状況が裂いた部屋

音楽と映画と日常について

無題

・まとまった文章を書けなくなった。読むにも書くにも体力がいる。思い返せばきちんと書けたことなんて一度もなかった気がするけれど。ここで言う“体力”というのは能動的に何かに取り込む時に必要なモチベーション、知識の引き出し、そしてそれを人に見せる勇気、などを引っ括めて指している。自分には全部が足りないんだけれど、特に最後のそれに関しては全くない。故にこうして誰に向けるでもなく駄文を書いて、後で見返してひとりでどうしようもない気分にさせられる。今からでも何とかしたいところなんだけど。この薄い鬱みたいなモードがいつ晴れるのか、不安で仕方ない

 

・誰に見せるわけでもない文章の断片みたいなメモ書き、書きかけで投げられたプロット、中途半端な創作欲の残骸みたいなもの。さっさとこのつまらない自意識みたいなものを捨て去って楽になりたい

 

・読めなくなった、に関して言えば読書のペースも圧倒的に落ちている。新しいものを咀嚼して自分の中に納める、といった作業がつらく、もう何度も読んだものを読み返しては安心している。一時期はそのストレスなようなものが毒となって自分の中に溜まり、それを上手く吐き出せれば何かしら作れるのでは?という機運も感じていたけれどそれも薄まってきて、いよいよもう自分は駄目なのでは、と暗い気持ちに至る

 

・どうしようもないこの暗い気持ちをこんな駄文として書き出す事くらいしかできない、しょうもない自分を受け入れる自己肯定感、どうしたら手に入るんだろう。お酒や煙草、手っ取り早い気分転換ではどうにもならない現状、どうしてこうなったかなとか言いながらお酒と煙草をやってこの文章を書いている

愛と笑いの夜

 iPhoneのメモ帳に残っていた、今年の5月頃の飲み会の記録。ゼミの同期、後輩と男3人でただ集まって飲んだだけなんだけれど、単純にとても楽しい夜だったので文章にしておく。

 

 

 ある金曜日の夜、その飲み会は新潟の古町で決行された。古町は駅から徒歩15分はかかるし、僕以外の2人はまだ学生なので、街まで出てきてもらうのはちょっと遠くて悪いな、と企画して思ったが、案の定2人とも大幅に遅刻してきた。到着した2人はボロボロだった。後輩の方は右膝の十字靭帯を断裂しており、若干右足を引きずって歩いていた。バイト中の事故だったらしい。もうひとりの方は2留しており、3度目の大学4年だったが、その日の講義をサボったせいで今期で受講が5回目となる必須を落としたとのことだった。ボロボロの学生2人が揃ったところで、とりあえず乾杯し、焼き鳥屋で一次会が始まった。

 2人の近況やゼミの状況(“2留”はゼミに出てないのでわからないようだったが)、大学周辺の飲み屋の変遷などひととおりの話題が終わった頃、入り口からうちの課の課長が入ってくるのが見えた。僕は職場では真面目な新卒2年目の爽やかな青年を演じているため、口には煙草を咥えた状態で、右側にはどう見てもカタギではない外見の体重90キロの元アメフト部、向かいには25歳なのに大学3年の引き篭もり(外見ではわからないだろうけど)を従えて飲んでる構図。あまり上司に見られたくない状況だった。しかし逃げ場は無かったので立ち上がって挨拶すると、課長は一瞬かなり驚いた顔をしたけれど、片目を瞑ってにっこりし「お互い、他人のふりな」と言った。いい人だと思う。その後もしばらく飲み、次の店に移動した。

 

   学生2人にわざわざ街中まで来てもらって飲む目的は、シーシャ屋に行くことだった。前回学生街でゼミ飲みをした際、シーシャ屋に行きたいな、と言ったらこの2人が乗ってきた訳だ。しかし2軒目にはまだ早いかな、と近くのクラフトビールが飲める店に入る。

