状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

文フリへの道②完成

ついに本が完成したので、その報告と告知。

 

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f:id:ngcmw93:20251123094837j:image【新作】『諸相 vol.3』

8編の掌編を収録した文庫本です。リソグラフで印刷したブックカバー付き。A6サイズ、80P。

(解説)今年の秋に書いた7作の掌編と、昨年末に書いた「オールナイトロング」という短編を収録した文庫本。主人公は全員違って、文体も全部変えてみた。作ってみて、ここ最近作った本で一番達成感がある。30部しか刷っておらず、今年のうちに売り切りたい。

 

f:id:ngcmw93:20251123090122j:imagef:id:ngcmw93:20251123102718j:image【新作】『感性が交差する場所』
新潟市内野で飲食店を営む店主から、お店を作るまでの過程や変化しながら運営してきた経過をお聞きしたもの。B6サイズ、全64P、リソグラフ印刷の帯付き。

(解説)5月に簡易版を作った本を、カラーで製本して増版したもの。去年読んだ本「トラべシア vol.6」と「東京の生活史」に影響を受けて書いた。知り合いの飲食店の店主にお願いして、長いインタビューをさせてもらった。こちらも帯は友人の印刷所兼書店で印刷。グラデーションのデザインはcamvaを使って15分くらいで作ったもの。とても気に入っている。

 

丸一日ひとりでブースにいる予定。この文章をビッグサイトへ向かう新幹線で書いている。これを読んだ人は全員来ていただきたい。

 

11/23(日) @東京ビッグサイト

東京ビッグサイト南ホール

ブース名:闇鍋連合

出店位置:南3《く- 42》

 

公式サイト

https://bunfree.net/event/tokyo41/

 

個人のブース紹介

https://c.bunfree.net/c/tokyo41/4F/%E3%81%8F/42

文フリへの道①あとがきの公開

今年も11月の文学フリマ東京に参加する予定だが、新作本の準備に取り掛かるモチベーションが上がらないため、まずはあとがきを先に書いてもう校了したと思い込む目的でこれを書く。テーマとか書きたかったことが見えていれば取り掛かれるはず。まずはここで書くと宣言する。

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1.鶏を殺す

仕事小説。養鶏場の鶏を全滅するまで殺処分する業務を巡る話。養鶏場で一羽でも感染症の陽性反応が出たら、その養鶏場は防疫のため全部殺さなければならない。知っている範囲でドキュメント感を出した。普段ルーティンワークに従事する人間が、夜中に全身防護服を着て鶏を殺しまくるという非日常を描きたかった。

 

2.無害なテロリスト

こういうやつが存在していてほしい、という願いを具現化させた話。

 

3.二十五年前、八秒間

着想はアニメ『serial experiments lain』のED後に流れていたという「ウェザーブレイク」の映像から。これをニコ動で見たのは10年くらい前なんだけれど、なぜか頭に残っていたためこれに執着するオタクもいるのではないか、と推察した。安倍吉俊がサラッと落書きで書いたような玲音は可愛い。

 

4.始球式

何かのイベントの過程を書いてみたかった。

 

5.釉薬

釉薬という言葉の響きに魅せられて、加奈子は職人になることを決めた。」この書き出しが降ってきて、あとは3日ほどで書き上げる、予定。

 

6.落合博満野球記念館

記念館の存在を知ったのは坂本裕二「カラシニコフ不倫海峡」に登場したため。お互いに不倫された側の妻と夫がデートで行こうか、と台詞がある。和歌山にあるため結局遠くて行かないのだが、自分は「なんで和歌山にあるんだよ」と思った。落合は秋田出身だし、ロッテや中日や巨人の本拠地でもなく何故か和歌山なのが面白かったので使った。途中で道の駅ウミガメ公園に寄る。ロードムービー的な物語。

 

7.コインランドリーの使い方

なぜかコインランドリーが好きで、時々題材にしている。ほぼ私小説

 

