無機質でかっこいい建物だった。1階にパネルの展示や模型もあって良い。古いばかりで何の特徴もない某県庁とは大違いだ。

県庁の裏にうどんの有名店「さか枝うどん本店」があるので行ったが休業日だった。徒歩で港の方へ向かう。

 

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f:id:ngcmw93:20220418215910j:imageサンポートという施設にある高松シンボルタワーに登る。無料で高松市街地を一望できる。屋島もよく見えた。思った以上に台形で驚く。港を出て瀬戸内海の島々へ向かう船が、波を立てて進んでいく様子が美しい。

 

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f:id:ngcmw93:20220424160512j:imageいよいよ小豆島へ向かう。高速船もあったがフェリーでのんびり向かう。片道700円。近くに他の島へ向かう船があったが、楳図かずおデザインなのか?って配色でウケた。

 

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f:id:ngcmw93:20220424160805j:image船内はとても綺麗だった。コンセントも使える。そしてヤドンまみれだった。これでもか、と言わんばかり全部がヤドン。さっきはヤドンのバスも見たし、街中ヤドンに侵食されてる。何故だ。そして船旅には最高のおやつが必要だ。

 

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f:id:ngcmw93:20220424161118j:image1時間で小豆島の土庄港に着く。素晴らしい景色だった。瀬戸内海の島々が途切れることなく重なって見える。日本海と違って穏やかで、陽射しが常に明るい。おばあちゃんの家とかが瀬戸内海にあって、毎年夏休みはそこで過ごせたらなあ、と妄想する。港には芸術祭のチケットを売ってる施設があり、ひとつ展示があった。世界最大の3Dプリンターで作った、とある。コシノジュンコのデザインコンセプトを表現したと解説がある。芸術祭のポスターはイケてるおじいちゃんが主役。あと「からかい上手の高木さん」の作者が小豆島出身らしく、その展示もあった。

 

f:id:ngcmw93:20220424161240j:image小豆島の地図。島は錨を逆さにしたような形だ。土庄町と小豆島町の2町がある。どの街も基本海に面している。自分は土庄港へ上陸して観光しながら東へ移動、小豆島町の坂手に泊まり、翌朝坂手港から出発するという予定。

 

f:id:ngcmw93:20220424161338j:imageオリーブ素麺を食べた。割としっかりオリーブを感じられて美味い。お土産にも買った。この二日間、麺ばかり食べている。

 

路線バスで島の中心地へ移動。傘形の帽子を被った白装束の人々が歩いているのが目につく。小豆島にもお遍路参りがあるのか。鈴の音が賑やかだ。自分が訪れた翌日が町議会選挙だったらしく、そこらじゅうで選挙カーが走っていた。

小豆島は島といえどそれなりに街があって、コンビニやスーパーは普通にある。ジョイフルとかファミレスもある。ガソリンはやはり高い。レギュラー175円とか。県道沿いに醤油工場が多い。あとオリーブの木がそこらじゅうに生えてる。


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f:id:ngcmw93:20220424161602j:image世界一狭い海峡の土渕海峡へ。用水路に橋がかかってるだけに見えるが実は海峡で、小豆島はここで分かれる2つの島らしい。幅は9.93m。一瞬で渡れる。こういった地理上の面白い地点を観察するのは楽しい。意味の無い趣味が一番追求するやりがいがある。周辺を散策すると、芸術祭目当てなのか観光客がちらほらいる。それ以外の人通りはほぼ無い。地図を眺める。島には土庄(とのしょう)、竹生(たこう)、苗羽(のうま)など面白い地名が多い。

 

f:id:ngcmw93:20220424161849j:image島の東側へ移動するため、またバスに乗る。ボーっと車窓を眺めていたら、なかなか目的地に着かないことに気付く。グーグルマップを開くと、思っていたのと違う道を走っているではないか。バス路線を勘違いしていたのだった。すぐに次の停留所で降りるが、何もない集落だった。ホトトギスが鳴きまくっている。引き返してバスを乗り継いでも1時間以上かかることが判明し、諦めてタクシーを呼ぶ。バス停の名前を伝えると10分で来てくれた。痛い出費だが仕方ない。