   その店には結局3時間近く滞在した。後輩がつい昨日女の子にフラれたことをぶちまけたので大いに盛り上がり、気付けば店員の女性と店長さんの5人で恋愛談義になったからだ。完全に酔っ払た後輩はその子とのLINEの会話を見せてきたので4人で携帯を回してじっくり鑑賞したが、なかなかになかなかな内容だった。店長さんはかなり経験豊富らしく、デートの誘い方、一緒に出掛けた翌日の接し方、距離の詰め方、などなど様々なテクを教えてくれた。どれも成る程と思えるアドバイスだったが、あくまで僕のパターンですけどね、と一つの手段として参考までに、というスタンスなところが好感が持てた。一方の僕は大した経験もないのでアドバイスなど持ち合わせてなく、一般論しか言えなかった。こういう話題は専ら聞き役に回るのがいい。2留は爛れた恋愛しかしてこなかったようで、店員ちゃんとジョジョの話に興じていた。ドイツの黒ビールが美味しかったが名前を忘れた。シュトロハイムは2部に出てくる軍人だしな…。

   時間は確か11時に近かった。終電で各々の家に帰るなら駅に向かわなくてはならない。かなり酔っ払った状態で通りに出ると、肩を貸さないと歩けない人、側溝に半分落ちた状態で寝ている人、客引きのお姉さんと会話にならない会話をしている人など、金曜の夜の飲み屋街はカオスな活気に満ち溢れていた。お酒に飲まれた学生が駐車場に行き倒れてたり、喚き散らしたりしていた学生街の風景が思い出された。2留がどこも変わらねえな、と言って煙草に火を点けた。僕はなんだかとても楽しい気分だった。ここでなんとなく写真を撮ったんだけれど、全部ぼやけている。

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この写真は僕も写っているため、自分で撮った訳ではないのだが、誰が撮ったのか全く記憶にない。サニーデイサービスのアルバム「愛と笑いの夜」みたいで気に入っている。

 

   終電に乗らない選択をし、3軒目は念願のシーシャ屋へ入った。注文の仕方もさっぱりわからなかったので教えてもらいつつ、適当にシナモンとバナナのフレーバーと、ミントのフレーバーを注文した。あのインドっぽい吸入パイプのついた金具に火をくべ、フレーバーを入れていたが器具の観察より隣のソファで乳繰り合ってたカップルが気になった。そのカップルはすぐ居なくなり、狭い店内のほかを見渡すとなかなかに独特でいい空間だった。Macで何かの作業をしている人、ジェンガをする女の子たち、ポロポロとアコギを弾いてる男、などなど、煙の向こうでみんな気怠そうに何かの作業をしていて、でも取り組んでいるものはあくまで暇つぶしで心ここに在らず、という雰囲気が共通していた。僕にそう見えただけかもしれないが。

   後輩は火の鳥を手に取ったがすぐに眠ってしまった。僕たちもやっぱ望郷篇だよな、わかる、でも未来編も好き…と推し篇の話をしつつ少し読んだが、結局オセロをやった。2留はさっきオセロ世界一の人の試合ユーチューブで観たんだ、と言って僕を圧倒した。

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    オセロを何ゲームかしたあと、2人で様々な話をした。漫画の話、小説の話、就活の話、旅行の話、などなど。2留は地元には数人友達がいるらしく、最近大洗へガルパン聖地巡礼に行ったんだ、と楽しそうに話した。僕が7月にタイに行くんだ、と言うと大麻やるなら絶対バレないようにうまくやれよ、と言われた。あとハングオーバー2を観ることをおすすめされた。

 

   居心地がよく、シーシャもずっと吸ってられるのでかなり長い時間いたが、結局後輩を叩き起こして外に出た。夜の街のカオスは治まって静かだった。近くのラーメン屋にはいる。当然のように大盛を頼む2人に現役学生の若さを見せつけられた。