8.エアライドを待ちわびて

小学5年の頃、自分が一番ハマったゲームは「カービィのエアライド」だった。特に「シティトライアル」のワクワク感は凄かった。街を飛び回りパーツを集め、ハイドラを建造できたときの無敵感。あれから20年以上が経ち、続編が出た今書きたいと思った。あの頃と今の話。思い出話ばかりする人間にはなりたくないが、フィクションの題材にする程度なら許したい。

 

9.オールナイトロング

昨年末にネットカフェで一気に書き上げた短編。かなり拙いがどこかで発表したかった。青臭いけど悪くないと思う。

 

現状9つのタイトルがあるが、このうち6個くらいを書き上げて掲載できたら上出来だ。一週間に一作ずつ仕上げていく。

立山・黒部旅行記

f:id:ngcmw93:20250915154708j:image立山周辺及び黒部ダムを観光した記録。

 

●1日目

f:id:ngcmw93:20250910064133j:image立山サンダーバードという名のご当地コンビニに立ち寄る。かなり攻めた独自路線の店として有名な場所。ずっと行ってみたかった。

入り口には「撮影のみの方お断り」の注意書きがびっしり貼ってあり、やや怖い。レジカウンターには店主と思われる老人がひとり。棚を見るとクレイジーさがよくわかった。おにぎりコーナーにあるのはヒグマ、ダチョウ、カンガルー、しか、ワニ、うさぎなど。ちなみにヒグマのおにぎりが950円で一番高かった。他は大体300〜600円くらい。迷った末になまずのおにぎりを買った。白身魚のフレークみたいな感じで結構美味しかった。ワニのおにぎりは「わにぎり」として売り出しており、それにちなんだTシャツも出している。愉快だ。

サンドイッチコーナーも自由だった。富山風お好み焼き、名古屋台湾ラーメン風ミンチカツ、アジアンエスニックチーズとり唐…など。よく思いつくなと思う。

他には世界の煙草コーナー、店主の兄弟の方がデザインしたポストカードとTシャツコーナー、カップラーメンコーナーなど。あと飲み物は見たことないサイダー類が充実している。 牛タンサイダー、餃子サイダー、源たれサイダーなど。キワキワだった。店主はかなり高齢に見えたが、後継はいるのだろうか。


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おにぎりの「なまず」の文字がなんとも言えず良い。力水を飲むのは小学生以来だ。甘くて少し酸っぱくて、なんか純粋だった少年の心を取り戻した。

続いて「まんだら遊苑」という施設に行ったが、こちらもキワキワだった。

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f:id:ngcmw93:20250910065319j:imageまずは地獄をイメージした建物に入る。嵐のような風の音と、鬼の叫び声が聞こえる。普通に怖い。立山は古くから信仰の対象とされ、この施設はその過程で作られた『立山曼荼羅』の世界を構築したという。県営とは思えないとんがった施設だ。こういう独特な建物が広大な土地に点在している。

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f:id:ngcmw93:20250910174002j:image奏楽洞という打楽器を演奏できる部屋や、円形の瞑想できる部屋があった。長い筒状の暗所を通りぬける場所があり、善光寺の御堂入りみたいに感じる。途中の施設で建築士の名前には磯崎新とあり、なんか見覚えのある名前だな…と思い、帰ってから調べたところ、沢木耕太郎深夜特急』に登場する建築家だった。順路の終盤にあった広いカモシカ園にはカモシカが一匹だけいる。近くにいて喋った係の人曰く、結構な年寄りらしい。でも綺麗な見た目だ。まんだら遊苑には2時間滞在したが全体の半分しか見て回れなかった。かなり広大だ。

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f:id:ngcmw93:20250910174953j:imageホームセンターシマヤ立山店に行く。自分と妻がよく観る番組「ランジャタイによりますと」の破茶滅茶なロケが行われたシマヤ。国崎が販促でライオンハートを歌い、おしょらい棒を100個レジ打ちし、柴田アナが出禁になった神回のロケ地を観たくて行ってしまった。富山ローカルなのに異常な面白さ。毎回、あの国崎よりも柴田アナや登場する富山県民の方が狂っていて、こんな破天荒な番組よく作れるなと思う。お惣菜コーナーに2人が書いたパネルが展示されてあって嬉しい。そこで夕飯を買って、宿で寄生獣を読み、映画のロボコップを観て寝た。やはり景気良くたくさん人が死ぬ映画が大好きだ。

