状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

バンドの映像制作の話

 

f:id:ngcmw93:20221004192440j:imageバンドで6曲入りの音源を作った。かなり良い感じの出来映えだし、初めてサブスクで出すのでしっかり宣伝したいな、と広告用にトレーラー映像と1曲フルのMVを制作した。


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今回のミニアルバムは"夏の夜道を散歩するときに聴く曲"というコンセプトがあり、そんな感じのイメージそのままを映像にした。でもレコーディング期間に撮った画は無くて、2017年〜2020年頃に撮り溜めた夜の映像の中からそれっぽいものを集めて編集した。何故夜の映像が大量にあったかというと、当時バンドの別の曲のMVを構想していて、深夜徘徊の途中や朝方の運転中に撮ったものが残っていたからだ。結局そのMVは完成しなかったのだけれど、色彩を調整したり、カットの流れを工夫したり、ボヤけ感を加えることで再利用できて良かった。こうしてきちんと統一感を持たせて形にすると、それぞれのカットもそこそこ良い感じに見える。撮ったはいいけどMVとして仕上げられず、ずっと心に引っかかっていた動画の断片が映像に仕上がってよかった。一度考えたことはお墓を作って供養してあげなければならない。やはり作品は形として仕上げて、世に出して初めて作品になるんだと思う。前向きな形で供養できてよかった。

映像制作はとても楽しい。大変なのでしょっちゅうやろうとは思わないけど。過去に諦めかけた制作をここ最近少しずつ再開して、それなりに納得できるものが作れているのは嬉しい。過去の自分が救われていく気がする。

 

 

以下、例によって参考にしたMVなどの話。

 

きのこ帝国 - 夜が明けたら


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トレーラー映像の元ネタはほぼこれ。学生時代によく聴いていたきのこ帝国の初期の曲。この映像はずっと長いこと頭の中にあって、このイメージに執着してきた。輪郭のぼやけた淡い映像と、映っているのは抽象的な風景なのに撮っている人間の目線のような映像。一人称で描かれている文章みたいだ。曲のイメージを完璧に表現した傑作だと思う。10年間もこれがやりたいと思い続けてきた。少しは同じ雰囲気が出せたような気がしている。

 

Title Fight - Head In The Ceilling Fan

Title Fight - "Head In The Ceiling Fan" - YouTube

超名曲。トレーラーの方はこれくらい粗いVHSの質感にしたかったけど、流石にやり過ぎな気がしてやめた。空虚な感じが堪らない。

 

ミツメ - 煙突


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輪郭のぼやけた風景、通り過ぎるネオン、流れていくガードレールと車線の白線...夢の中みたいな映像だ。全体を通して抑えめの色彩なのも良い。ほぼ車窓の風景だけでこんなに良い映像を作れるんだ、と感動する。これも「夜が明けたら」も10年前。学生の時に繰り返し観た映像が今の自分に影響しているのは不思議な感じだ。よっぽど刷り込まれていたみたいだ。

 

I have a hurt - Hello Darkness


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超名曲。イントロのめちゃくちゃな勢いがかっこいい。これぞギターロックバンド、って感じの曲だ。夜道は上手く撮らないとただの真っ暗な映像になってしまう。街灯や薄明るさを使って、なんとなく映す対象が照らされていなければならない。かといってバチバチに照明を当てると"撮ろうとしている感"が出過ぎてしまう。そこを上手いことやると、映画みたいな画になる…と勝手に思っている。いいPVだ。アイデア一発、って感じの撮り方は編集も楽だったりする。

 

HASAMI group -  summer


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何の映画だろうか、ロケ地は新潟市っぽいけど…と色々調べていたら『blue』という映画だった。終盤の、日が沈んだ濃紺の空をバックに自動販売機が浮かぶように光ってる構図が衝撃的に綺麗だ。これを撮りたくて何年も狙っている。日が落ちてから真っ暗になるまでの一瞬、地平線がぼんやり明るいあの時間の素材を撮りたい。

 

あとはHomecomingsのすべてのビデオ。特に「HURTS」「blue hour」はめちゃくちゃ良くて、あれをやりたかったが歩くだけで絵になる景色も女の子もいないのだった。

20代のうちにもう一つくらい何か撮れたらな、と思う。

 

2022年サウナ探訪

今年初めて行って良かったサウナ5選。


①サウナセンター(鶯谷

②The Sauna(野尻湖

③snow peak FIELD SUITE SPA(三条)

