状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

バンドのMVの話と、制作にかける時間の話

○  バンドのMVの話


www.youtube.com

バンドのミュージックビデオを作った。この一年強で3作目(アルバムティザーを入れたら4作目)。ちょっと作りすぎかもしれない。割と力を入れて撮った作品。

撮ったといっても最近撮影した映像は1カットもなくて、全て2016〜2018頃のバンド結成〜活動初期に撮り溜めた映像を編集したものだ。みんな若い。なんとなくのストーリーというか、流れを持たせる構成にした。2番サビのライブシーンでクライマックスになる構成。フィルムダメージのフィルターをかけているが、雰囲気を出すためというよりもそのままの画質だと暗いスタジオ映像が粗すぎるために誤魔化すためだ。カラーグレーディングとか全然使いこなせてない。小節ごとでカットを切り替えているせいで少し野暮ったいのは反省点だ。星野源が「MVのカット割は小節に合わせないことで独特なグルーヴが作れる」と言っていた。まだその技を会得できていない。

・元ネタ: LOSTAGE『NEVERLAND』


www.youtube.com

今回は明確にこれのオマージュのつもりで作った。気付く人はいるんだろうか。制作中に50回以上聴いたけど本当に良い曲、良い映像だ。

 

映像の編集は楽しい。撮る時よりも楽しいかもしれない。ここ数年、バンドに限らずたくさんのMVを見続け、主にネットで映像制作の勉強をして、ようやくなんとなく映像を作れるようになった。一番最初に衝撃を受けてこういうのを作りてえな、と思ったのは学生の頃ハマった禁断の多数決の『トゥナイト、トゥナイト』のMVだった。あまりにも癖が強く、情報量が多すぎるのに美しい、とんでもない傑作だ。今でもモチベーションになっている。とても真似できるものではないけど、見返すたびに学ぶものがある。

自分はダヴィンチリゾルブ(無料版)を使っている。1年使ってもまだ手探りで、機能をネットで調べながら使っている。フィモーラよりも慣れると使いやすい。佐久間信行はテレビ業界の編集はFinal CutかAdobe Premiereを主に使うと言っていた。興味はあるが、とりあえずダヴィンチに自分がやりたい機能は揃っているのでこれを極めたい。あとはカメラを買うかずっと悩んでいる。車のローンを払い終われば次のボーナスで買うのだが。iPhaneの手軽さと機能性に慣れ過ぎている。もっと本格的に撮りたい。

 

 

○ 制作にかける時間の話

このMVの曲を含む2曲入りシングルを5月に発売する。レコーディングが完了してからマスタリング終了まで丸3年かかった。時間がかかりすぎだと思う。とにかく出せて良かった。

創作をする上で、作ってから発表するまで時間がかかることはよくある。なんなら開発地獄に陥ってずっとお蔵入り状態、みたいなものも世の中にはきっと多くあるんだろう。そういった作品が何十年の時を経て世の中に出たとき、制作した側も受け取る側も、何か得することなんてあるのか...? とやや批判的に考えてしまう。作品は、世に出て人の目に触れることで初めて作品になるという言説は本当にその通りで、せっかく作ったものが誰の目にも触れられずにハードディスクの隅で眠っているのは残念なことだ。どんなに個人的なものでも、自己満足でも、匿名でいいからネットの海にでも放り投げておけば誰かの目に触れるかもしれない。完成まで熱量が続かなかったとか、作るのに飽きただとか、そういう事例を時々聞く。未完成に終わったその作品の存在や、それを作っていた時間とか、そういったものに思いを馳せて少しやるせない気持ちになる。それはあくまで習作というやつで、その後に作る作品に活かせればいいという考えもあるのかもしれない。

少しズレるが、作曲をする友達が作った曲をすぐに出さないことを「発酵させる」と表現していた。一旦寝かせておくことに意味を見出している言っぷりだった。今度会ったら詳しく聞きたい。