状況が裂いた部屋

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2021年ハマったもの

 

f:id:ngcmw93:20211231081809j:imageヒッチャー

1986年公開の映画。春頃に映画館でやっていたので、ポスターに惹かれて観に行ったら大当たりだった。小説とか漫画とかドラマとかひっくるめて、今年一番面白くて衝撃を受けた作品は実はこれだった。

ストーリーは単純で、新車を運搬する仕事をしている青年が、一度ヒッチハイクで拾った謎の男(ジョン・ライダー)に執拗に追いかけ回され、命を狙われるというものだ。ガソリンスタンド爆破とかヘリ墜落とか、ド派手なアクションシーンもあるけど何より魅せ方が凄い。ガソスタ爆破寸前の脱出シーンは本当に手に汗握る。ラストの直接対決で、ジョン・ライダーが車から飛び移ってくるスローモーションのシーンは、今でも頭にこびり付いて離れない。カッコ良すぎる。

狂人の表現って難しいと思うけど、圧倒的な悪を描くとすれば闇堕ちした理由を描くとか、目の前で恋人を死なせるとか方法があると思う。この作品の悪、ジョン・ライダーは一切の理由なく面識もない主人公を殺そうとする。周囲の人間を殺しまくり、警察に捕まろうとお構いなしにひたすら追跡するターミネーター。そして身元が一切不明で本名すらわからないのも不気味過ぎる。その不気味さとイカれた表情の演技が、行動原理が理解不能の最強の狂人に仕立てている。「ダークナイト」のジョーカーと並ぶ最高かつ最強の敵だと思う。

一番衝撃だったのは、画があまりにも美しいことだった。どのカットもバシッとキマってる。エンドロールのバックで流れる、車に寄りかかりながら煙草を吸う主人公のシルエット、格好良くて痺れた。

この映画を観終えてから、ジョン・ライダー役のルドガー・ハウアーは『ブレードランナー』のラストで「雨の中の涙のように」の名台詞を言った役者だと知った。そして最近亡くなったことも。追悼上映だったようだ。こういう当たりの映画があるから、もっと暇を見つけてふらりと映画館に入るようにしたいと思う。あと、この映画はマイケル・ベイのリメイク版があるので観たい。

 

 

f:id:ngcmw93:20211231083808j:image『水は海に向かって流れる』

田島列島の漫画。全3巻で完結したのは去年なんだけど、今年漫画喫茶で一気読みして、面白すぎてそのまま本屋で買った。物語は割と狭い範囲で静かに進んでいくけど、ずっとスウィングしてる。人間の関係性の変化を描くのに、シェアハウスの設定ってやっぱ強いなと感じる。たくさんの小ネタと会話劇の面白さ。絵も単純に見えるけれど、話が進むにつれて榊さんの表情がどんどん柔らかく、可愛く見えてくる。冒頭のポトラッチ丼を作る榊さん、まさに「普通のめんつゆで暴力的に味付けをしてる」顔で笑える。

同じ作者の「子供はわかってあげない」も面白くて、今年公開された映画も良かった。公開前から監督のブログを読んでて「かなりふざけてるけど大丈夫かな」と観に行ったら冒頭からアニメ『魔法左官少女バッファローKOTEKO』が始まってやると思ったよ、ってなった。上白石萌歌が友達との挨拶でやたら「アデュー」って言わされてるな、と思ったけど読み返したら原作の台詞でも普通に言ってた。

 

 

ザ・ファブル(1) (ヤングマガジンコミックス)ザ・ファブル

これも第一部が完結したのは去年。しかし自分は今年の3月頃にハマり一気読みした。その後も山岡との対決あたりは何周も読んだ。とぼけた変人主人公が実はチート級に強い、ってストーリーだとなろう系かよ、と思うが全然違った。プロ意識の高い殺し屋、でも休業中で殺しは禁じられてる。しかし住む街のヤクザに世話になってるせいで、悪い連中のゴタゴタに巻き込まれる。いい設定だ…。

殺し屋イチ」が好きすぎて、飽きないようにあまり読み返さないようにしてるくらいなんだけれど、ファブルにはギャグ要素が多分に含まれてるのでいつでも読みやすい。

なお映画は観れていない。アマプラで観たい。

 

 