④Hostel Perch(佐渡

⑤In the earth(出雲崎

 


①サウナセンター(鶯谷

f:id:ngcmw93:20220529190802j:imageサウナーの聖地みたいになってる場所。以前から噂はよく聞いていたので行く機会を伺っていた。5月、文学フリマゴールデンカムイ展へ行く目的で東京を訪れた際に満を持して突撃した。結論、最高のサウナだった。

f:id:ngcmw93:20220529191056j:image都内にいくつかある、カプセルホテルとサウナが一体になったタイプ。カプセルは2018年頃に改築した際作ったらしい。喫煙所が各階にあり、無料の水とお茶のサーバーもあって嬉しい。

サウナは15人くらい入れる広さ。木のいい香りがする。3段あった一番上に座れたからか8分サウナ→1分水風呂→外気浴の1ターン目でガッツリととのった。ビルなので外には出れないが、水風呂の前に椅子と外気が通るいい感じのスペースがある。サウナの隣にクーラーで冷えた部屋があるのが素晴らしい。1時間おき程度にアウフグースタイムがある。もうととのったし迷ったが、ちょうど始まったので参加した。アロマの香りと熱波師の技で素晴らしい熱波を感じる…が、一番上の段にいたため地獄のような熱さだった。気をつけないと火傷する。アウフグースは下の段が正解。

あと、タナカカツキ先生の『サ道 ととのいの果てに』を拝読した。サ道の連載開始までの経緯や、サウナ大使になってからのあれこれ、フィンランド行きのことなど盛り沢山で面白い。2012年頃流行った「コップのフチ子さん」のデザインや美大客員教授だったり、ドラマ版サ道の「ととのった〜!!」のシーンで背景に流れるサイケデリックな映像(virtual drug)などを作ってたとは知らなかった…大使凄すぎる。

f:id:ngcmw93:20220529202613j:imageサウナの後は5階で飲む。俺は旅先で飲む瓶ビールが本当に好き…。

翌朝も早朝サウナをキメた。ほぼ貸切で最高だった。外気浴スペースでは風鈴が鳴っている。ととのいながら夏の訪れを感じた。

 

 

②The Sauna(野尻湖

f:id:ngcmw93:20220614210508j:image今現在、自分の中でのベストサウナ。超本格的な、サウナ好きが皆満足する、サウナーのためのサウナ。最終的にみんなここに辿り着く気がする。

ここはサウナ狂いの友人に連れられて行った。我々が入ったサウナは「ユクシ」という名のついたログハウスで、薪ストーブが設置されていた。ここ数ヶ月ゴールデンカムイに取り憑かれている自分は丸太小屋のサウナを見てバーニャじゃん…と思った。ベンチが両脇に2段ずつ、中央に薪ストーブ。天井が低いので上段はかなり熱い。熱と戦ってから飛び込む水風呂(近くの川の水を引いている?)がキンキンに冷えていて最高だった。すぐ近くの野尻湖に飛び込んでもいいらしいが、おとなしく清潔な樽の水風呂に入った。体を拭き椅子に寝そべると浮かんでいる感覚に飛ばされて、しばし全員無言になる。完璧なととのいだった。時間があっという間に過ぎていく。サービスだったのか、最後の方にスタッフの方がウィスキングをやってくれた。ヴィヒタで身体を叩いたりすることらしい。熱波が凄い。景色も良い場所だし宿泊も可能なので何回でも行きたい。

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③snow peak FIELD SUITE SPA(三条)

f:id:ngcmw93:20220614211015j:imageついにスノーピークが風呂まで作っちゃったか…行くしかねえ!とサウナ狂いの友人と突撃した。外見があまりに綺麗でこんなの美術館じゃねえかと騒ぐ。内装もデザインがこだわってる感じがして圧倒された。自分みたいなのがこんな意識高そうな場所に入ってはいけない気もする。2022年の4月にオープンしたばかりで、6月に行った我々は浴場に入った瞬間のめちゃくちゃ良い匂いにときめいた。

サウナは20人くらい入れる広さ、石が積まれたストーブをコの字型のベンチで囲み、一方が全面のガラス張りできれいな空と山が見える。微かに環境音楽が流れてる中、ひたすら熱を感じて汗を流す素晴らしいサウナだった。外気浴スペースも目の前芝生と山で、ロケーションで言ったら圧倒的一位だった。食事が食べられる施設が2つあり、サ飯と呼ぶにはおしゃれすぎるご飯を食べた。なんかテンションがおかしくなりTシャツを買うなどした。

