状況が裂いた部屋

音楽と映画と日常について

マタギの話

「大宴会in南会津」というローカルなフェスに行ってきた。空気公団、ミツメ、スカートなど、ちょうど見たかったバンドが全部見れて本当に大満足だった。が、ここではあえて同会場で開催されたマタギの方のトークライブについて書く。

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会場はこんな感じ。話者は地元のマタギ、菅屋藤一さん。話し方がとても丁寧で、かつとても面白かった。

 

    以下、語りの内容のメモ書き。主に後半の質問コーナーの回答から。

 

マタギという語の語源について。どうやらアイヌの言葉からきたらしい。「カワハギ」からきたという説もある。自分たちはマタギ、という言葉はあまり使わず、「殺生人」と言っている。

・昔は皮が高く売れたが、いまはそうでもない。胆嚢が高く売れる

・猟ができるのは3ヶ月くらい

・猟師というのは、出会い
生活の為にやっている面はあるが、喜びも悲しみも全て山がくれる。マタギになるのを決めたきっかけは、山に生きたいという気持ちがあったから。あと一番大きいのは親父の影響。

・猟師だけで生業は成り立たない、伝統を残そうという意味合いでやっている

・クマは本当に頭がいい
巣の近くの草を踏んで匂いを残す、他の動物が近寄らないように(?)

・足跡を消す。行った道をそのまま帰る、足跡を1筋しか残さない

・穴に入る際もジャンプして飛び込み、巣穴の前に前足や後ろ足の跡を付けない
・猟をするにも、何日も泊まりがけでしか行けないような山奥には入り込まない、無理はしない

・クマは1月から2月に子を産む。1匹か2匹。子クマは5月の連休くらいに穴から出てくる。
巣穴に近づくと親は怒って威嚇するが、30メートル以上巣から離れようとしない。

・親(オス)が子を殺すこともある。そういう習性がある。よってクマの頭数はあまり増えない。

・シカもいるけど狩らない。仕事が忙しくて

・最近は山仕事をする人がいないため、クマが住むラインが里に近づいてる。

・クマは押す力は強くないが、引く力はものすごく強い。巣をつつくとものすごい力で引き摺り込まれる。

・クマに遭遇したら、向かって立っててはいけない。地べたにうつ伏せになること。

・死んだふりはあんまり意味ない。多少喰われるのはあきらめよう。

・山に入るときは、ヘルメットをすること。クマに限らず、大きな枝が落ちてきたりする。

・地元のマタギで一番若いマタギは50歳近い。3人ほどしかいない。

・(半分冗談で)弟子になりたい人は名乗り出てほしい。 

 ・いつでも遊びに来てほしい。山へ案内する

 

トークライブが終わってからクマの皮を触らせてもらった。爪までしっかりそのまま。毛は結構柔らかかった。

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あと菅屋さんから名刺を頂いた。「間方生活工芸技術保存会」の会長という肩書きだった。脇に奥会津編み組細工というのだろうか、木で組んだバスケットが置いてあった。

 

マタギについては前から興味があり、図書館で民俗学の本をちょっと読んでみたりしていた。なぜ自分が興味を持ったのか考えると、マタギや山伏みたいな「境界」の向こう側とも呼ぶべき独特の場所を持っている人たちに関心があるようだ。マタギの人たちは山でしか使わない言葉、マタギ特有の言葉を持っていて、それを村など山以外の場所で使われるのを嫌ったらしい。あとマタギ以外に口外されない儀式を持っていたり、獲物を屠るときに呪いを唱えたりと、まるで物語の中の話みたいな行いをやっている。現代では流石にそこまでやってる人がいるかはわからないけれど、僕がパソコンに向かってるいまでも、同じ地続きの日本のどこかの山奥でそういった全く違う価値観と文化が生きてるのだなと考えるとワクワクする。ドキュメンタリー映画とかあったら観たい。