自分が所属するバンドのMVを2つ作った。
公開からしばらく時間が経ち、作ったときのことを記録しておきたいので書く。
● 1作目:earthbound
淡々と進む短い曲なのでそんなに凝ったことはせず、モデルに機嫌よく歩いてもらうこと、DTM機材をいじってもらうこと、くらいしか指示しなかった。もう少し動作のネタを考えれば良かったと反省。動画のサムネイルにしているベランダのシーンが気に入っている。青みがかったフィルターは後から加工したものではなく、撮ったとき偶然そうなった。こういう偶然が起こるから映像は楽しい。良い質感だと思う。
・撮影前の絵コンテとメモ(全然この通り撮らなかった)
・参考にしたMV
参考①: talk『sundae flip』
大学生の頃に観ていたMV。これと『Waltz for feebee』には暗い大学生活後半を救われた。earthboundを聴いたときにこのMVが頭に浮かび、MVを作りたいなと思ったことが制作のそもそものきっかけだ。滲んでぼやけた輪郭の映像で雰囲気を出したかったので、あえて家にあったiPhone4で撮影した。
参考②:tofebeats『I CAN FEEL IT』
ひたすらかっこいい。こんなスタイリッシュには撮れないとわかっていたので、女の子がDTMをするというアイデアだけを借用した。
参考③:NOKIES! 『We Are News In Dance Floor』
これも大学時代よく観たMV。概要欄にiPhoneで撮った、と書かれていて「本格的な機材を持ってなくても撮っていいんだ」と勇気付けられた。映像の粗めの質感はこれに近づけたかった。
● 2作目:loophole
これは明確にNew Orderの『Temptation』へのオマージュを狙ったが、その点はあまり上手くいかなかった。諸事情で結局モノクロにしなかったし。なんとなくのストーリーだけ拝借した。
・撮影前のメモ
●参考:New Order『Temptation』
↑このニコ動のコメントで流れてくる「下手でもいい、自分の音を鳴らせ」(0:44頃)はめちゃくちゃいい言葉だな...と思う。出典はわからないがバーナード・サムナーの言葉なのだろうか? かの有名な世界一下手くそなスタジオライブ(1984年のBBC Radio)を行ったバンド、やはり説得力がある。
● 2作を振り返って
映像作品を撮る時に大事なのは、とにかくたくさん撮ることだ。撮ったときには使えないな…と思ったミスのカットも、編集の際に意外と使えたりする。撮るはずじゃなかった車の映り込みや、カメラのブレとかが案外よかったりして、編集のとき助けられたりする。
逆にどうしても使いたいカットを捨てなくてはならない時は辛い。風景のカットなどはまた何かの際に使えるかもしれないが、モデルが映るものはきっともう使えない。なんとも残念だが仕方ない。スティーヴン・キングが文章の推敲について語った言葉を思い出す。「最愛のものを殺せ。たとえ物書きとしての自尊心が傷ついたとしても、駄目なものは駄目なのだ」泣く泣く削ったカットは陽の目を見ることなく、我がMacBook Proの肥やしになる。
自分は年に一度のペースで強烈に「映像を撮りたい…」と発作的に思う時期があり、その度にベースを弾いているdramaというバンドのMVを作ってきた。トレーラー映像なども含めれば過去6年で6本。
今回別バンドへの参加にあたって、バンドに加入したばかりの自分が、ライブもしてない段階で「この2曲のMVを作りたい、音源を使わせてくれないか」と要求した訳だが、快諾して好きにやらせてくれたメンバーに感謝したい。企画し、絵コンテを書き、演者として出演してほしいミュージシャン(面識なし)に出演を依頼し、撮影場所の手配から実際の撮影、照明、編集まで全てひとりでやれたことは自信になった。割とやれるものだ。しかし俺はいつカメラを買うのだろうか。熱量があるうちに買わなければ本格的な映像を撮るところまでいけないが、いかんせん映像のモチベは年に一度しか高まらないのだった。