伊豆大島でも経験したけど、タクシー運転手と話すと島知識が増えて楽しい。新潟から来たと言うと、そりゃ遠いとこから、佐渡ヶ島には及びませんがこの島は日本で19番目に大きい島で…と解説が始まり、小豆島情報をたくさん聞けた。途中、寒霞渓へ行けるロープウェイ乗り場へ至る道があった。運転手はブラタモリタモリさんも来た、地層の話をしていった、この島の一番高いところは817mで…とひっきりなしに島情報を喋ってくれる。

行き先の醤油醸造所の話になると、いきなり指を四本立てて見せられる。これの意味分かります?と聞かれ製造場が四軒ってことですかと答えると違う、という。じゃあ40?と答えると誇らしげに昔は400軒ありましてな、と言われ驚く。島に400軒…そんなにあって経営成り立つのだろうか?

 

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f:id:ngcmw93:20220425171142j:image醤油醸造所で樽を眺めたり、醸造中の醤油の香りを嗅いだりした。周辺一帯で常に醤油の香りがしているのだが、ボタンを押すと強烈に濃い香りがする。

 

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f:id:ngcmw93:20220425171314j:imageマルキン醤油記念館を見学する。明治40年創業。450円くらいの入場料を払うと醤油を貰える。売店で醤油ソフトを食べた。かなり濃厚な醤油で美味い。すぐ溶けるので一気に食べないといけない。工場の一部も見学できたので、700トンの圧をかける圧搾器を眺めた。製鉄所みたいな機械群だった。

 

f:id:ngcmw93:20220425171556j:image明日の朝使う港を確認しに行くと、たぶんフェリーに車を乗り入れる為の橋が上がっていた。人工反り立つ壁だ。周辺に野良猫が何匹かいる。

 

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f:id:ngcmw93:20220425171722j:image宿に到着する。この日はゲストハウス。主人曰く他に客はもうひとりだけなのでドミトリーを一人で使ってよいとのこと。日本地図と世界地図があり、出身地をシールで貼ってくれと言われる。新潟から来た先人は3人いた。中国やアメリカ、メキシコなどから来た形跡もあった。自由帳があり、滞在した人たちがメッセージを書き残している。ちらほら英語もあった。直島とセットで来た人も多いようだ。元従業員の書き込みもあり、この宿で住み込みバイトをした後移住してきたらしい。


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f:id:ngcmw93:20220425171805j:imageしばらく休んだ後、港近くのクラフトビールが飲める屋台へ行く。この街で遅くまでやっている店はここだけのようだ。大阪から移住してきたという店長がひとりでやってた。自分の他には東京から来た観光客カップルと、地元のおじさんがひとり。店長が「ビール切れたから樽取ってくる」と不在の間、地元のおじさんが好きにビールを注いだり、料理を出したりしていて良かった。今晩の宿を聞かれたので答えると、もうひとりの宿泊客もウチに飲みに来たらいいなあと言う。

地元おじさんが面白く、MCとして場を回していた。みんなすぐに打ち解ける。島の方言の話題になった。櫓を「背負う」とは言わず、「かぐ」と言うとか、小豆島の発音も「しょ」にアクセントがくるとか。

あとは太鼓祭りの話で盛り上がる。毎年10月、大規模な祭りがある。法被を着た人々がデカい櫓を担ぎ、派手に街を練り歩く。怪我人が出るほど激しく、祭りの為の保険があるらしい。「男になれる祭りだ」とおじさんは笑った。

集落ごとに祭りの仕様も違うそうだ。ある集落の祭りでは、沖合から港へ船が乗り込んできて、船上で踊り狂う獅子舞が祭りの開始を告げるらしい。超カッコよい登場の仕方だ。ビジュアルが格好良すぎる、あれには勝たれへん、とおじさんは豪快に笑っていた。旅先で現地の人々と喋るのはやはり面白い。特に土地の話、祭りという民俗の話を地元の人から聞けて満足した。千鳥足で宿へ戻る。

f:id:ngcmw93:20220425171829j:image帰り際、「いい満月が見えるぞ」と言われたが本当にいい月だった。街灯よりよっぽど明るい。やはり島はこうでないと。

宿に帰って歯を磨いていると、もう一人の宿泊客がやってきた。軽く挨拶する。さっき行った店をおすすめしようかと思っているうちに外出してしまった。2時間後、自分が寝支度をするころに帰ってきて、案の定クラフトビール屋台に行ったらしく「同じ宿から入れ替わりでまた客が来た!と盛り上がりました」と言ってて愉快だった。