    信じられないことに、このラーメン屋に3時間くらい滞在した。映画の話で盛り上がったからだ。

   2留のスマホの待ち受けは口が裂けたピエロの写真だった。僕がヒース・レジャーだ、と指摘すると彼はめちゃめちゃ嬉しそうにわかるか、もう死んじゃったけど、とダークナイトの話をし始めた。バッドマンシリーズでも一番の傑作だと思う。ヒース・レジャージョーカー役の役作りの為、ホテルの部屋に閉じこもったエピソードなどを語り合った。一瞬でラーメンを食べた後輩が暇そうで悪かったので、エイリアンの話をした。エイリアン1のラスト、宇宙船に穴が空きエイリアンが掃除機の吸引みたいに外に吸い出されるシーンの最高さ加減について真剣に語り合った。これ以上ない最高のスプラッタ映画だ。しかし2001年宇宙の旅然り、スターウォーズのローグワンのラスト然り、生身の人間が一瞬ハッチの向こう、宇宙空間に出るシーンがあるがその辺判定甘いのどうなんだ、絶対死ぬしダメでしょ…。しかし後で見返したところローグワンはダースベイダーだったし、奴の服は宇宙服も兼ねてるらしいと結論付けられた。そこから、我々が小学生の頃金曜ロードショーでやっていた名作を語り合った。コマンドー、ハムナプトラ、バックトゥーザフューチャー、ダイハード、ホームアローンタイタニック、タクシーシリーズ、ミッションインポッシブル、マトリックス… なんであんなに面白かったんだろう、いやいま見ても面白いんだけれど、なんか小学生の頃リビングで夜更かしして観たあのワクワク感ってなんだったんだろう。あの頃のシュワちゃんってこの世で最強だと思ってたし2015年にはホバーボートをみんな乗り回してると信じてたよな、あの感じってもう帰ってこないんだろなあ…と最終的に感傷的になトってしまった。

   2留は映画クラスタであり、ネットフリックスに入ったことが引き篭もりに拍車をかけているようだった。あの24が全部見れちゃうんだぜ、とジャック・バウアー役のキーファー・サザーランドが子役時代スタンドバイミーの不良グループのボス役として出演していたことを教えてくれて愕然とした。そしてしきりにロードオブザリングの「王の帰還」で呪いが解けた王が目覚めるシーンのモノマネをするのだった。ちゃんとして卒業してほしい、と思いつつこいつにはずっと学生やっててほしいとも思う。

 

   朝方、始発前の駅まで歩き、僕だけ自転車で帰った。帰り道にウォークマンomoide in my headとアパルトの中の恋人たちを聴いた。

喫煙所の話

   先日遊園地に行った。中学生の頃にディズニーランドへ行った以来なので10年ぶり。田舎にポツンと建っているその遊園地は、いい感じに寂れていてなんとも言えない情緒があった。店員さんもシルバー人材センターから来ました、みたいなおじいさんばかりで、皆さんアロハシャツを着ており、非常にのんびりとした空気が流れている。適当にジェットコースターに乗ったら割とスリルがあった。スピードの恐怖よりも老朽化の心配からくる部分が大きかったかもしれない。クライマックスの景色が良く、調子いいときのバンドでの演奏中みたいな無敵感を味わえた。滞在2時間くらいだったがなかなか楽しめた。

   遊園地の隣にボートレースのチケットが買える施設があった。正式名称は競艇場外発売場というらしい。スポーツ新聞を小脇に抱えたジャージ姿のおじさん、アル中の雰囲気を漂わせた爺さんなどが賭け事に興じようとウロウロしている空間だった。親子連れが遊びに来る夢の国である遊園地と、何処となく退廃的な空気を醸し出す競艇場が駐車場を共有して隣り合っている構図が、なんとも趣深いな、と思った。

 

   退廃的、なんて書いてしまったがその競艇場はとても綺麗で、窓際に広い喫煙所があった。遊園地への待ち合わせに遅れた連れを待つ間、僕はその喫煙所に座り、2本ほどタバコを吸いながらボートレースを観戦した。