 

●2日目

朝5時半に起きて立山駅へ向かう。車で向かう途中、丸々と太ったイノシシが道を横切るのでびびった。7:00発の立山ケーブルカーに乗車。「立山黒部アルペンルートWEBきっぷ」を事前に早割で確保していた。満員のケーブルカーで7分、すぐに美女平に着く。そこから立山高原バスで一気に1,500m登って室堂へ。ここが凄かった。ひたすら蛇行した道を登り続けるのだが、時々名所がありバスが停車してくれる。VHSの画質のビデオで滝や巨木、地名の紹介がある。途中「ガキの田んぼ」(ガキ田)と呼ばれる池というか沼の紹介があった。高原地帯特有の地形らしく、死者の霊(餓鬼)が飢えを凌ぐために田植えをした場所と言われていたらしい。弥陀ヶ原とか天狗の鼻とか、面白い地名が多い。少しだけ剱岳が見えた。

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f:id:ngcmw93:20250910205804j:image標高2,450m、室堂に着く。驚くほど涼しい。ホテル立山など宿泊施設もあり、立山周辺の登山や観光の中心になる場所だ。始発便で登ったため、ほとんど人が居らず絶景を独り占めできた。ミクリガ池まで歩く。夏を乗り越えた雪が少しだけ残っていた。池の周りを散策する。残念ながら雷鳥はいなかった。つくづく天気が快晴でよかった。この時点で立山に来た甲斐があった、と思えるほど満喫したが、ここから黒部ダムへ向かう。道中、中国人と韓国人の観光客がとても多い。駅員さんが中国語で注意事項を呼びかけ、中国人のおばさんが親指を立てて応じており、なんか良かった。

f:id:ngcmw93:20250910211411j:image室堂からは立山トンネル電気バス、立山ロープウェイ黒部ケーブルカーと乗り継ぎ、10時過ぎに黒部ダムへ到着。こんなに乗り物のバリエーションを豊富に乗り換えをする場所は他に無いだろう。2024年に日本最後のトロリーバスが運行を終了しており、電気バスに移行したためバスは新しくて綺麗だった。おおかみこどもの雨と雪のデザインに乗れた。青いケーブルカーから観る山嶺がひたすらに美しい。f:id:ngcmw93:20250915222922j:image
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f:id:ngcmw93:20250910212349j:imageついに黒部ダムに辿り着いた。まずはえん堤を歩く。観光放水の時期に来れて良かった。ダムから噴き出す水流の上にはずっと虹がかかっている。マスコットのくろにょんがいた。慰霊碑、展望台、難工事だった建設を紹介する展示を観て、食堂で黒部ダムカレーを食べる。美味い。あらゆる角度からダムを撮る。炎天下に急な階段を登るのは辛かった。そして念願だった黒部ダムカードをゲット。家宝にしたい。

f:id:ngcmw93:20250910212659j:image帰りも見飽きることのない自然を眺めながら帰る。サングラスを持って行ってよかった。日差しは強くて目が痛くなる。あと高低差で耳が気圧でやられた。ペットボトルも凹む。駅で黒部平ブラックソフトを食べ、お土産を買い、15時頃に立山を下山。行きも帰りも空いており、始発で登ったのは正解だった。次は称名滝も間近で見たいので、近いうちに再訪したい。やはり自然を見る旅は天候によるが満足度が高い。

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f:id:ngcmw93:20250915155337j:image最後に富山県立山博物館に立ち寄る。建物がかっこいい。これも磯崎新氏の作品だった。常設展示は立山信仰の歴史など。終盤に「くたべ」という妖怪の紹介があって面白かった。顔は人、体は獣の霊獣。疫病の難を逃れるために自分の絵を描いて人々に知らせよ、と言ったらしく、アマビエに通じるものを感じる。この博物館のマスコットキャラにもなっている。