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④Hostel Perch(佐渡

f:id:ngcmw93:20220804104126j:image仕事の都合で時々佐渡に行くイベントが発生する。毎回、出張の用事を金曜に済ませ、自費で一泊し翌日観光して帰る。島が好きなので。

今年は島の西側に位置する佐和田海岸にあるパーチというゲストハウスに泊まった。サウナがあり、酒が飲める、俺のために作ったのか?ってくらい最高の宿だった。割と広々したコワーキングスペースもある。夜、予約していたサウナに入る。19時〜20時半の混みそうな時間の枠だったけど、運良く客は自分ひとりで、貸切だった。

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f:id:ngcmw93:20220804105647j:image蔵サウナは凄まじい熱さで、最初は5分が限界なくらいだった。何周かするうちに慣れてくる。ひとりなので自由にロウリュウもできた。飲み放題のお茶がとても美味い。たっぷり1時間半満喫した。隣の神社でお祭りの練習なのかドコドコと太鼓が鳴る。旨いクラフトビールも飲めてこのために生きてる…と完璧に仕上がった。佐渡がまた好きになった。

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⑤In the earth(出雲崎

f:id:ngcmw93:20220529185805j:imageここまで書いて3月に行ったサウナを思い出した。新潟の中越地方、出雲崎に今年オープンしたIn the earth。例によってサウナ狂いの友人が予約し、プレオープン期間に訪れた。

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f:id:ngcmw93:20220529185842j:image以前は臨海学校だった建物を利用しているため、教室がそのまま使われている。なんかテントとか炬燵があった。この時はプレオープンなので開始してなかったが、今はグランピングとかもできるらしい。

f:id:ngcmw93:20220529190137j:imageサウナはとても良かった。土で塗り固めて作ったドーム型のサウナ。天井が低いので熱がすぐ回る。セルフロウリュもできる。しかし3月で外には雪が薄く積もるほどの寒い日で、水風呂は狂気の5℃だった。頑張っても15秒ほどが限界で、友人たち4人で叫びながら修行のように入った。めちゃくちゃうるさかったと思う。外気浴というかベッドチェアに寝転べる綺麗な部屋もあったが、ここの気温も外と変わらない寒さだった。施設は良いので、時期を選べばととのったと思う…。

 

新潟には設備の良いサウナがいくつもあり、自分は市内の銭湯「金の湯」を本拠地にしている。市民は月5回まで230円で入れる最強のチケットが貰えるので毎週通っている。2ヶ月に1度は旧下田村の「いい湯らてい」に行く。UFOみたいなオートロウリュマシンが稼働し、地獄のような熱波が出るのが楽しい。八木ヶ鼻というデカい崖を眺めながらととのうことが出来る。

以前東京の文学フリマで銭湯の写真集を出してる方と風呂の話ができたのは良かった。新潟に時々行く機会があるそうで、自分の本拠地をおすすめした。

現在の夢は、全てのサウナーの憧れ「サウナしきじ」に行くこと。あまりに絶賛されてるので自分の中でハードルが上がりまくっているが、いつか必ず訪れてみたい。

 

 

ZINEを制作した話

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初めてZINEを作り、イベントで売った。結論から書くとかなり面白かった。申し込み期限の直前に一気に作ったので少し粗い部分もあったけれど、割と好評だったので良かった。反応をもらえるのはやはり嬉しい。作った甲斐があったと思う。以下、制作メモと反省。

ふふふのZINE ← 出たイベント

 

5月くらいにイベントの存在を知り、客として見に行きたいなぁ、くらいに考えていた。しかし6月半ばに急に自分の本を出してえ...と思い急遽作った。スケジュールを書き出してみたのに全然取り掛かれず、6月後半に制作と入稿、7月に納品されて即イベント申し込み、とギリギリ駆け込みだった。というか申し込み時点ではもう一冊は完成してなくて、価格設定をミスってしまった(セブンイレブンの小冊子印刷でA5サイズ28Pは140円だった、安くて便利)。ドタバタして主催の方に申し訳ない。

