○ 3日目
この日は高速鉄道で台湾を一気に縦断し、南の街高雄を観光する。
8:31台北発の高速鉄道を予約していたので、朝食も食べず急いで駅へ向かう。3日間高速鉄道乗り放題パスを使った。高雄まで往復乗るだけで元が取れる。パスポートと事前発行したチケットを駅員に見せて改札を通った。
車内は日本の新幹線と変わらない。というか台湾の高速鉄道は日本の企業群が一大プロジェクトとして受注し作ったのだ。新幹線の技術がそのまま使われている。普段よく乗る上越新幹線より座席が若干広い気がして快適だった。自販機でコーヒーを買ってみる。ゲロ甘だった。MAXコーヒーとほぼ同じ味。前日からブラックコーヒーが飲みたくて仕方ないのに。自分はカフェイン中毒なんだろうか。あと台湾はお茶もコーヒーも甘い物ばかりだ。
高雄駅は存在しないため、高雄の玄関口である新左營駅に着く。非常に大きな駅だ。駅と三越が連結している。まずは国鉄で1駅の左營駅へ移動。
まずは三牛牛肉麺という食堂へ。地元の食堂らしく、観光客はあまりいなかったが賑わっていた。先に席を確保して、席番号を書いた紙に注文を書き込んでいく。我々は牛肉麺(小)の塩味と醤油味、あと菜っぱの炒め物と凍み豆腐みたいな小皿を頼んだ。小の筈がでかい器が出てくる。レジ前で店員に凍み豆腐を取り上げられ、え?とか言ってたら食べやすい大きさに勝手に切り分けてくれた。親切だった。牛肉麺はとんでもなく旨かった。正直この旅でナンバーワンだ。若干癖があるがそれがハマる。飽きが来ない。同行者の塩味の麺も最高だった。凍み豆腐もすごく美味しい。隣のマダムが食べていた豚の血の煮凝り?も美味しそうだった。少し前に金原みわ著『さいはて紀行』を読んだ自分は、散髪のために刑務所へ行き、ヌードを見るため見せ物小屋を訪ね、ゴキブリなどの虫を食べる作者の好奇心に振り回される生き方に憧れたのを思い出した。血の煮凝り食べればよかった。食への興味は尽きない。
徒歩で蓮池譚を訪れた。観光スポットである龍虎塔は工事中だった。龍をかたどった入り口から入り、虎の出口から出るとなんか縁起がいいらしい。ゆるキャラの熊がいた。池ではなんかサーフィンをしている人がいた。高速で動くワイヤーに掴まり、牽引してもらって水面を走っている。快晴のため暑い。ここまで緯度が低いところに来たのはいつぶりだろうか。
船に乗って旗津島へ渡る。船乗り場ロビーには尻尾なしのエビフライみたいな謎オブジェが浮かんでいた。船はさっきも見た熊のキャラと、名探偵コナンの2種類を確認。10分足らずの航海で島に着いた。この距離になぜ橋をかけないのだろうか。
島には昼から屋台が立ち並ぶ。お祭りの最中のような賑わいだ。屋根付き自転車か電動バイクで島を巡るのがオススメらしい。初心者はお勧めにしたがっておこう、と電動バイクを借りて発車する。ハンドルでアクセルブレーキを操作する原付と同じ仕組みだったが、そういえば私は原付に乗ったことがないのだった。とりあえず全速全開で歩道を走る。爆音とともに50キロくらい出た。風が気持ちいい。えげつない振動。台湾の南の島でこんなスリリングな体験ができるなんて。近くを通ったアラビア人っぽいグループの車は普通に事故っていた。やがて海岸に出ると、強風で荒れる海と遙か沖合に停泊するタンカーが見える。5,6台の巨大な船影が浮かぶのは壮観だった。そのまま海沿いを暴走すると、様々なオブジェが見えてきた。
1時間のドライブで主要なスポットは回り終えた。バイクを返して近くの洞窟を探検し、船で本島に帰るか…と思ったら急に大雨が降ってきた。近くのコンビニに避難。島の観光をギリギリ終えてからのタイミングで助かった。スコールだったようで、30分ほどで止んだ。
帰りのフェリー乗り場近くに「丸浜」というアイス屋があり、評価が高かったので一つ頼んでみた。紅茶味のソフトクリームにタピオカが載ったスイーツ。かなり美味かった。時々普通に日本っぽい店がある。しかし店員は台湾人だ。オーナーが日本人なのか、日本人観光客をターゲットに日本風にしてるのかわからない。主人の帰りを待つ忠犬がいた。主人が戻ると、犬を足の間に挟んで普通にバイクに載せて走っていった。
六合夜市へ。高雄の夜市といえばここらしい。美麗島駅の近くにある。雨で濡れた路面にネオンが反射して、ブレードランナーっぽさを感じる。夜市の路地は美しかった。雨のせいか人通りはまばらでのんびり見て回れた。規模としては前日の夜市の半分くらい。ここで飲んだパパイヤミルクは感動する美味しさだ。注文するとその場でパパイヤを切り、砂糖と牛乳とミキサーにかけてくれる。ようやく小籠包も食べられた。かなり旨い。となりの席には犬が座っていた。
帰りの高速鉄道で適当に買った謎ドリンクを飲んだ。不味い。なんとなく字面でイチジクかな?と思ったのに、調べたら「黒木耳」の正解は「黒キクラゲ」だった。蜂蜜でどうにかできないレベルの不味さだった。こんなものを飲んだら健康になってしまう。ファミマ=「全家」らしい。街中で時々香る謎の香ばしい匂いの正体は煮卵だと判明。食べたかったが満腹で断念。深夜にホテルに戻り、フロントにただいま、と言って寝た。