夕陽を見ながらひたすら運転して帰宅。新潟市に入るあたりで小さく花火が見えた。高速から見える花火も風情があって良い。もう夏が終わるなと思った。

 

 

シグルイの話

 

 少し前にシグルイを読んだ。web上で無料で読めたからだ。あまりに面白く、定期的に漫画喫茶とかで読み返している。

 江戸時代、徳川将軍の御前試合で殺しあう二人の剣士が主人公の、狂気に塗れた復讐劇だ。登場人物がことごとく狂っているのが良い。岩本虎眼先生が一番のお気に入りだ。手の指が6本あり、「星流れ」という独特な型を使う。高齢であり普段は意識が朦朧としているが、剣を持つと覚醒する。物語の中盤、伊良子清玄との決闘で壮絶な死に方をする。

 単純に絵がとてつもなく上手い。絵画のような扉絵にも、なぜか動きを感じる。この緻密な絵が物語への没入感を生んでいるのだと思う。人物の思想、生き様が所作や構えに滲み出ている。全ての絵に念がこもっている。

 一番好きなシーンは、なんといっても岩本虎眼先生が「魔神」に変貌して流れ星を構えるシーンだ。顔の皺の隅々まで気迫が漲っている。顔が真っ二つになる死に様も良い。最期になぜか白無垢姿の娘の三重を見て「綺麗になった喃…」と呟いて死ぬ。

 この漫画の構成として、第一話は将軍に向けてある家臣が"腹を召して"直訴するところから始まる。禁止されている真剣を使った御前試合を開催しようという将軍忠長に、中止を求めて切腹して直訴するのだ。しかし叶わず「暗君…」と言い遺して家臣は死ぬ。その一戦は片腕しか無い剣士と、盲目かつ破足の剣士が戦ったという。引きは完璧だ。どうしてこんなことになったのか。過去に何があったのか。どちらが勝ち、誰が死んだのか。こんな話、気になって仕方がない。

 最初に読む人間は必ず「無明逆流れ、こんな構えがあるわけないだろ!」と思うはず。しかし他の技「流れ」とかイカれた木刀「かじき」はギリギリ存在しそうなあたり、絶妙だと思う。あと、徳川忠長は実在する大名だし、実際に切腹して死んだため「この真剣試合も実際にあったのではないか」と思わせるリアリティがある。物語の中で伊良子の生い立ち、道場との確執、復讐のための修行を経て剣術を生み出す過程を追うことで"足の指で刀の先を挟み、梃子の原理で刀を跳ね上げるカウンター型の斬撃"という通常では絶対あり得ない剣法に説得力が生まれる。これは盲目で感覚が研ぎ澄まされた伊良子だけが使える必殺の剣なのだ。こんなイカれた剣術を使い、たったひとりで道場の門下を殺しまくり壊滅させる描写は本当ワクワクする。こういう話を読みたかった、と痺れた。伊良子の剣術は、落合博満神主打法野茂英雄トルネード投法のような「普通の人間がやらない技で、ライバルを完全に圧倒する」ことへの憧れに通じるものがある。その世代で傑出して最強の人間が、突き詰めた修練の果てにひとりだけ異形の型を使っている。こんなのロマンしかない。

 圧倒的なフィクションには心を癒す効果がある。それがSFやファンタジーのように現実世界からの距離が遠いほど、その効果は大きい。こんなにも血に塗れた殺し合いの話に癒されるのは、現実ではあり得ない世界の話が、本当に在ったかのように真に迫るリアリティで展開されるからだ。完全にイカれ切った武家社会で、復讐のため剣士が殺し合う物語にこんなにも心を揺さぶられる。シグルイの登場人物に共感できる点はひとつもないが、それでもこんなに面白いのは、この物語の圧倒的な強度のおかげだ。これを読んでいた時間、自分は現実を忘れて物語に引き摺り回された。読めてよかった。