なんで急にやる気が出たかといえば、5月の東京文フリに行って強烈な刺激を受けたのと、バンドの音源制作が進むにつれて個人でもなんか作りたいな、と創作欲が湧いたからだ。文フリのあの雰囲気、プロもアマも分け隔てなく、同じ場所にブースを並べて作品を売っている場に強い憧れを持ってしまった。斜線堂有紀先生と喋ったり、滝本竜彦先生の存在を見つけたりして(エリーツのメンバーが3人くらい居た)テンションがぶち上がった一方、作家ではなく普段は会社員をやってるような一般の方が、熱量の高い作品を出していて、本当に良かった。商業出版だけではなく、同人でこんなに質の高いものを作ってる人たちが居るんだな…と感動してしまった。同好会で出展していたアニメの批評や、映画パンフの本、街歩きの本、そして個人的上半期読んだ本ベストの『うろん紀行』を出した「代わりに読む人」のブースに行けてよかった。

他にやる気が出た理由のひとつに、ここ半年くらいずっとHASAMI groupにハマっているということもある。偏執的な、時にノイズにまみれた、切実な曲ばかりだ。狂った制作ペースもふざけたような活動スタンスもホームページの感じも全てがツボだった。私は青木龍一郎氏のことを尊敬している。

あとは制作に取り組む時間の捻出、これが難しかった。仕事から帰った夜の時間に創作をするのはキツいものがある。通勤時間に構想を練って、夜に執筆するのが理想だけど全然出来なかった。かといって週末にまとめて書くにも集中力には限りがあり、やっぱり30分くらいずつでも平日にコツコツやるしかないのだと思う。30分だけやろうと机に向かったら、いつの間にか2時間書いてた、みたいなこともある。弱くてもエンジンをかけ続けることが大事だ。

 

制作には無料の「Libre Office」とかいうソフトを使った。写真と文字の段組みはこれで割とできる。しかし操作性に若干問題があるのですぐに貼り付けた写真がズレてストレスだった。文フリで話した人たちに「何のソフトで作ったんですか」と聞くと皆IllustratorInDesignを使っていたので、やはりお金をかけて環境を整えるべきかなと思った。一式揃えたからにはやる気も出るのだろうか。

 

作ったZINEの残部が僅かにあるので、売り切るためにもう一個くらいイベントに出たい。ネットプリントの方は一部の文字を修正(縦書きなのに英数字が横倒しになっている)するのと、表紙の枠の大きさを変えて、第2版として刷る予定。5部くらい地元の本屋で扱ってもらえたら嬉しい。どうやらZINEのイベントは他にもあるそうなので、スケジュールが合えば出展したり、ふらっと買いに行きたいと思う。あと、文フリも出たいと思う。またなんか書こう。

 

ゴールデンカムイのこと

あまりにも強力な物語に打ちのめされて、仕事帰りのドトールでしばらく呆然としていた。受け止めきれない。苦しくて読み進められない。それでもスマホを開き、2回3回と読み返してしまう。あらゆる感情が溢れてきてコントロールできなかった。この物語を消化し、受け入れるのに長い時間を要した。ゴールデンカムイ310話のことです。尾形、お前って奴は……。なんて凄惨な死に様だ。なんて生き様だったんだ……。

 

その後、ゴールデンカムイの全話無料開放で感情をめちゃくちゃにされた私は快活クラブで単行本で全巻読み返し、更に感情を抉られていた。

実は白石や鶴見より先に登場していた尾形(第2話)、最初は坊主でモブっぽいキャラだったのに、ここまで大きな存在になるとは思わなかった。凄腕の狙撃手で第七師団長の妾の子。土方歳三と行動を共にしたり、後半右眼を毒矢で撃たれて義眼になったり、何故かロシア語を話せたりと要素が多すぎる。猫目で、キザな喋り方で、敵なのか味方なのか分からない得体の知れない隙のない男。一回だけ「ヒンナ」って言って、あの時はやっとアシリパたちと心が通じるかと思ったのに。地獄行きの特等席に乗りやがって…。そしてあの死に様。毒で錯乱する中、自分が手に掛けた父親、弟、(恐らく)母の死に方全てを負って、自ら引き金を引くあの最期……。最終話で出てくる絵『山猫の死』。ヴァシリは生きていて、尾形を描いて弔ったのか?考察の余白を残すのも凄い演出だ……。

