状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

雑記

ハッピーエンドは欲しくない

ハッピーエンドは欲しくない 作者:n Amazon kindleで読んだので読了メモ。 はてな匿名ダイアリー(アノニマスダイアリー、通称「増田」)に時々現れては名文を書き残す、ある日本人男性がその半生を綴った電子書籍。 自分がこの人を初めて知った文章は「人生…

大学生活を振り返る:⑤ 春が散るとき

物事の終わり、もしくは終わりの予感に対して感傷的になること。当時、明確に定義できていなかったが自分にはその性癖があった。割と最近になって「感傷マゾ」という言葉を知った。たぶんこれだろう。 大学4年になると、ぬるま湯に浸かった大学生活の終わり…

大学生活を振り返る:④九州ひとり旅

またひとり旅行の話。大学4年の8月半ばに内定が出てようやく就活が終わった自分は、旅に出ようと思い立ち福岡空港行きの航空券を取った。どうしても行きたい場所があった訳ではなく、当時関西より西に行ったことがなかったため、西日本で行きたい街である長…

大学生活を振り返る:③深夜徘徊

学生時代は家賃2万4千円という破格の安さのアパートに住んでいた。築45年の酷いボロ家だが大学までの立地は良く、2階の自室は日当たりも良い。洗濯機が共同なこと、よくブレーカーが落ちること以外は特段問題なく快適に暮らしていた。 大学1年の頃は自宅生の…

大学生活を振り返る:②新宿か上野か新潟

大学2年の頃に付き合っていた人は、埼玉に住んでいた。中学の同級生で、彼女は一年浪人したので当時大学1年だった。5月頃から会うようになり、9月頃に付き合い始め、クリスマスイブに別れた。 自分は貧乏な学生だったため、頻繁に会いに行くことはできず、高…

大学生活を振り返る:①春の京都ひとり旅

なぜ今さら、というタイミングだが、大学生だった頃のエピソードを思い返しながら書く。書かないと忘れるし、書くことで思い出すこともある。 基本暗くて地味な貧乏学生であったが、時々輝かしい思い出もある。楽しい学生生活だった。 ○ 大学1年の頃は個別指…

『ドキュメント72時間』私的傑作選

NHKの『ドキュメント72時間』にはまり、最近毎日2本ずつ見ている。本当に面白い。AmazonプライムとNHKオンデマンドに加入して、2ヶ月ほどかけて50本以上観た。アマプラで視聴可能な回は250本ほどあるので全制覇はまだ遠いが、特に面白かった回の個人的ランキ…

晴天の価値

2月中旬に出張で千葉へ行った。5日間の滞在中はずっと快晴で、気温は20℃に迫る春のような暖かさだった。仕事は朝から晩まで現場を走り回る過酷なもので、身体的にも精神的にも追い込まれた。毎朝、京葉線から見える美しい景色を眺めて正気を保っていた。太平…

2023年良かったもの

・FROLIC A HOLIC 3月。武道館1日目を配信で観た。演劇、コント、ライブ、トークなんでもありのエンタメとの触れ込みだったが本当に全部ごちゃ混ぜで完成された舞台で凄かった。佐倉綾音が演じるアイドルキャラ(ラブちゃん)が馬鹿みたいな台詞を叫び、それ…

文学フリマ東京37を振り返る

楽しかった。今年も参加できてよかった。 まず、新作を出せたのがよかった。秋の文フリに申し込んではいたもののモチベーションが上がらず、既存の本を売るしかないか…と思っていた。しかし9月半ばに書き始めたところ1ヶ月で完成した。締め切りがないと何一…

バンドのMVの話と、制作にかける時間の話

○ バンドのMVの話 www.youtube.com バンドのミュージックビデオを作った。この一年強で3作目(アルバムティザーを入れたら4作目)。ちょっと作りすぎかもしれない。割と力を入れて撮った作品。 撮ったといっても最近撮影した映像は1カットもなくて、全て2016…

2022年良かったもの

映画『C’mon C’mon』 2022年の個人的ベスト映画。本当に良い。 叔父と甥っ子の心の交流の話であり、大人から子供へ、そして子供から大人へ向ける視点の話だった。 ジャーナリストの仕事をするジョニーは、姉の子供、つまり甥っ子のジェシーをしばらく預かる…

ゴールデンカムイのこと

あまりにも強力な物語に打ちのめされて、仕事帰りのドトールでしばらく呆然としていた。受け止めきれない。苦しくて読み進められない。それでもスマホを開き、2回3回と読み返してしまう。あらゆる感情が溢れてきてコントロールできなかった。この物語を消化…

2021年ハマったもの

『ヒッチャー』 1986年公開の映画。春頃に映画館でやっていたので、ポスターに惹かれて観に行ったら大当たりだった。小説とか漫画とかドラマとかひっくるめて、今年一番面白くて衝撃を受けた作品は実はこれだった。 ストーリーは単純で、新車を運搬する仕事…

