状況が裂いた部屋

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SuiseiNoboAz「the end of the world vs vinyl bukuro」

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   suiseinoboazのライブDVD。2011年11月13日に代官山UNITで行われた2nd発売後のツアー最終日が収録されている。

 

    凄まじい熱量とメンバーの演奏の巧さ、ロックバンドの格好良さの全てが表現されている最高のライブだと思う。カメラワークも抑えめの演出も全てが好き。少しだけ残念なのは中盤から石原さんの声が枯れてしまっているのと、ギターが粗い点くらい。

 

    オープニングで流れているSEが結構好みの曲だったのでsoundhoundというアプリで調べたところ、Domoticというフランスのアーティストの「I hate you forever」という曲だった。因みにこの曲が収録されたアルバムのタイトルは「Ask for tiger」。本編の11曲めに演奏される曲はここからの引用だと推測される。それにしても曲中に「タイガーの炊飯ジャー」なんて歌詞があるバンドは他にいないと思う。このツアーのタイトルもそうだし、この人たちの訳のわからないクールさが大好きだ…。

 

   個人的に大好きな「shoegzer」と「64」も聴くことができて嬉しい。たいていの曲のソロで踏まれるファズの音は常に最高だ。3rdに入っている「tokimekinishisu」が古い曲だとは知らなかった。ほぼアルバム収録時と同じバージョンで演奏している。

 

   アンコールで登場したときに「東急ハンズで買った」というピンク色の雨ガッパを着てくるんだけれど、これはピンク・フロイドへのオマージュなのだろうか…。そういうアー写があったような。「メキシコかアイダホ」で最高潮の盛り上がりを見せる。というかストレートで観客がノリやすい曲ってこれくらいしかない気が。一番最後に演奏される「happy 1982」はブリブリのベースが秀逸で(どれもそうなんだけど)、「大事なものから順番に 砂をかけて隠しても 猫の粗相のスピードには追い付けない」って歌詞が好き。理由はない。もはやボアズの専売特許といっても良いアウトロでのテープエコーによるノイズ演奏→メンバー紹介→電源落として締める、という美しい終わり方。マイクスタンドにガムテープで固定されたギターから発せられるノイズをバックに、肩にテープエコーを担ぎ、右手にshureSM58を持って観客を見やる石原正晴、ロマンしかない。

   タイトルにあるとおり、このDVDはケースが透明なビニール袋に入った状態で売られていた。そういう姿勢がいちいちクールだ。公式HPに掲げてある1stのジャケの絵と「Love me or leave me」の台詞もそうだけれど、石原さんの一貫した美意識がバンドの立ち位置、色、格好良さにそのまま現れているんだと思う。こういうバンドがいてよかった。