青春の埋葬

f:id:ngcmw93:20250813075829j:image昨日、8年振りのメンツでライブをやった。楽しかった。2017年に当時23歳くらいだった我々は、30を過ぎてそれぞれ家庭を持ち、仕事にくたびれてはいたが、バンドは続けていた。どのバンドもメンバーが入れ替わっていたので全く同じメンツとはいかなかったが、大多数はまだなんとかやっていた。それが嬉しかった。


自分が大学を卒業した年に結成した我々のバンドは、2016年から2018年頃にかけて猛烈な勢いで活動した。一番の過渡期だった2017年は月2回のペースでライブをやり、次々と新曲を作った。ライブハウスに毎週末出入りして、自分の企画や友達のDJイベントに顔を出し知り合いを増やしていった。ライブハウスやその周辺の居酒屋に行けばいつも見知った人がいて、なんとなくの界隈ができていた。その界隈に受け入れられて自分のバンドが認知されていくのが嬉しかった。毎日が新鮮で、常に新しい出会いがあった。音源をつくり、遠い街へ何度もライブに行った。そんな頃にやった『感情と行動』というタイトルのライブに出たのが昨日のメンツだ。そのライブのことは鮮明に覚えている。かなりの客数の動員があり、手応えのあるライブだった。映像にも残っていて、一番勢いのあるバンドの様子が窺える。

2019年以降、我々のバンド活動はほぼ止まり、コロナ禍を挟んでライブハウスへ行くことも少なくなってしまった。界隈の人々の近況も、SNSでなんとなく知る以外はよくわからなかった。コロナ禍で完全にいなくなってしまった人もいる。人との繋がりが切れるのはあっけなく、寂しい気持ちがあったので自分から界隈から離れようと意識した時期もある。その頃の自分には、バンド以外に向き合うべきことが多過ぎた。音楽へのモチベーションは下がり、別の趣味を見つけてそちらに向かった。

数年の時を経て、2022年頃から我々のバンドは再生に向かい、2023年に久々のライブをやった。メンバーの脱退があり、現在3人で活動を続けている。


そんなある日、2017年に『感情と行動』というイベントをやったメンツで集まり、ライブをするという企画に誘われた。会場もラインナップも当時と少し変わったが、なんとか開催に漕ぎつけた。当日、自分たちの演奏の出来は75点くらいだったが、なんとかやり切ることができた。

久々の再会は嬉しいものだった。みんな実力を付けつつ変わらない部分があった。観に来た人にも久々に顔を見る人がいた。プロのバンドでもよくある再結成とか、過去のアルバムの再現ライブとか、ちょっと洒落臭いなと思っていたが結局はやると楽しいのだった。自分が離れた界隈の人たちは、みんな自分のことを覚えてくれていた。やっぱりバンドっていいなと思えた。そして、なんだか自分の心が救われた気がした。

ずっと長い間、なんとか先のことを考えなきゃいけないとおもいつつ、心の一部は楽しすぎた2017年に取り残されていた。あまりにも眩しい2017年のバンドの記憶は、その後の暗かった20代後半に強い影を残した。そう信じてしまっていた。このブログの記事に最近は昔のことを振り返る内容ばかり書いているのは、ようやくそれと向き合うモードになれたからだ。きっと過去に囚われていたんだと思う。振り返って文章にすることで、その出来事に決着をつけることができる。この数年で自分は文章を書くようになったし、結婚し、住む家も変えて、生活が変わっているのに昔のことに囚われていて、どこか頭の中が整理できずに過ごしていた。

でも今回のライブで、ようやく体感として区切りを受け入れることができた。自分の中でひとつの季節が終わったのだ。いい加減に、前を向かなければならない。自分はまだ健康で、それなりに若く、やりたいことがたくさんある。このイベントを経て、ようやく2017年と決別することができた。みんなバンドは続けるようなので、きっとまた会える。楽しかったこれまでを時々は思い返しながら、いまを生きなければならない。そう思った。