 

 

四国旅行記①

 

寝台特急で四国を訪れた2泊4日の記録。

行き先は高松、小豆島、神戸。

 

○ 1日目

f:id:ngcmw93:20220422183959j:image仕事終わり、上越新幹線に飛び乗る。20時過ぎに東京駅23番線ホームへ到着。新幹線で飲むビールはなぜこうも美味いんだろうか。頭の中で旅程を確かめながら東京駅を歩き回る。本屋や土産物屋で時間を潰す。

 

f:id:ngcmw93:20220421181015j:image21:30頃、寝台特急サンライズ瀬戸」がホームに入線。先頭まで行って列車の顔を見た。特急顔だった。

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f:id:ngcmw93:20220421181335j:imageとりあえず無事に乗れたので安心。自分はノビノビ座席を確保したので5号車。意外と空いていて車両に5人しかいない。軽く車内を探検する。カード制のシャワー室や自販機がある。荷物を置き、3号車のラウンジに座って外を眺めた。乗務員が切符を切っていく。21:50発車。

車窓から富士屋の広告ネオンが見えて、映画のロストイントランスレーションみたいだ、と思う。もしくは中村一義キャノンボール』や、マニックスの『Motorcycle Emptiness』のPV。90〜2000年代初頭の東京の感じがツボなのだ。雑然としていて、ひたすらに人が多くて、賑やかなのになんだかくすんで見える街並みが。streamable.com目の前を東海道新幹線が並走し、すぐに追い抜いていった。なかなかいい感じだ。ハニーチーズクリームドッグ(ハチミツ味)を食べつつドトールのふんわりラテを飲むという激甘な間食をとる。近くの席で外国人の集団がシャンパンで乾杯していた。

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f:id:ngcmw93:20220422190039j:imageノビノビ座席は畳1畳半くらいのスペースだ。狭いがなんとか足を伸ばせる。枕元にコンセントがあるかと思ったら無かった。照明と読書灯はあるのに。このため2日目はスマホの充電が残り25%という危機的状況から始まる。

f:id:ngcmw93:20220425163713j:imageノビノビ座席は一番安い席で、他に様々な個室がある。これは一人もしくは二人で利用できる部屋。跳ね上げ式のベッドは乗り心地はわからないが少し怖そう。「MAXとき」みたいに上下に廊下のある二階建ての車両もあった。

23時の車内放送の後、廊下側の照明が少し暗くなる。窓のスライドを下ろすとちょうどよい暗さになった。しばらく眠る。

ふと目を覚ます。午前3時20分。いまどこに居るんだろう。グーグルマップを起動したら米原だった。琵琶湖が見えるかもしれない。窓の外をしばらく眺めたが、時々通り過ぎる駅のホームしか明かりはない。知らない場所にいる心細さが、なんともいえず良い。気付いたら車内は混んでいて両側のスペースにも人が寝ていた。途中の駅で乗り込んだらしい。

 


○  2日目

6時頃、岡山駅着の予告放送が流れた。ここで列車の切り離し作業がある。1〜7号車が高松行きのサンライズ瀬戸で、8〜14号車がサンライズ出雲


岡山の次の児島駅JR四国の乗務員に交代しました、と放送が入る。

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f:id:ngcmw93:20220421181813j:image続けて瀬戸大橋の説明。6つの橋の総延長は13.1キロ。サンライズ瀬戸は7分間かけて渡るらしい。曇り空だったが、通り過ぎる瀬戸内海の島々が見えていい感じだ。

 

f:id:ngcmw93:20220421181901j:image7:26、高松駅に到着。四国に初上陸した。小雨が降っている。

向かいのホームには松山行きの「特急いしづき」が停車していた。エスカレーターで全員右側に立っていて、ああ西日本だ、と実感する。とりあえず体勢を整えるためにスタバに入り充電する。ラジオ体操をする建設作業員や、ホームを掃き掃除する駅員をボーっと眺めた。いい時間だ。

 

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f:id:ngcmw93:20220425164328j:image天気予報では9時以降は降らない予報。「ことでん」に乗り琴電琴平へ向かう。高松築港駅高松城跡の真横にあり、石垣に沿って車両が入ってくるのが面白い。

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f:id:ngcmw93:20220422191105j:image琴電はマスコットキャラの「ことちゃん」がかわいい。琴電の駅はもちろん、街中いたるところにいた。表情豊かでいろんなデザインがある。