再読して、キャラ一人ひとりのエピソードの強さに驚く。作者は設定をどれだけ作り込んだのか。鶴見が、暴走する機関車で杉元との戦闘中、妻と娘の遺骨を砕かれたときのあの表情。狡猾で底の知れない、前頭葉が吹き飛んだ軍人が見せる人間らしい表情。怒涛のクライマックスであの一瞬があるのは本当に凄い。月島や谷垣も、暗い過去があるキャラがそれを抱えたまま生きている。金塊争奪戦という本筋が霞むくらい、サイドストーリーが深く面白い。杉元がなんで金が欲しいのか最終話を読むまで忘れていた。

 

 

f:id:ngcmw93:20220530211543j:image以下、ゴールデンカムイ展のこと。ファンが満足できる最高の展示だった…。

 

f:id:ngcmw93:20220530211919j:image杉元の軍帽のモデル品。つまり菊田から杉元に贈られたものか。

f:id:ngcmw93:20220530211840j:imageうお…尾形の三八式歩兵銃のモデル…。

f:id:ngcmw93:20220531201901j:imageまだ両目ある時だ。

キロランケのマキリも、キラウシの着物もある。

展示をじっくり観て回ると、物語の細部にまた気付きがあって面白い。そういえば宇佐美も新潟の出身だったか、鶴見を崇拝してたもんな…。

 

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f:id:ngcmw93:20220530212115j:image24人の刺繍の囚人の中でも特に好きな3人。姉畑支遁…。

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f:id:ngcmw93:20220603073335j:imageあと剥製職人・江渡貝弥作の紹介がふざけ過ぎてて良かった。鶴見中尉と江渡貝の絡みも好き。第七師団周辺のイカれたキャラみんな好きだった。

 

中盤の少数民族の文化の解説が丁寧でよかった。アイヌの他にも樺太編で登場する民族についての説明が面白い。ニヴフ族やウイルタ族など。もちろんアイヌの道具、風習なども展示がある。チプタプの料理サンプルとか。


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f:id:ngcmw93:20220530212936j:imageあと、今更ながら野田サトル先生の絵は本当に構図がかっこいい。これだけ絵で語れないと、最終盤の杉元と鶴見中尉の台詞無しバトルシーンとか描けないよな…。とことん作り込まれた設定と、妥協のないバキバキにキマッた画、傑作になる条件が全て揃ってて、売れるべくして売れたのだな…。ストーリーの凄さに夢中だったけど、そんな今更な部分を思い知らされた。


展示は大盛況でめちゃくちゃに混んでいた。客層は20〜40代くらいの女性がかなり多かった。青年誌のヤンジャン連載の漫画でこれほど女性人気があるのは凄い。グッズは悩んだ末にずっと飾れるものを買った。本当は「第七師団お風呂セット」が欲しかったが売り切れだった。


f:id:ngcmw93:20220530211324j:image入場者特典は鯉登少尉!キェーッ(猿叫)


f:id:ngcmw93:20220531060012j:imageアクリルジオラマを入手。 一番いい場所に飾る。


今後も単行本の発売、アニメ第四期が2022年10月放送開始、そして実写映画化と連載が完結してもまだまだ話題は尽きない。まずはアニメを観るか、単行本をまた読み返すか、楽しみがあるのは幸せだ。野田サトル先生ありがとう…。

 

四国旅行記③

 

○  4日目

f:id:ngcmw93:20220425062237j:image旅行最終日。7:15坂手港発のジャンボフェリーで神戸へ向かい、夕方に飛行機で新潟へ帰る。

 

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f:id:ngcmw93:20220425182348j:imageそういえばこの航路を調べていたら「ニャンコフェリー」って表示されてたのは何だったんだ…可愛いけど、と思ってたらこの船の愛称がニャンコフェリーだった。正式な船名は「りつりん2」らしい。


f:id:ngcmw93:20220425182412j:image船内でオリーブうどんを食べる。顔のつもりなのか?写真を撮ったら作ってくれた若い店員の女性が「あっ…」って表情をしてた。

そしてついに、この旅で最大の楽しみだった「船で明石海峡大橋の下を潜る」というイベントを迎える。甲板に出ると夏のような陽射しが眩しい。他にも橋を撮ろうとするカメラっ子たちがいた。iPhoneを手に良い場所を陣取る。

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f:id:ngcmw93:20220425182821j:imageだんだんと近づいてくる。なんて美しい建造物なんだろう。