秋田旅行記②

●3日目

f:id:ngcmw93:20250519213113j:imagef:id:ngcmw93:20250521063843j:image秋田市内にあるねぶり流し館へ。開店と同時くらいに行ったが混んでいた。5階くらいある建物の3階までが展示になっている。 竿燈祭りの竿燈演技に挑戦する。コツを掴むと割といける。30秒くらい。提灯には様々なマークが書かれている。秋田市のマークや地区ごとの印のほか、小学校や保育園の校章まであった。

f:id:ngcmw93:20250519223247j:image次に秋田県立美術館に向かった。道中、というか美術館のすぐ近くに伝説の百貨店「木内」があった。ここ5年ほど臨時休業が続いているらしい。かつて秋田で隆盛を極めた、消費税をとらない百貨店。

f:id:ngcmw93:20250521065034j:image美術館はきれいな建物だった。藤田嗣治の絵が多く展示されている。一帯はショッピングセンターやレストランが集結していた。秋田犬を眺めるなどする。近くに谷口吉生の設計である秋田市立中央図書館があったが、まあ見なくていっか、とわざわざ立ち寄らなかった。

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f:id:ngcmw93:20250519225526j:image昼食はチャイナタウンへ。30分ほど並んだ。秋田の有名B級グルメらしい。名物のみそチャンポンを食べる。人気らしいイカぎょうざも食べる。塩チャンポンも旨そうだったが、こういう時は黙って一番人気にしておくべきなのだ。正解だった。道の駅などでここの調理用インスタント麺が売られている。

チャイナタウンを食べ終え、目的を果たしたので帰路に。4時間かけてゆっくりと帰った。

 

そういえば旅の初日に山形で昼食を食べる際、庄内の「田村食堂」に行ったが売り切れで閉まっており食べられなかったのだった。タンメンの名店らしいが朝9時開店で11時すぎに売り切れるらしい。悔しさから完全にラーメンの口になってしまい、近くのラーメン屋で大盛りの中華そばを食べた。2日目の昼食はしょっつる焼きそばだったし、この旅行は麺ばかり食べていた。

 

帰り道の車中で、ナマハゲの所作が集落ごとに違う、ことの理由を考えた。なまはげは「鬼のようなお面を被って、大晦日などに家をまわって悪い子はいないか聞く」という基本形はあるものの、地域ごとに差異がある。もちろん「ナマハゲ研修」みたいなものは無いだろうし、ナマハゲ役の初任者が集められて実際の脅かし方を学ぶ研修があったら、と想像すると笑える。実際の儀式を行う際に、先輩なまはげの真似をしながらなんとなくナマハゲ役の仕草を身につけていくのだと思う。なのでその地区ごとに塩梅が違うのだと思う。代々、ナマハゲっぽさを荒々しい演技で表現する地区もあれば、なんとなく形をやっておく、ってくらいにマイルドな地区もあると予想する。

ナマハゲの語源は、囲炉裏で暖をとっていると手足にできる斑点「ナモミ」らしい。怠け心を戒める「ナモミ剥ぎ」→「ナマハゲ」とのこと。わかるようなわからないような。

この旅行での一番のハイライトは帰りに通った笹川流れの夕陽だった。結局は強烈に綺麗な夕焼けが心に残る。良い景色だった。

秋田旅行記①

●1日目

朝早くに新潟を出発。この日は一応平日のため、通勤渋滞に巻き込まれないように早めに出る。バイパスは空いていた。海沿いをひたすら走る。

f:id:ngcmw93:20250518170023j:image鼠ヶ関に着く。山形と新潟の県境。街の真ん中に境がある。右が新潟で左が山形。新潟は基本的に隣県とは山で隔てられており、街で繋がっている場所はこの県境しかない気がする。不思議な感じだ。

f:id:ngcmw93:20250518170439j:imagef:id:ngcmw93:20250518170700j:image北上し、山形から秋田の県境あたりで国道沿いにパラソルを見つけてすぐに車を停める。ババヘラアイスだ。初めて食べたがシャーベット系で爽やかな味。美味かった。あの販売員のマダムはヤクルトレディ的な感じなのか、個人事業主なのか、雇用形態が気になる。有耶無耶の関、ってすごい地名だ。


f:id:ngcmw93:20250518221507j:image秋田のにかほ市にある元滝伏流水へ。駐車場から10分ほど歩いた先に綺麗な滝があり、ちょっとした景勝地になっている。苔むした岩が良い。新緑の時期でカレンダーの写真に使われそうな美しさ。近くには精神病院があった。