忍者と極道(1) (コミックDAYSコミックス)『忍者と極道』

これもヤクザが沢山出てきて大体死ぬ。清々しいほとぶっ飛んでて、ここまで振り切れてるとなにが起こっても許されると思う。「物語の中心に一本強い軸が通っていて、あと熱い人間ドラマがあれば、あらゆる話の粗や物理法則は無視してよい」ことはガイナックスのアニメと男塾と忍極に教わった。勇気が出る。やはり帝都高(テトコー)編が一番好き。ツイッター上で、ファンによるモルカーと殺島のコラボ絵を観測できてよかった。

 

 

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド + エキスパンション・パス -Switch (【Amazon.co.jp 限定】オリジナルアクリルキーホルダー 同梱)ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』

半端なく面白かった。今年の初めにピクミン3に飽きたので買ってみたらどハマりして、毎日寝不足だった。ただ平原を馬で駆けてるだけでも心穏やかになれる。中盤からはエンディングに向かいたくなくて、あらゆる武器でライネルを倒したり、雪山を盾サーフィンしてた。従姉妹が開発スタッフにいたらしく、スタッフロールに名前があったし祠に名前が付いてた。

 


f:id:ngcmw93:20211231105454j:image『明日のたりないふたり

オードリー若林と南海キャンディーズの山崎によるコンビ「たりないふたり」の解散ライブが5/31に行われた。ラジオで解散までの一部始終を知ってた自分は「観たいなあ」と思いつつオンライン上映のチケットを買わず見逃し、ネット上で感想を観測しては「観たかったなあ」とぼんやりと思って終わった。と思っていたが、12月に一日限りの再上映が行なわれると知り、ギリギリでチケットを取った。本当に売り切れギリギリだったようで、自分がローチケで買った翌日には完売となってたし席は一番前の一番右というとても見づらい場所だった。山ちゃんの顔が長細く見えるくらい見づらかった。

シンエヴァ仕様の「これまでのたりないふたり」からの登場、嫁いじり、イケアの椅子、天の声、SMクラブ、自虐の竹槍…どのフェーズも掛け合いがずっと面白くて笑いっぱなしなんだけど、後半に客席に降りた若林が「歯が無いファンの老人」キャラで本質を突き出してからの展開はもう凄い。若林が自意識の剣で何度も切腹を試みるシーンは笑い泣きして観てた。そこまでやるか、ってほどの自虐と自己批判。演劇やコントの形を借りた、本音のセリフの応酬だった。ヘリコプターのくだりでの長ゼリフのぶつけ合いと、最後の「たりなくてよかった〜」の台詞と、その後流れる銀杏のBABY BABYでまた少し泣いた。DJ松永も当然泣いてた。終演後倒れた若林が死ななくて本当よかった。

 

 

f:id:ngcmw93:20211231105552j:imageドラム

うっかり電子ドラムを買ってしまい、楽しい。しかしボロ家に住んでいるため防音に気を遣う。DIYで「ディスクふにゃふにゃシステム」を構築した。ベニヤ板とバランスクッション4個、コルクボード2枚、ゴムシートを重ねてる。

youtubeで「ドラム 初心者 練習」で検索して出てくる基礎メニューとかルーディメンツをひたすら練習してる。あと少しでアメフト「Never Meant」が叩けそう。

 

 

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f:id:ngcmw93:20211231085119j:imageダムと橋

相変わらず「でかい構造物が自然の中にある」という構図が好きで、山や谷へドライブしてはダムを眺め、ダムカードをゲットしてる。やはり鹿瀬ダムは素晴らしい。ダムを観た帰りに温泉に寄ったり、ラーメンを食べたりしてる。

 

 

振り返ってみると、今年出た作品ではなく何年も前からあるけど自分が今年触れてハマっただけ、ってやつが多い。瞬発力がないので、ちょっと遅れて発見するものばかりだ。

映画で面白かったのは『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』『アンダードッグ』『街の上で』『シン・エヴァンゲリオン』『フィッシュマンズ』など。あとは午前十時の映画祭で観た『ザ・ロック』『隠し砦の三悪人』『ファイト・クラブ』。もう何回観たかわからないけど、どれも面白かった。

自分の創作に関しては、全然進捗は無かった。バンドは特に動いておらず、短編を一作書いた以外は文章を書けていない。映像編集の作業も滞ってる。来年は、なんとしても本を作りたい。