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   ベランダは遊園地の入場ゲートが正面に向いており、父親が家族サービスの一環なのか子供たちの手を引いて向かっていくのがよく見えた。この喫煙所を作った人に他意はないと思うが、競艇場と遊園地、というあまり相容れない2つの構図の断絶を見せつけられているようで、昼間から賭け事に興じている親父たちに何を見せつけてるんだ、と思ってしまった。別に競艇を悪く言っている訳ではない。こっちに来る家族もいるし、全く健全な趣味だ。ボートレース観戦面白かったし。というわけで(?)喫煙所に興味を持った。

 

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   時々行く大型銭湯の喫煙所。広くてよい。風呂に入った後の綺麗な体で喫煙所に入り煙に巻かれるのは嫌だが、大抵風呂上がりは煙草を吸いたくなる。食事の後に吸いたくなるのもそうだけれど、物事や作業が終わったタイミングで吸いたくなるのはなにかメカニズムがあるのだろうか。ただ単に席を立ち喫煙所にいくのに区切りがいいからか。わからない。

   

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  自転車で行ける距離にある銭湯に併設されているコインランドリー。実質喫煙所になっている。好きなくたびれ方をした空間。平成一桁年代のジャンプが置いてある。でも背表紙は日焼けがひどくもはや読めない。

 

 

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   好きなバーガーショップの喫煙スペース。あまり煙が充満しているところでハンバーガーは食べたくないので、別の席で食べてからアイスコーヒーだけ持って来ることが多い。音楽がうるさい。狭くて落ち着く。

 

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俺たちのコメダ珈琲の喫煙所に、1人掛け用でやたら勉強部屋みたいになってる席がある。あまり座ろうとは思わない。

 

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最後に最近見つけた一番好きな喫煙所。某新潟市内の映画館の入り口横に、普通は気付かないくらいの隙間があり、半楕円?みたいな形のスペースとなっている。映画を観終わってぼうっとしたい時に一服するのに丁度良い。

 

SuiseiNoboAz@酒田music factory

   酒田でフェスを見てきた。7月上旬の土日2日間を使った、各日1ステージのみの、小規模でいかにも地方のライブイベント。なかなかに雰囲気が良く楽しめた。ユニーク過ぎるパフォーマンスと格好良過ぎる曲で一瞬でファンになってしまったCHAIというガールズバンドや、本格派轟音シューゲイザーバンドのslow snow slideなど片道3時間かけて行く価値あったな、と思えるバンドばかりだった。もちろん一番の目的は2日目にトリで出たLOSTAGEのライブを見て、話題の新譜を五味さん本人から買うことだったし、それは達成できた。In Dreamsは名盤。でもここではボアズのライブについてだけ書く。

   結論を先に書くと、最高のライブだった。

 

 

 SuiseiNoboAz

 2017年7月8日21:10〜 酒田music factory

 

セットリスト

 

1.ultra
2.pika
3.gakiami
4.shoegazer
5.T.D.P.P PIRATES LANGUAGE
6.rock'n roll
7.elephant you
8.hypercub
9.liquid rainbow
en.E.O.W

 

 

   書き出してはみたけれど後半の曲順が曖昧だ。hypercubは6曲目だったかもしれない。やったのは確かにこの10曲。

 

   1曲目、てっきりliquid rainbowでくると思っていたら予想を裏切られた。オープニングの定番曲urtra。ギターの音が良過ぎる。石原さんが高い音がキツそうでがなり散らすように歌っていた。続けて2曲目はpika。イントロの音の広がりが本当に気持ちいい。ぬるぬると自在に動くベースラインとサビの疾走感。自分は石原さん側の2列目あたりで観ていたんだけれど、音のバランスが完璧だと思った。2013年のライジングサンで観たときはスピーカーの目の前だったため、爆音のファズでかなり耳にダメージを負ったので。