 

1時間ほど琴電に乗り、終点の琴電琴平駅へ。ここから徒歩で金刀比羅宮を目指す。修学旅行生の大群に巻き込まれる。かなり急な階段を数百段登る。中学生がくたびれてるくらいなので、大人たちは時々ある茶屋やベンチで休み休み登らなくてはならない。軽い登山だ。

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f:id:ngcmw93:20220425165555j:image途中、優しそうな白馬が二頭いた。月琴号とはかっこいい名だ。馬小屋の隣には謎のプロペラが奉納されてる。

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f:id:ngcmw93:20220425165806j:imageなんとか本殿に辿り着き、お参りをしてすぐ下山。濃い霧が出ている。

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f:id:ngcmw93:20220425170047j:image土産物屋街を歩く。陸軍中野学校は知ってたが中野うどん学校は知らなかった。しかもA館B館の2校ある。その場で自分でうどんを打って食べれるらしい。近くの売店で和三盆ソフトを食べた。すごくインスタ映えなやつが出てきて困る。美味かった。付近にかなり怪しい雰囲気の喫茶店があった。この照明で営業してるのだろうか。

 

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f:id:ngcmw93:20220424151432j:image琴電に乗り移動。さぬきうどん上原屋本店で昼飯を食べる。ついに初の本番うどん。もう、感動する美味さだった。コシが強い。高野豆腐揚げが美味しすぎて声が出そうになった。凄い量の出汁が染みてる。

 

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f:id:ngcmw93:20220424151645j:image栗林(りつりん)公園を見学する。広大な庭園で、軽く見て回るのに1時間かかった。

公園の一角に香川うどんの解説がある。平成10年の調査で、香川県民が一年間に食べるうどんの量は男性310玉とある。生産量・消費量ともにずば抜けた一位らしい。当たり前のように毎日うどんを食べるとは。しかしこれだけ美味ければ主食でもいいかも。

また琴電に乗っていたら、瓦町駅くるりの「コトコトことでん」のメロディーが流れた。2018年から発車のチャイムとして使われてるらしい。確か名曲「赤い電車」もどこかの駅で使われてたはず。電車おたくバンドだ。

 

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f:id:ngcmw93:20220424151918j:image宿にチェックインしてから街を散策する。この日見つけた良い看板と像。なんかヤドンのポストもあった。商店街の外れの方に、高松城の外堀跡の旧跡があった。現在残っている城跡から数キロは離れており、その広大さが伺える。


夕飯を決めてなかったので適当なラーメン屋に入ったらまさかの二郎系だった。訳もわからずライスも付けて完食した。肉と脂の暴力。なぜ香川まで来て二郎を食ったのか謎。軽くダメージを受け、すぐ寝た。

 

 

わかしょ文庫『うろん紀行』

f:id:ngcmw93:20220313105220j:imageずっとこういう本を読みたかった。理想的なテーマで、文章もきれいで読みやすい。暗めで内向的なトーンも良かった。この本を見つけられてよかった。

 

これは旅行記であり、私小説であり、エッセイで読書記録だ。筆者は趣味としてやってるというより、連載することになったので原稿を書くために、使命感で(若干億劫になりながら)小説の舞台となった場所、あるいはその小説に似合う場所などをあちこち訪ねて、本を読み、文章を書く。内容は本の印象だったり、街の様子や人との会話、自分の考えたことなど様々だ。聖地巡礼、という感もなく、例えば金沢文庫へ行ったものの休館中で、駅前のミスタードーナツに寄っただけで帰る章とかある。馬が登場する本を読むために、路上でコンミートを食べながら発泡酒を飲んだりする。割と無軌道だ。

ある場所を訪れて、その場の風景を観察したり、何かを体験することによって、筆者は小説を新たに解釈したり書かれた当時に思いを馳せたりできる。面白い試みだし、ひとりでできるのも良い。読書も、旅も基本一人でできる。

そして旅の行き先は、ただ旅行するには行き先にとても選ばないような、在来線の終点とかコケが生えた寺とかだったりする。わざわざコストコのフードコートの喧騒の中で『万延元年のフットボール』を読んだりする。好き好んでやる人はあまりいなそうな、遊び心のあって大して意味がなさそうな探訪、こういうのが面白い。

