○ 2日目
台湾2日目。外は曇り空だがなんとか天気は持ちそう。この日は鉄道で十分(シーフェン)と九份 (ジョウフェン) へ。
出発前に日本から持ってきたアミノバイタル を摂取する。これを飲んでおくと疲労 感が80%くらい軽減される(個人的観測)。毎朝飲んだおかげで連日8時から22時まで動き回ったが問題なかった。
九份 方面へ移動する前に、朝食を食べに阜杭豆漿(フーハンドゥジャン)へ。有名店で並ぶと聞いていたが凄い賑わいだった。2階の店から列がはみ出し、階段を降りて建物を半周するまで行列が続く。まあ回転早いだろうしなんとかなるだろ、と並んだら30分ほどで入店できた。鹹豆漿(シェントウジャン)と薄皮クレープ、肉おにぎりとパイを注文。番号で注文できるので楽だ。昨晩食べ豆漿とは違って塩味のスープだった。かなり旨い。しかし調子に乗って頼みすぎ、死ぬほど満腹になった。パイは後で食べることにして移動。建物の1階に華山市場があり、衣類や雑貨が売られていた。こういった個人商店が集まってイオンの2階みたいな雰囲気になってる場所が時々ある。
台北 駅から台湾の国鉄 に乗って移動。台湾のMRTは切符の代わりにICチップ入りトーク ンを使うが、郊外の路線は普通にレシートのような切符を利用する。都市部から郊外、そして田舎へ代わっていく車窓を眺めるのは楽しい。途中で平渓線というローカル線に乗り換える。乗り換えの間は川を眺めたり、でかい蜂に追いかけられたりした。2時間弱で十分に到着。
十分は田舎街だが、年中観光客で賑わう。人々の目当てはランタンだ。ここでは紙でできたランタンに願いを描いて空に打ち上げることで願掛けができる。映画『青春18 ×2 君へと続く道』の舞台になった。俺たちの清原果耶がヒロイン役の映画だ。線路の両脇に売店 が密集して立ち並んでいる。電車を降りた途端、ランタン屋からうちでやっていけと声をかけられるがとりあえず軽く街をぶらつくことに。しかし小さな繁華街なので20分ほどで回れた。アーモンドとパクチー が入ったアイスクレープを食べる。一口目は美味かったがクレープが厚くて飽きてしまった。土産物屋を物色してからランタンを作ることに。4色?8色?と聞かれ、4色にした。赤は健康、黄色は金運、青は仕事などカテゴリーごとに分けられているらしい。筆で願いを書き入れ、完成したら線路の真ん中に運び、火を入れてもらって打ち上げる。一瞬で空に昇っていった。打ち上げの様子は店員から撮影してもらえる。動画で撮ってるのかな、と確認したら全部写真だった。コマ撮りみたいになってて面白い。
同行者はまあまあ達筆だった。対して自分は字が下手すぎてこういう時につらい。英語、ハングル、アラビア語 など観光客がそれぞれの言語で書いたランタンが昇っていく。いい光景だ。みんな普通に線路に侵入して打ち上げている。1時間に1本電車は通るので、鐘が鳴るとわらわらと線路から逃げる。こんなんでよく事故が起きないなと思う。毎日街中から火がついたランタンが昇るが、周りの山に落ちて火事になったりしないのだろうか。まあずっと続いているイベントなので大丈夫なのだろう。日本ではあまりできない体験だ。一機が土産物屋のコンクリ屋根に落ちて炎上しており、みんな笑っていた。なんか平和な光景だった。
十分から電車で瑞芳駅まで乗り、そこからタクシーで九份 へ。瑞芳駅に日本人がいたら話しかけて乗り合わせようと思ったのだが、何人もいたいた集団をすぐに見失ってしまった。眼鏡のおじさんのタクシーに乗る。昨日も思ったが、車が左ハンドルの右側通行なのが新鮮だ。ちなみにエレベーターでは全員右側に立つ。
15時頃、ついに九份 へ着く。結構な山の斜面にある。石段の入り口で写真を撮ろうとしたら、同行者が無い!と言った。スマホ がないのだった。焦る同行者。聞くとおそらくタクシーの中に忘れてきたようだ。まだ近くにいるかも、と降りた地点に戻るが眼鏡おじさんは見当たらない。近くにいた他のタクシー運転手に状況を身振り手振りで説明すると、周囲に向けて台湾語 で大声を上げる。どうやら他のタクシーにこいつらさっき乗せたやついるか?と聞いてくれたらしい。運転手が大勢集まるが、しかしみんな知らないという。なんか覚えてないか?と聞かれ、室内に「110」と書いてあったことを思い出し伝えるが、それは報案電話、つまり警察の番号で手がかりにならず。運転手のボス的な人が来て、ヘルプする、そこまでついてこいと身振りで示される。2人でついていくと警察署だった。Google翻訳 でやりとりし、探すからちょっと待ってて、と中に案内される。同行者はしょんぼりと連行されて行ったが、自分はさっきのタクシーのボスのところで待つように言われた。