 

   gakiamiの前に石原さんは横に設置した機材(Macbookとパッドのようなものがあった)から謎の音声を流し、客をポカンとさせてから曲に入った。流石にお経ではなかった。俺のファズは水陸両用モデル。

 

   shoegazerは2ndのなかでも64やlandryと並び大好きな曲だが、gleenlandの間奏と同じく高野メルドーがいい感じの浮遊感のあるギターを弾いていて見事にアップデートされていた。高野メルドーはインターネット狂なのでこの文章を読んでくれるかなとちょっと期待している。

 

   途中、石原さんが我々は山形でのライブは初めてだが、山形の事は愛読している本上まなみさんのエッセイでよく知っている、という旨のMCをしてウケていた。ちなみに僕は翌日ブックオフ本上まなみほんじょの鉛筆日和。」を108円で購入し、もれなくファンになった。かわいい文章だ。

 

   T.D.P.P、相変わらず壮絶な曲だ。ライブでよくやるなと毎度思う。ずっと赤い照明なのがよかった。「ピザでも食ってろ豚野郎‼︎」感が炸裂してた。伝われ。

 

   3rdのubikからrock'n rollとelephant youをやってくれたのも嬉しかった。というか2ndから新譜までのライブ曲を包括していて最高のセットリストだった。4人体制になってもそれまでの既存曲では石原さんの弾いているパートは特に変わらず、バンドの土台にメルドーのギターが一本上乗せされたという感じだ。

 

   hypercubはやってくれると思っていたが案の定素晴らしかった。轟音ファズのあまりの美しさに恍惚とした。ひとつのコードをまさに「64分くらいの感じで」ひたすら弾き倒す間奏、男らしさと潔さがロッケンロール感あった。ラストにliquid rainbowで本編終了、掃けてすぐにアンコール、E.O.Wで一番の盛り上がりを見せた。延々と引き延ばされるアウトロの中、天井から吊るされた石原さんのストラトからノイズを発したままこの日何度目かわからないメンバー紹介、最後テープエコーがブツリと落とされて終わった。ロックバンドならこうありたい、こうあってほしいという願望全てを叶えるような立ち姿のバンドだと思う。もしかしたら逆で、こんなかっこいいバンドのことをロックバンドと呼ぶのかもしれない。いずれにせよバンドのロマンの全てを体現したライブであった。

 

   ツアーをもう一周まわりたいくらいだとも話していた。頼むから新潟に来てくれ。

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三部作について思うこと

   僕の中のオールタイム・ベスト映画は12歳の頃から「BACK TO THE FUTURE」である。監督ロバート・ゼメキスはこの傑作の続編を絶対に作らないと決め、また他人に勝手にリメイクされないようあらゆる権利を買い占めているという。素晴らしいと思う。この傑作に付け加えるものなど何もない。もし中途半端な期待を持たせられ、ゼメキスの寿命やマーティ役のマイケル・J・フォックスの病気の具合を心配しつつpart4を待ち続ける人生なんてそんなのは嫌だ。過去、未来、そして過去と時をかけるロマン、気持ちのいい伏線回収、破茶滅茶なマーティとナイスキャラのドク、敵役のビフ、世の中の少年たちの永遠の憧れデロリアンDMC-12など魅力に溢れた映画だ。

   しかしこの映画の本質はpart3のラスト、現代へ帰るドクの台詞に尽きると思う。SF映画史に残る最高のメッセージだと思う。

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   SF映画には他にもトリロジーで完結したものがいくつかある。パッと思い付くもので「マトリックス」「ロードオブザリング」あたりか。スターウォーズシリーズは3部作が3つでサーガ、みたいな呼ばれ方になりつつある。

 

   恩田陸がエッセイ「小説以外」の中で言及しているところで、小説「ゲド戦記」がある。原作は3部で完結したと思われたが、3巻の18年後に4巻が出る。自分は物書きではないのでわからないが、小説家からすると自分で生み出した物語が終わった、と区切りを付けるのは難しいようだ。