『避行』あとがき代わりの近況

2作目の短編を書いた。 避行(高里 嶺) - カクヨム 小説を書き終えてすぐにあとがきを書いてはいけない、何故ならハイになってるから、と文庫版『後宮小説』のあとがきで酒見賢一が言っていた。なので、この文章は短編を書き終える少し前に書いておいた。そ…

SuiseiNoboAz 『HAVE A NICE DAY BABYLON TOKYO』

ボアズのライブDVDを買った。2017年9月3日渋谷O-NESTでのライブを収録したもの。2017年から2018年にかけて、ボアズはほぼ1年に及ぶリリースツアーを行った。自分は山形と東京でその内の2本を観た。特に東京で観た回はその年観たライブの中でベストに挙げたい…

救済小説

エピソードが3つある。ひとつは高校3年の2月下旬のこと。大学の前期入試に失敗した自分は高校の図書室にいた。誰かと話をしたかったけれど、人気のない部屋には同じように辛気臭い顔をした人間しか居らず、一体これからどうしたらいいのかと気持ちはひたすら…

語りの場

用事があって東京へ行く度に、友達と新橋や新宿で朝まで飲むのがお決まりになってきており、本当に楽しい。昨晩もそうだった。朝方、4軒目を出て新宿駅前で解散し、飲み会終わりの少しの寂しさを感じながら銭湯へ行き、サウナに入り少し寝た後に上野をぶら…

出発の年齢

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) 作者: 沢木耕太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1994/03/30 メディア: 文庫 購入: 13人 クリック: 199回 この商品を含むブログ (310件) を見る 一体どれほどの人を放浪の旅へ誘ったかわからない、傑作旅行記『深夜…

物語の導入

ネトフリで久々に「マトリックス」を観た。1作目。当時は映像の凄さやアクションシーン、特に例の時間が圧縮されて弾丸避けるやつが話題になったと記憶してたけれど、改めて観た感想は「導入が良すぎる…」だった。完璧だと思う。 冒頭のトリニティーが国税局…

きっかけについて

久々に旅行に出たり、友達と楽しく飲んだりしたおかげか、ここ数週間の過労で参ってしまっていた心が回復し、少しだけ前向きになれた。夏が近づき暖かくなったせいかもしれない。同時に創作へのモチベーションが上がってきたので、この機を逃さぬよう文章を…

一番強度の高いメディア

先日、映画「ブレードランナー2049」を観た。本当に美しい映画だった。大作のSF映画に期待されてそうな派手さはないけれど、圧倒的な映像美と「自分は何者なのか」という哲学的な問いを追求するストーリー、終始漂う物悲しい雰囲気、ラストの主人公の選択、…

大学3年の初夏

久しぶりにKensei Ogata「Her Paperback」を聴いていたら、大学3年のある時期の思い出がフラッシュバックしてきた。自分は感傷マゾの気があり、常に将来に希望が持てない後ろ向きな人間であるため、定期的に大学時代の楽しかった思い出に浸っては鬱になって…

総括と抱負

2018年。2017よりは字面が良い気がする。 平成30年。なかなか区切りが良い。なんとなくいい年になる気がしてきた。 先日、「2017年を漢字一文字で表すとどんな感じ?」と人に聞かれ、「ダジャレかな?」と返したら真っ赤になって肩を殴ってきた。痛い。 私の…

「ただ座っている老人」についての考察

街を歩いていると時々見かける、何をするでもなくただじっと座っている人。大抵が老人で(どちらかと言えばおじいさんの場合が多い)、普通の民家の前などで、椅子だったり、玄関の石段だったりといった場所に腰をかけて、ぼうっとしている。目の前の道を行き…

読書の時間

恩田陸の著作に「小説以外」というエッセイ集がある。その中に収録されている「読書の時間」という一編は読書というメディアの真理を短い文章でこれ以上なく端的に言い表しており、初めて読んだとき心の底から感服してしまった。短いので思い切って全文を引…

マタギの話

「大宴会in南会津」というローカルなフェスに行ってきた。空気公団、ミツメ、スカートなど、ちょうど見たかったバンドが全部見れて本当に大満足だった。が、ここではあえて同会場で開催されたマタギの方のトークライブについて書く。 会場はこんな感じ。話者…

無題

・まとまった文章を書けなくなった。読むにも書くにも体力がいる。思い返せばきちんと書けたことなんて一度もなかった気がするけれど。ここで言う“体力”というのは能動的に何かに取り込む時に必要なモチベーション、知識の引き出し、そしてそれを人に見せる…

愛と笑いの夜

iPhoneのメモ帳に残っていた、今年の5月頃の飲み会の記録。ゼミの同期、後輩と男3人でただ集まって飲んだだけなんだけれど、単純にとても楽しい夜だったので文章にしておく。 ある金曜日の夜、その飲み会は新潟の古町で決行された。古町は駅から徒歩20分は…

喫煙所の話

先日遊園地に行った。中学生の頃にディズニーランドへ行った以来なので10年ぶり。田舎にポツンと建っているその遊園地は、いい感じに寂れていてなんとも言えない情緒があった。店員さんもシルバー人材センターから来ました、みたいなおじいさんばかりで、皆…