第四章で後藤明生の『挾み撃ち』の舞台を辿り、亀戸で豆屋を発見したときの描写が良かった。作中に登場した豆屋が同じ場所に残っていたのを見つけて、思いがけないことに筆者は笑いださんばかりに興奮する。目的を持って旅をすると、こういう発見が嬉しい。

 

筆者があとがきでも言っているとおり、結局、自分が自分であることから逃れられない。どこへ行っても、何をしても、自分という存在の輪郭が増すだけで、それ以外の人間にはなれない。自分が香港のスターフェリーに乗りながら、夜景を見てぼんやりとそんなことを考えたのを思い出した。旅をしてると、普段はそんなことは考えないのに、そういう俯瞰的なモードになることがある。

筆者は第十二章がターニングポイントだという。タイトルが「???」と表記されている、若干掴みどころのない、でも最後に現在を肯定して前を向くような文章。いくつもの本の内容を引用し、街を見渡して、自分の立ち位置を確認するようなこの章は、本書全体でやろうとしていることが凝縮されているようだ。

筆者はこの章を「墓標」と呼んでいる。こんな感じに吹っ切れるきっかけになるような、或いは心の拠りどころになるような、自分にとって改心の文章が書けるようになりたい。

 

くどうれいんの本を読んだ時も思ったけど、普通に会社勤めをしている人が、なんとなく生活が滲むような文章を書いていることに本当に勇気づけられる。日々働いて、生きるための煩わしいあれこれに手を焼きつつ、時間を作っては創作をする。これはすごく尊いことのように思える。

あと、本筋と全く関係ないが、筆者が馬喰町の夜行列車ホテルで試す「夜行列車のなかでテクノなどの規則性を持つ音楽を聴くと、脱力感と浮遊感があり自己同一性を失ってしまいそうになり、言いようもなく気持ちいい」感覚、について知りたくなった。割と界隈では有名な感覚なんだろうか。映画『僕達急行A列車で行こう』で松山ケンイチが車窓を眺めながら音楽を聴くオタクの役をやってたのを思い出す。これのことだろうか。調べてもよくわからない。トランス状態というか、ある種の"ととのう"感覚になれるのだとしたら興味がある。合法で快楽を得る方法をたくさん知りたい。

 

ミュージックビデオの話


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初めてバンドのMVを作った。良い街だからいつか撮りたいな、と思っていた松本という街をテーマに映像を作れたので嬉しい。


映像は2021年10月16日にひとりで撮った。夜に予定があったので、昼過ぎに松本に到着してから3時間ほど街を歩いて、ひたすら撮った。OSMO mobile2にiPhoneを接続して、カメラには画角が広がる外付けレンズを付けて撮ったが、付け忘れて比率が微妙に小さくなってしまったカットもある。撮りながら徘徊してたらユーチューバーと思われて恥ずかしかった。晴れの日で、陽差しがちょうどいい具合だったのは運が良かったと思う。なんとなく撮影したい場所に目星をつけてはいたけれど、絵コンテなどは書いてなかったので、とりあえず片っ端から撮る、歌詞の一節ごとに当てはめられるよう10秒くらいずつ撮ることを意識した。

松本の街で好きなのは、山に囲まれていて気候が穏やかなところ、城があるところ、川が多いところ、街並みが美しいところ、地方都市の規模感としてちょうどいいところなどだ。特に、商業地と繁華街がぎゅっとコンパクトなのに、遠くにアルプスの山が見えるおかげか通りに奥行きを感じるのが良い。快晴の日が多くて空が高いのも雪国の人間からしたら羨ましい。縄手通り周辺から松本城あたりにかけての一帯が特に気に入っている。毎回泊まる「東屋」というゲストハウスが縄手通りの端の方にあるので、このMVの大半はそのあたりで撮った。

ちなみに全部松本市内で撮った雰囲気を出しているが数カットは新潟市。松本に新幹線は通っていないのに鉄道高架の下を潜ってるのでバレる。あとサビ前にアップで映る猫とか。風景だけだと抑揚がつけ辛く、4分もたせるのが難しい。今回は街の風景をテーマにしたけど、やっぱりいずれは撮る対象として人を映してみたい。

 

 