   ファンの側としては好きな作品の続編が始まる、ということは嬉しい限りであると同時に、自分中で作られたイメージが崩されるのでは、と不安に思ってしまうところがあると思う。それでも期待し、公開日に映画館へ足を運んではあれはよかった、あれはクソだ、とやんややんやと語り合っている。一概には言えないが、批判的な人もどこか楽しそうにしているように思える。

 

  何が言いたいかよくわからない文章になったけど、蛇足にならない続編なら許す、しかしそれは続編が作られ、それを観ないことには判断がつかないところだし、好きな作品なら必ず観る、でも続編が作られないことが約束されているからこそある美しさもある、ということ。なんだそりゃ、って感じだがこれが言いたかった。

無題

    新潟で暮らして20年目になる。出身は新潟だけど、4歳になる直前まで父親の仕事の都合で東京で暮らしていた。親の離婚をきっかけに母の実家に帰った感じだ。この地方都市はこれぞという観光地はないが住み心地でいえばそこそこ悪くない、丁度良さのある街だと思う。大都会特有の忙しなさや冷たさがあるわけではなく、過疎地のど田舎特有の面倒な寄合いなどの煩わしい人間関係もない。まあこれについては現在実家暮らしなのでちょっとした親戚付き合いくらいはある。それも理由をつけて逃げられる程度のものだ。ロフトがあり、タワレコが一応あり、やたらと美容院が多く、都会へのアクセスは良い、普通に暮らす分には悪くない街。

 

    高校生の頃、様々な要因からくる居心地の悪さや窮屈さ(今思えば7割は自分のせい)にはち切れそうになりながらも平々凡々な男子学生だった僕は大学進学というチャンスで絶対にこの街から出て行ってやろうと心に決め、それをモチベーションに勉強に励んでいた。街を出るからには都会がよいなあと思いながら、本屋で関東の大学の赤本を眺めていた。数学ができないから文系、やりたいことは特にないけど小説が好きだし日本史も好きだな、うちには金がないな、などと考えているうちに自然と進路は関東の某国公立文系に定まった。しかし、センターの点があまりにも微妙で出願はあっさり諦めた。その下となると関東にちょうど良い偏差値の大学は無く、ならばと同じ北陸だけど少しレベルの高い金沢の大学を受験する悪足掻きをするも見事失敗、浪人は出来ない事情から結局後期である意味一番受けたくなかった地元の国立大学(後期なのでB判定なのに人文をやめA判だったF欄臭がすごいクソ長い名前の学科)に落ち着いた。

    結論から言えば結果オーライで、23歳になった今ではここで大学生活を送れてよかったと思っている。大学は良い時期も悪い時期もあったけどそれも引っくるめてとても楽しかった。地元の大学に進学しなければ地元に就職することもなかっただろうし、今の仕事にも就くこともなかったと思う。今の居場所は自分にちょうど良く、バンドという生き甲斐もある。映画を観ることも読書も旅行も割と出来てる。

    確か大学3年くらいの春、男友達といつもの呑み屋でだらだらと瓶ビールを飲んでいた時、なんとなく就活の話になった。一応お互いそういう時期だったし。僕が公務員試験の勉強をして、地元の役所を受けるよ、というとそっかあ、いいんじゃねと言われた。そいつは院に進むと言った。理系はそういう選択もあるよね、研究室大変かもだけどモラトリアムの延長が出来るのは羨ましい、と僕は言った。次に唐突に友達は姉の話をはじめた。大学を出て、地元で社会人になり、働きながら普通に元気に働く姉のことを一通り話してから、それもいい人生かもしれないけど、と前置きして奴は言った

「自分を納得させる生き方はしたくないよね」

 

その後酔い潰れた友達を家に送ったあと、コンビニに寄り初めてタバコを買って吸いながらか考えた。自分がしようとしている選択は、まさにそれなんじゃないのか…と

 