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f:id:ngcmw93:20250518221637j:image白瀬南極探検隊記念館へ。ここを訪れる半数くらいの人が「よりもい」を観たから来たんだと思う。自分もそうだ。観たのは遥か前だが、ずっと来たかった。展示は古かったがなかなかに見応えがあった。雪上車は中まで入れる。今までウィキペディアでしか知らなかったアムンセンやスコットの南極点到達競争の知識も得られた。ブラウン管で観る映像がなんとも味わい深い。プラネタリウムも見れた。入り口にいた職員の方が説明と上映をやる。この館はひとりで運営してるのか、ってくらい職員がいなかった。土産物売り場では藤本タツキにかほ市出身ということでルックバックが売られていた。チェンソーマンには銃の悪魔がにかほ市に上陸して結構な数の人を殺す描写がある。


f:id:ngcmw93:20250518222505j:imageTDK歴史みらい館へ。なんか無料で入れる施設があるな、くらいで寄ってみたのだが凄かった。ラジオの部品に始まり、テレビやカセット、ビデオテープなどあらゆる磁気の部品を製造してきた企業。そこそこの規模の展示だし、後半になぜかハングライダー体験(シュミレーターによるもの)などができる。他にチームラボとコラボした太陽系の星の展示とか。説明してくれるスタッフがやたら多いしロボットのペッパー君も大勢いた。館内にいた来場者の総数より多い。金がかかっている。本当に無料でいいのか不安になるほどだ。

この日は秋田市に泊まる。新潟より民放が1チャンネル少ない。なぜかコナンを観て就寝。

 

 

●2日目

この旅行の目的は男鹿半島を旅することだった。まずは寒風山へ。

f:id:ngcmw93:20250518223539j:image展望台へ向かう道は空に登っていくようでまさにスカイラインだ。天気が良い日でラッキーだった。小高い山の頂上付近にある駐車場では、おじさんたち数人がラジコン飛行機を飛ばしていた。犬を抱えた人が何人もいる。

f:id:ngcmw93:20250518223509j:image徒歩で寒風山回転展望台へ。以前に一度来ているが何度見ても感動する景色だ。ゆっくりと回転するタワーで男鹿半島八郎潟の地形を眺める。良い時間だ。以前にブラタモリのロケも来たらしい。

f:id:ngcmw93:20250519081701j:image展望台付近は風が強く、帽子が飛ばされそうになる。男鹿半島の付け根の海岸線が湾曲しているのが見える。自分が走って来た道を俯瞰できるのが良い。

f:id:ngcmw93:20250519082020j:image男鹿半島を横断し、先端にある入道崎へ。ここも5年ほど前にひとりで訪れたことがあったが、その時と比べて閉店した店もあり土産物屋や飲食店が若干減っていた。ユーチューバーなのか、vlogっぽいのを撮影してる人がいた。バイク乗りが集結している。

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f:id:ngcmw93:20250519185357j:imageその後はカンカネ洞、ゴジラ岩と巡り、ついになまはげ館へ。半島の真ん中あたりにある。割と立派な建物。入り口には謎の球状のオブジェがある。なまはげの風習は集落によって差異があるらしく、いきなり家に突撃する訳でなく案内人がいたり、「悪い子はいねが」をやった後は家の当主がお膳でもてなす決まりがある。四股を踏むように足を踏み鳴らすとか、包丁や棍棒を持つなまはげ素手のやつがいるとか。実に面白い。全ての集落のなまはげが一堂に会するゾーンは壮観だ。なまはげガチャを回して緑色のバッヂを手に入れた。

 

隣の男鹿真山伝承館は閉館で見れず。時間が合えばなまはげの実演が見れたらしい。その後は秋田市内で回転寿司を食べて宿に帰り寝た。