以下、参考にした元ネタのMVの話。


The world will tear us apart『September song』


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2019年頃よく聞いていた。かなり心が弱っていた時期なんだけど、この曲にはいつも励まされた。colormalのイエナガ氏とレーベルオーナーの前田氏の2人が中華食ったり煙草吸ったり琵琶湖行ったりする。なんとなくのストーリーがあるのが良い。

自分が関西へ旅行に行って、琵琶湖に沿って走る滋賀県道2号線をドライブした時のことを思い出す。このMVがあったから、映像に歌詞を入れようと思った。サビの歌詞が良い。「余計なことも考えて/未来に期待をし続けよう/誰にもわかってもらえなくたっていい」

 

 

みなとまち『夕闇通り』


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曲も映像も透明感がある。なんというか、隙がある感じ、良い意味でアマチュア感がある。アイデアが詰まっている。月の陰りとかフェンスの影とか、細かいカット割りの部分が上手いと思う。

 

 

EVISBEATS feat.田我流『ゆれる』


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一時期毎日聴いてた。本当に名曲。たくさんの人の人生のテーマソングになるような曲だ。軽やかなスルメ曲なのにリリックがずっと頭に残る。映像も良い。生活してる、って感じがする。曲に対して一番理想的な映像だと思う。

 

 

アナログフィッシュ『No Rain(No Rainbow)』


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街の撮り方はこれが理想で、ずっと頭にあった。

自分は高校生の頃『ROCK IS HARMONY』をよく聴いていたけど、それ以降全く聴いてなかった。りんご音楽祭でライブを観たらめちゃくちゃ良くて、それから10年ぶりくらいに聴き直したら全アルバム良かった。オウガユーアスホールとかアナログフィッシュとか、長野はかっこいいバンドが多い。


長野県、特に松本と諏訪あたりは何度行っても楽しい思い出ばかりできるので、すっかり気に入ってしまった。映像の素材は山ほど残っているので、もう一作くらいこの街の風景で映像作品を作りたい。

 

2021年よく聴いた3枚


通勤に一時間近くかかるため、以前はバスでよく音楽を聴いていた。でもこの一年はラジオばかり聴いており、アルバム1枚を通して聴くことはめっきり減ってしまった。9枚選ぼうとしたけど何か書けるほど聴いたのは3枚しかなかった。

今年リリースの作品はあまりなくて、数年前からApple Musicのライブラリに入れていたのを発掘して改めて聴いたら良かった、ってやつが多い。

 

 

find fuse in youth (通常盤) (特典なし)崎山蒼志『find fuse in youth』

発売日からひたすら聴いてた。単純に曲がカッコ良すぎる。「Heaven」「花火」「そのままどこか」が好き。「五月雨」のバンドバージョンも良い。なんかテクノな曲とかインストとか入ってて、強い曲ばかりではなく箸休め曲があって聴きやすい。2019年のフジロック苗場食堂で見た時からずっと好きなんだけど、PV見てると崎山先生があの時よりはるかに大人びていて(当たり前)、時間の経過と自分のおじさん化を感じる。

 

 

SAD COMMUNICATIONPOLTA『SAD COMMUNICATION』

「ギルティ」「30」「新世界」が特に好き。かなりポップ。ギルティはベースラインを弾いてみたりした。和音のベースのイントロがいい。ベースの方の作曲が多いからかベース始まりの曲が結構多い。たまにやってる配信ライブも観てた。今でも2010〜2013年頃の初期禁断の多数決が好きなので、尾苗さんの歌声が聴けるのは嬉しい。禁断時代の曲では「冬の夜」とか好きだった。

 

 

NOUGAT『40 MINUTE MEDITATION』

12月はこればかり聴いてた。本当にかっこいい。どストライクだった。曲調も、ツインベースで重ための音も、英語みたいな語感で気怠く歌われる歌詞も、全てが気に入ってしまった。「行かないで」「DOUBT」「SWEATER」の重ためリフ曲3連発が最高。バリッとしたギターとゴリゴリのベース。「あいはなけなし」のPV、ボーカルの方がひとりで江ノ島とか行って撮ったらしいけど良い。めちゃくちゃクールな映像だ。タイトルもクールだ、40分間の瞑想。

 

 

そのほかによく聴いたのは以下のとおり

・藤井風『HELP EVER HURT NEVER』

SuiseiNoboAz『3020』、『MARK 3020』

・集団行動『充分未来』

・羊文学『POWERS』


色々書いたけど、曲単体で一番聴いたのはムーンライダーズの「9月の海はクラゲの海」だと思う。良い曲。

 

