状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

語り得ないもの

    ここ最近、自分の頭の中がひどくごちゃごちゃしているのを感じる。元から自分の考えを整理できない人間で、大事なことを人に伝える時は一度話をシミュレーションしてから話題にする癖をつけていた。しかしタイミングというのは大抵自分で選べないことが多いし(特に仕事など)、言葉が足りなかったり、変な伝わり方をしたり、結局消化不良に終わることばかりであーあ、また伝わらなかった、と悔しい思いをする。

   会話としての言語化が苦手なら文章があるじゃないか、せめて文章なら、とこうしてブログを書こうとしてみたり、仕事終わりの喫茶店でノートに向かってみるけれど、頭の中にある考えを文章として綺麗にまとめ、伝えたい人に伝える状態として出力することがどうも出来ない。せいぜいメモ書きの何行かで止まってしまう。
   そもそも今ここで言っている文章化したい対象、頭の中に確かにあるのにアウトプットしたいけど出来てない考とは何なのか、というと自分が毎日感じ考えている物事、聴いた音楽、観た映画、読んだ小説の感想だったりする。言いたい事、体験した感想、それらを文章として残したい、もしくは文章化して頭の中を整理したい、そういった目的で書こうとしてるのに、どうにも文章が出てこないのだ。もどかしいことこの上ない。

    大学1年の頃、「シネマワークショップ」という講義をとっていた。週一回、2講義分の時間をぶち抜きで使い、一本の映画を見てグループで感想を伝え合う。そして翌週の講義でそれぞれグループ毎に映画について好きな観点からの考えを模造紙(大洋紙といいたい…)にまとめてプレゼンする、という内容だった。
    取り上げた映画は「ニュースの天才」「JUNO」「ニューシネマパラダイス」など、毎回講師が選び、ジャンルは様々だった。他にももう2本くらいあったはず。どの映画の回か忘れたが、プレゼンで印象的なやりとりがあった。どこかのグループが、「主人公の言葉では表現できない何かについて」みたいなひどく曖昧なタイトルでプレゼンをした。内容はあまり覚えてないが、喋っていたそのグループのリーダー役は結論をまとめきれておらず、最後には「主人公には…なんかこう… 言葉じゃ説明できない何かこう…葛藤があったと感じました!」と締め括った。それに対して講師は「その『何か』を上手く言葉で説明してくれなきゃ」と至極真っ当な指摘をしたのだった。

   プレゼンを聞いていた僕も指摘は「ですよね〜」と聞いていたが、確かにその映画の中で表現されていた主人公の悩みや行動は説明が難しいのは事実だと感じた。言ってしまえば、「それは、映画を観て感じてください」としか言いようがない。もしかしたら撮った監督もそう言うのでは?むしろそうであってほしいくらい。


   何が言いたいかというと、客観的な批評はあくまで客観で、本質を伝える言語化は本当に難しい。けれどもそれを承知で言語化しないと無理な話だ、ってこと。…全然まとまってないけれど。