 

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f:id:ngcmw93:20220425183242j:image一瞬で潜り抜ける。頭上で車の走行音が聞こえてびびる。
f:id:ngcmw93:20220425183616j:image自転車や歩きで渡ったら最高なんだろうなと思う。

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f:id:ngcmw93:20220425182938j:imagef:id:ngcmw93:20220425183758p:image上が明石、下が淡路島。本当にド迫力で満足した。快晴の空に白い橋が映える。

 

f:id:ngcmw93:20220425183736j:image神戸港に到着。眼前に三菱のでかい倉庫が迫る。船を降りて神戸三宮駅行きのバスに乗る。フラワーロードをほぼ一直線、花時計の横を通って10分かからず着く。神戸・三ノ宮は大都会だ。道ゆく人々がなんか垢抜けて見える。あと高級車がやたら多い。

 

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f:id:ngcmw93:20220425183933j:imageドトールで少し休んでから神戸市立美術館でミイラ展を観る。7体くらいミイラがいた。棺や装飾品、石板や当時の食べ物など。かなり見応えがあって面白かった。CTスキャンによる復元で、ミイラの頭から足へ肉体が再現されていく映像を観てGANTZの転送のやつだ!と思う。多分逆でCTが元ネタ。しかし、分析で2000年前に死んだ人の病名まで分かるのは恐ろしい。変な死に方はできない。

印象に残ったのはミイラの棺に刻まれた絵だ。胴体にびっしりとカラフルに描かれていて、漫画のコマ割りのようだ。死者の生前の人生とかが物語のように表現されている。神々がデフォルメされたキャラのようで可愛らしい。碑文のことをテスラというらしく、絵や象形文字みたいなのが刻まれている。死後の世界でもビールと肉が永久に供給されるとか書いてある。

 

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f:id:ngcmw93:20220425172041j:image中華街の南京町で軽く食べ歩きをする。すごい人出だった。快晴で真夏のような暑さ。一番空いてる屋台で適当に食べた小籠包が旨かった。

喫煙可の純喫茶に入る。「しゅみ」という名前だった。「須彌」と書くらしい。常連ぽい人がマスターに今年の阪神に喝だ!と話しててとても良かった。この時点で3勝17敗という歴史的負けっぷりである。薄暗い喫茶店から道ゆく人々を眺めるのは良い昼下がりの過ごし方だ。2時間くらい文庫本を読んだ。

 

夕方、ポートライナー神戸空港へ。途中の駅名に「計算科学センター(神戸どうぶつ王国「富岳」前)」とあって、確かに理化学研究所はあるが富岳って駅名にもなるんだ、と思う。

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f:id:ngcmw93:20220425172532j:image18:40神戸発→19:50新潟着のFDAに乗って無事到着。3月に就航したばかりの新航路で、これに乗れたのは運が良かった。早く予約したので安かったし。上空から衝撃的にデカい月が見えた。機内が反射してどうにも上手く撮れない。どうやらこの日が満月だったらしい。

 

f:id:ngcmw93:20220422123349j:imageこの日の移動ログ。総移動距離は683キロを超えた。ほとんどが帰りの飛行機だけど。船、バス、モノレール、飛行機と乗り継ぐのはなかなか楽しかった。春の瀬戸内海の気候は過ごしやすくて快適。

f:id:ngcmw93:20220430070420j:image行きと帰りで別の手段を使って旅行するのは飽きがこなくて良かったし、体力的にも4日間の旅行はちょうどいい。かなり満足度の高い旅だった。やはり島を訪れるのが好きだなと思う。またお金を貯めて、今度は夏の北海道へ行きたい。

 

四国旅行記②


○ 3日目

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f:id:ngcmw93:20220418215026j:image朝早く目が覚め、地方ニュースを観るなどする。当たり前だが四国の天気予報をやってて良い。旅先にいることを実感する。新聞を読んだら瀬戸内トリエンナーレとかいう芸術祭が開会したとある。全く知らなかった。直島や犬島、豊島など共にこれから向かう小豆島も会場になっていた。運が良ければなんか展示が観れるかもしれない。

ドトールで朝飯を食う。仕事帰りに2日に一度のペースで行ってるのに、どうして旅先でもドトールを選んでしまうのか。しかしこの「いつものコーヒー」の味がどうしようもなく落ち着くのだった。俺はチェーン店でリズムを保つ資本主義に毒された人間…。