2021年ハマったもの

 

f:id:ngcmw93:20211231081809j:imageヒッチャー

1986年公開の映画。春頃に映画館でやっていたので、ポスターに惹かれて観に行ったら大当たりだった。小説とか漫画とかドラマとかひっくるめて、今年一番面白くて衝撃を受けた作品は実はこれだった。

ストーリーは単純で、新車を運搬する仕事をしている青年が、一度ヒッチハイクで拾った謎の男(ジョン・ライダー)に執拗に追いかけ回され、命を狙われるというものだ。ガソリンスタンド爆破とかヘリ墜落とか、ド派手なアクションシーンもあるけど何より魅せ方が凄い。ガソスタ爆破寸前の脱出シーンは本当に手に汗握る。ラストの直接対決で、ジョン・ライダーが車から飛び移ってくるスローモーションのシーンは、今でも頭にこびり付いて離れない。カッコ良すぎる。

狂人の表現って難しいと思うけど、圧倒的な悪を描くとすれば闇堕ちした理由を描くとか、目の前で恋人を死なせるとか方法があると思う。この作品の悪、ジョン・ライダーは一切の理由なく面識もない主人公を殺そうとする。周囲の人間を殺しまくり、警察に捕まろうとお構いなしにひたすら追跡するターミネーター。そして身元が一切不明で本名すらわからないのも不気味過ぎる。その不気味さとイカれた表情の演技が、行動原理が理解不能の最強の狂人に仕立てている。「ダークナイト」のジョーカーと並ぶ最高かつ最強の敵だと思う。

一番衝撃だったのは、画があまりにも美しいことだった。どのカットもバシッとキマってる。エンドロールのバックで流れる、車に寄りかかりながら煙草を吸う主人公のシルエット、格好良くて痺れた。

この映画を観終えてから、ジョン・ライダー役のルドガー・ハウアーは『ブレードランナー』のラストで「雨の中の涙のように」の名台詞を言った役者だと知った。そして最近亡くなったことも。追悼上映だったようだ。こういう当たりの映画があるから、もっと暇を見つけてふらりと映画館に入るようにしたいと思う。あと、この映画はマイケル・ベイのリメイク版があるので観たい。

 

 

f:id:ngcmw93:20211231083808j:image『水は海に向かって流れる』

田島列島の漫画。全3巻で完結したのは去年なんだけど、今年漫画喫茶で一気読みして、面白すぎてそのまま本屋で買った。物語は割と狭い範囲で静かに進んでいくけど、ずっとスウィングしてる。人間の関係性の変化を描くのに、シェアハウスの設定ってやっぱ強いなと感じる。たくさんの小ネタと会話劇の面白さ。絵も単純に見えるけれど、話が進むにつれて榊さんの表情がどんどん柔らかく、可愛く見えてくる。冒頭のポトラッチ丼を作る榊さん、まさに「普通のめんつゆで暴力的に味付けをしてる」顔で笑える。

同じ作者の「子供はわかってあげない」も面白くて、今年公開された映画も良かった。公開前から監督のブログを読んでて「かなりふざけてるけど大丈夫かな」と観に行ったら冒頭からアニメ『魔法左官少女バッファローKOTEKO』が始まってやると思ったよ、ってなった。上白石萌歌が友達との挨拶でやたら「アデュー」って言わされてるな、と思ったけど読み返したら原作の台詞でも普通に言ってた。

 

 

ザ・ファブル(1) (ヤングマガジンコミックス)ザ・ファブル

これも第一部が完結したのは去年。しかし自分は今年の3月頃にハマり一気読みした。その後も山岡との対決あたりは何周も読んだ。とぼけた変人主人公が実はチート級に強い、ってストーリーだとなろう系かよ、と思うが全然違った。プロ意識の高い殺し屋、でも休業中で殺しは禁じられてる。しかし住む街のヤクザに世話になってるせいで、悪い連中のゴタゴタに巻き込まれる。いい設定だ…。

殺し屋イチ」が好きすぎて、飽きないようにあまり読み返さないようにしてるくらいなんだけれど、ファブルにはギャグ要素が多分に含まれてるのでいつでも読みやすい。

なお映画は観れていない。アマプラで観たい。

 

 