    時間は経って、結局自分は地元で公務員になった。良い落とし所に落ち着いた、とも言えるし、可能性(薄っぺらい言葉だ…)から逃げたと見ることもできる。東京でも2社だけ民間を受けたけど選考の途中で今の就職先が決まり蹴ってしまった。それが間違ってたとも思わない。

   それでも、「自分を納得させる生き方」という言葉が少し引っかかったのも事実だ。

 

 

   まとめると、都会に出ることに漠然と憧れていた昔の自分の願望は叶わなかったが、社会人2年目でそんな人生を肯定できた、ということ。

この街がまあまあの規模の地方都市で、就職先の待遇がまあまあ良く、今後の自分もまあなんとかやっていけそう、という見通しが立ってようやくこうして言えることでもあるので、一度は街を離れて全く違う環境で暮らしてみるのも悪くないかもしれない。でも、そのリスクを考えるとやっぱり今の生活がいい。

「バンド力」の話

   昨年の5月にバンドに加入して、もうすぐ1年が経つ。

   初ライブは6月だった。あれから月2本ペースでのライブ、EP1枚とスプリットCDの発売、自主企画と自主スタジオライブなど思い付く限りのことを悉くやってきたこれまでを振り返ると、つくづく運のいいバンドだと思う。手探りで始めたバンドがここまでハイペースで活動できることってなかなかないはずだ。昨日もスルッと野外の音楽イベントに参加決まったし。人と環境に恵まれてる。

 

   リリースした音源を聴くと音の粗さと演奏の下手さに絶望することもあるんだけど、6曲とも何ヶ所かは「あーここ好き…」とか「このアレンジ良い…」とか優れた部分を毎回見つけることができて、撮ってよかったなと思う。何より暗いモードに入った時とかに聴き返して、自分たちが過去に作った音源が自分の救いになることがある、というのが嬉しい。

 

   他にもバンドを始めた事による嬉しい出来事はいくつもあって、そのひとつが沢山の音楽好きと知り合えたことだ。ライブハウスに日頃から出入りする人間はかなりの音楽フリークかお酒を飲んでバカ騒ぎしたいかもしくはその両方か、といった感じなので、楽しい。打ち上げではレディオヘッドでは何枚目が好きか、トレインスポッティング2は見たか、ローゼズの来日公演に行くかフジロックのラインナップは何年が最高だったかと談義が終わらない。楽しい。あとバンド関係ないけど毎週のように飲んでたら新潟古町周辺の飲み屋さんに詳しくなった。

 

 

   ここからが本題で、時々ボーカルが言う「バンド力」についての話。

   端的に言うとグルーヴ感とキメをバシッと合わせることの重要さ、といったところだと思う。けど、これは言葉で説明できない部分が多くて、今書いてみてもなんか違うなと違和感がある。

 

   バンドをやった事がある人なら経験した事があるはずなんだけれど、演奏したときにカタルシスを感じる瞬間というか、弾きながら「うわ今めちゃめちゃ気持ちいい」って鳥肌が立つ瞬間がある。演奏ががっちりと噛み合って鳴ってる全ての音がクリアに聞こえて、神が舞い降りたんじゃないかと錯覚するように不思議と弾いたこともないフレーズが浮かんで宙に浮くような気分になる。流石にこんなことは100回に1回くらいしかないんだけれど。この瞬間を常に出せるか、という話だと思う。これが毎回のライブで出せて、聴く人も同じように感じることができ、さらに音源からも感じられるようになったら本物だと思う。

    わかりやすい例で言ってしまえばナンバーガールのライブ映像がそうだ。ミッシェルガンエレファントとのライブや初期スーパーカーの演奏からも感じられる気がする。

 

   本当に上手いプロのアーティストは気軽なセッションとかでこれを毎回味わってるのかな、と想像するとそりゃバンドはやめられないよなーと思う。こういう瞬間のためにバンドをやってるんじゃないかと思う。次の段階へのジャンプアップのため、それに憧れのバンドに近づくためにも「バンド力の向上」を最大の課題にしていきたい。

 

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