どれだけ待つことになるのか、誰か捜索してくれているのかわからないので、ダメ元でボスにもう一度「瑞芳駅からここに来た、30分くらい前、日本人2人を乗せた眼鏡のおじさんを探してくれ」と伝えてみたら、無線で何やら呼びかけてくれる。しばらくして興奮して「ファインドした、来る、待て」と伝えてくれた。無事見つかり安堵。煙草を吸う運転手たちの横で15分ほど待っていると、我々を乗せた眼鏡のおっちゃんが手を振りながらやってきた。助かった。なんかめちゃめちゃ笑われたが。瑞芳駅から九份 までの値段220元をもう一度払うことになったが全然構わない。とにかくこの旅最大のピンチを乗り越えた。ボスと周囲の運転手たちに謝謝、サンキュー、ありがとうと何度も伝え、走って警察へ同行者を迎えに行き、警察のお兄さんたちに良かったなと祝福された。
お世話になった九份 派出所前で飲んだ
とんだハプニングで小一時間生きた心地がしなかったが、なんとかなった。旅先で警察のお世話になるとは思わなかった。海外でスマホ をなくすことがこんなに怖いとは...と同行者は落ち込んでいた。とりあえず気持ちを落ち着かせるため、警察の横にある店でビールを2杯飲む。なんとも美味い。捜索に協力してくれたタクシー運転手たちにビールを奢りたい気持ちだったが、警察の前で飲酒運転はさせられないのでやめておく。いよいよ九份 の街へ。
九份 は有名観光地なだけあって、絵になる景色がたくさんあった。序盤の石畳では「台湾風の伊香保 温泉」というフレーズが浮かぶほどそんなにアレだな…と思ったが、中盤より上の石段は賑やかさが全然違う。さらに日が暮れてからの風景は本当に綺麗だった。やはり日本人観光客が多く、土産物屋も日本人向けのグッズが多い。ジブリ 、ちいかわ、ハローキティ など。飲食店、雑貨屋、謎ゲーセンなどが密集する。夕方から夜8時くらいまで滞在したが、体感では6時から7時頃の人出が凄く、だんだんと落ち着いて行った。石段の頂上付近にある「阿柑姨芋圓」でタロイモ のあんみつを食べた。温かくねっとりしたイモと冷たい氷、小豆の甘さが相まって美味しい。中盤にある茶屋で飲んだ台湾式飲茶は良い体験だった。店員が手際よく茶器を使って供してくれる。小さな茶器から湯呑みに茶を移し替え、その後小さな茶器の残り香を嗅ぐのが所作らしい。『クーリンチェ少年殺人事件』で見た気がするやつだ、と感動。一緒に出された饅頭が美味しかった。ココナッツ味。あとは席からの景色が良かった。九份 の街は高台にあるため海がよく見える。
他に屋台で唐揚げとかマンゴージュースを食べ歩きした。夜の九份 は活気に溢れてなんとも良い雰囲気だ。都市ではない、田舎の観光地にしかない情緒があった。やはり日本人が多い。そこらじゅうから日本語が聞こえる。あと歩いていると日本語で「おいしい!」「おすすめどう?」と話かけられる。台湾人と日本人の違いは見て分かるようだ。我々が思い切り観光客な格好をしているからでもある。
九份 から松山へバスで移動。定刻から10分ほど遅れていた。バスによって先払いと後払いがある。85ドルだった。アジア特有の運転荒めのバスでスリル満点。台湾のバイパスは片側4車線でかなり広々している。もちろんずっと高架で景色もよく、昼間乗ったら気持ち良かったと思う。
饒河街観光夜市へ。かなり規模の大きな夜市で、屋台が数百メートルにわたって連なる。普通の夜市は一本の通路の両側に屋台があるのだが、この饒河街夜市は二列の通路があり、それぞれの通路の両側に屋台が連なる。つまり普通の夜市の倍の屋台があり、ぐるっと一周しなければ全ての屋台を見れないのだ。
とりあえず入り口にある名物の「胡椒餅 」を食べる。もっちりしたパン生地の中に胡椒味の肉餡が入っている。満腹にならずにたくさんの屋台を楽しみたいので、2人でひとつ買い、同行者と分け合いながら攻めていく。また揚げ物を食べる。豚骨の薬味スープは感激する美味さだった。前日食べた地瓜球をまた見かけた。屋台の種類はどの夜市もそう変わらない気がする。エアガンで風船の的を撃つアトラク ションをやった。マシンガンを使ったが弾詰まりを起こし店員に直してもらう。結構打てたが商品は貰えず。牛骨スープを食べる時相席になったおじさんはスマホ で『負けヒロインが多すぎる』を熱心に観ていた。
市場の入り口にある廟を覗いてみる。本堂を熱心に拝んでいる人がいて、厳粛な雰囲気だった。お香のよい香りが漂う。近くにちいかわのお茶屋 があったので買った。烏龍ミルクティー だった。
深夜まで遊んだのに不思議と疲れはない。がらんとしたMRTに乗ってホテルに帰る。すぐに寝た。