状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

読書

天使の囀り

天使の囀り (角川ホラー文庫) 作者:貴志 祐介 KADOKAWA Amazon ここ数年で一番の読書体験だった。とんでもなく面白い。ストーリー、提示される謎、構成、進み方、キャラクター、どれも圧倒的だ。 そして、あまりにも恐ろしい話だった。人間が自分の意思では…

『出会って4光年で合体』

www.dlsite.com とんでもなく面白い。久しぶりに漫画を一気読みした。漫画の体裁だが小説的な要素もあり、382ページの分量をしっかりと読み切るのに半日を要した。凄まじい情報量の、とても重厚な物語だった。中学生の性欲、完璧な女の子、狐憑き、島の風習…

『シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち』

シャドウ・ダイバー 上―深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち (ハヤカワ文庫 NF 340) 作者:ロバート・カーソン 早川書房 Amazon 面白かった。程よいページの多さと重厚な人間描写で読後はかなりの余韻があった。レック・ダイビング=難破船の発掘ダイ…

わかしょ文庫『うろん紀行』

ずっとこういう本を読みたかった。理想的なテーマで、文章もきれいで読みやすい。暗めで内向的なトーンも良かった。この本を見つけられてよかった。 これは旅行記であり、私小説であり、エッセイで読書記録だ。筆者は趣味としてやってるというより、連載する…

好きな旅行記の話

いまだに海外旅行に行けない状況だ。今年は無理でも来年こそは、と思いつつもうあまり期待していない。ウラジオストク旅行を計画してからもう2年も持ち越してる。 ずっとひとつの街で生きてると、なんだか気持ちがクサクサしてきたり、暴力的な、破茶滅茶に…

野崎まど『know』

know 作者:野崎まど 発売日: 2013/09/30 メディア: Kindle版 面白い。とんでもなく面白かった。一日で一気に読んでしまった。ここまで夢中で読んだ本はいつ振りだろうか。このブログでは基本的に好きな作品についてしか書かないので、言葉を尽くして絶賛する…

物語を創るという物語

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス) 作者: 大童澄瞳 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2017/01/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (12件) を見る 「映像研には手を出すな!」を3巻まで読んだ感想。 虚構の物語を創り出す制作の現場…

宮本輝『青が散る』

どうしてこんなにも哀しく、寂しいのだろう。テニスに打ち込む主人公を描いた青春小説だというのに、読後まず浮かぶのは「寂しい」という感想だ。これは初めて読んだ学生の頃から変わらない。むしろ読み返すほどにこの寂しさ、無常感は強まるばかりだ。 簡単…

私を構成する9冊

1.「ブラザーサン・シスタームーン」恩田陸 2.「ノルウェイの森」村上春樹 3.「ハーモニー」伊藤計劃 4.「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦 5.「青が散る」宮本輝 6.「スカイ・クロラ」森博嗣 7.「GO」金城一紀 8.「ダヴィンチ・コード」ダン・ブラウン 9.「…

好きな枡野浩一の短歌5選

学生のあなたの夏を聞きながら 働く日々がわが夏休み さっぱりした感じが好きだ。年下の彼女が欲しくなる…コメントの文章がよかった。「映画館へ、海へ、朝顔市へと飛びまわる彼女の話に、笑ったり感心したりしながら、頭の中を真っ白にして働いた。彼女の長…