忍者と極道(1) (コミックDAYSコミックス)『忍者と極道』

これもヤクザが沢山出てきて大体死ぬ。清々しいほとぶっ飛んでて、ここまで振り切れてるとなにが起こっても許されると思う。「物語の中心に一本強い軸が通っていて、あと熱い人間ドラマがあれば、あらゆる話の粗や物理法則は無視してよい」ことはガイナックスのアニメと男塾と忍極に教わった。勇気が出る。やはり帝都高(テトコー)編が一番好き。ツイッター上で、ファンによるモルカーと殺島のコラボ絵を観測できてよかった。

 

 

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド + エキスパンション・パス -Switch (【Amazon.co.jp 限定】オリジナルアクリルキーホルダー 同梱)ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』

半端なく面白かった。今年の初めにピクミン3に飽きたので買ってみたらどハマりして、毎日寝不足だった。ただ平原を馬で駆けてるだけでも心穏やかになれる。中盤からはエンディングに向かいたくなくて、あらゆる武器でライネルを倒したり、雪山を盾サーフィンしてた。従姉妹が開発スタッフにいたらしく、スタッフロールに名前があったし祠に名前が付いてた。

 


f:id:ngcmw93:20211231105454j:image『明日のたりないふたり

オードリー若林と南海キャンディーズの山崎によるコンビ「たりないふたり」の解散ライブが5/31に行われた。ラジオで解散までの一部始終を知ってた自分は「観たいなあ」と思いつつオンライン上映のチケットを買わず見逃し、ネット上で感想を観測しては「観たかったなあ」とぼんやりと思って終わった。と思っていたが、12月に一日限りの再上映が行なわれると知り、ギリギリでチケットを取った。本当に売り切れギリギリだったようで、自分がローチケで買った翌日には完売となってたし席は一番前の一番右というとても見づらい場所だった。山ちゃんの顔が長細く見えるくらい見づらかった。

シンエヴァ仕様の「これまでのたりないふたり」からの登場、嫁いじり、イケアの椅子、天の声、SMクラブ、自虐の竹槍…どのフェーズも掛け合いがずっと面白くて笑いっぱなしなんだけど、後半に客席に降りた若林が「歯が無いファンの老人」キャラで本質を突き出してからの展開はもう凄い。若林が自意識の剣で何度も切腹を試みるシーンは笑い泣きして観てた。そこまでやるか、ってほどの自虐と自己批判。演劇やコントの形を借りた、本音のセリフの応酬だった。ヘリコプターのくだりでの長ゼリフのぶつけ合いと、最後の「たりなくてよかった〜」の台詞と、その後流れる銀杏のBABY BABYでまた少し泣いた。DJ松永も当然泣いてた。終演後倒れた若林が死ななくて本当よかった。

 

 

f:id:ngcmw93:20211231105552j:imageドラム

うっかり電子ドラムを買ってしまい、楽しい。しかしボロ家に住んでいるため防音に気を遣う。DIYで「ディスクふにゃふにゃシステム」を構築した。ベニヤ板とバランスクッション4個、コルクボード2枚、ゴムシートを重ねてる。

youtubeで「ドラム 初心者 練習」で検索して出てくる基礎メニューとかルーディメンツをひたすら練習してる。あと少しでアメフト「Never Meant」が叩けそう。

 

 

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f:id:ngcmw93:20211231085119j:imageダムと橋

相変わらず「でかい構造物が自然の中にある」という構図が好きで、山や谷へドライブしてはダムを眺め、ダムカードをゲットしてる。やはり鹿瀬ダムは素晴らしい。ダムを観た帰りに温泉に寄ったり、ラーメンを食べたりしてる。

 

 

振り返ってみると、今年出た作品ではなく何年も前からあるけど自分が今年触れてハマっただけ、ってやつが多い。瞬発力がないので、ちょっと遅れて発見するものばかりだ。

映画で面白かったのは『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』『アンダードッグ』『街の上で』『シン・エヴァンゲリオン』『フィッシュマンズ』など。あとは午前十時の映画祭で観た『ザ・ロック』『隠し砦の三悪人』『ファイト・クラブ』。もう何回観たかわからないけど、どれも面白かった。

自分の創作に関しては、全然進捗は無かった。バンドは特に動いておらず、短編を一作書いた以外は文章を書けていない。映像編集の作業も滞ってる。来年は、なんとしても本を作りたい。