 

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f:id:ngcmw93:20220424160324j:image朝の街を散策する。高松市の印象は富山市に似ていると感じた。コンパクトで、街独自の交通手段(琴電の電車とバス)があって便利だったり、城下町で、区画が碁盤の目のように綺麗なところなど。

 

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f:id:ngcmw93:20220418215702j:image香川県は至るところにうどんの意匠がある。wi-fiからホテルの壁紙、フェリーの座席まで。ナチュラルに狂っている。さすが「うどん県」を名乗るだけある。街を歩けばうどん屋がいくつもある。

 

f:id:ngcmw93:20220419195600j:imageライブハウス兼CDショップのToo Niceを見つけた。自分のバンドが参加したCDも置いてくれてるらしいが、営業時間に合わず残念。自分が関わった音源がこんなに離れた場所で売られていると思うと嬉しい。ちゃんと売れてるのかはわからないが。

 

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f:id:ngcmw93:20220424152619j:image香川県庁へ。古い方の東館は丹下健三による名建築として評価されてるらしい。確かに無機質でかっこいい建物だった。1階にパネルの展示や模型もあって良い。古いばかりで何の特徴もない某県庁とは大違いだ。

県庁の裏にうどんの有名店「さか枝うどん本店」があるので行ったが休業日だった。徒歩で港の方へ向かう。

 

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f:id:ngcmw93:20220418215910j:imageサンポートという施設にある高松シンボルタワーに登る。無料で高松市街地を一望できる。屋島もよく見えた。思った以上に台形で驚く。港を出て瀬戸内海の島々へ向かう船が、波を立てて進んでいく様子が美しい。

 

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f:id:ngcmw93:20220424160512j:imageいよいよ小豆島へ向かう。高速船もあったがフェリーでのんびり向かう。片道700円。近くに他の島へ向かう船があったが、楳図かずおデザインなのか?って配色でウケた。

 

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f:id:ngcmw93:20220424160805j:image船内はとても綺麗だった。コンセントも使える。そしてヤドンまみれだった。これでもか、と言わんばかり全部がヤドン。さっきはヤドンのバスも見たし、街中ヤドンに侵食されてる。何故だ。そして船旅には最高のおやつが必要だ。

 

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f:id:ngcmw93:20220424161118j:image1時間で小豆島の土庄港に着く。素晴らしい景色だった。瀬戸内海の島々が途切れることなく重なって見える。日本海と違って穏やかで、陽射しが常に明るい。おばあちゃんの家とかが瀬戸内海にあって、毎年夏休みはそこで過ごせたらなあ、と妄想する。港には芸術祭のチケットを売ってる施設があり、ひとつ展示があった。世界最大の3Dプリンターで作った、とある。コシノジュンコのデザインコンセプトを表現したと解説がある。芸術祭のポスターはイケてるおじいちゃんが主役。あと「からかい上手の高木さん」の作者が小豆島出身らしく、その展示もあった。

 

f:id:ngcmw93:20220424161240j:image小豆島の地図。島は錨を逆さにしたような形だ。土庄町と小豆島町の2町がある。どの街も基本海に面している。自分は土庄港へ上陸して観光しながら東へ移動、小豆島町の坂手に泊まり、翌朝坂手港から出発するという予定。

 

f:id:ngcmw93:20220424161338j:imageオリーブ素麺を食べた。割としっかりオリーブを感じられて美味い。お土産にも買った。この二日間、麺ばかり食べている。

 

路線バスで島の中心地へ移動。傘形の帽子を被った白装束の人々が歩いているのが目につく。小豆島にもお遍路参りがあるのか。鈴の音が賑やかだ。自分が訪れた翌日が町議会選挙だったらしく、そこらじゅうで選挙カーが走っていた。

小豆島は島といえどそれなりに街があって、コンビニやスーパーは普通にある。ジョイフルとかファミレスもある。ガソリンはやはり高い。レギュラー175円とか。県道沿いに醤油工場が多い。あとオリーブの木がそこらじゅうに生えてる。


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f:id:ngcmw93:20220424161602j:image世界一狭い海峡の土渕海峡へ。用水路に橋がかかってるだけに見えるが実は海峡で、小豆島はここで分かれる2つの島らしい。幅は9.93m。一瞬で渡れる。こういった地理上の面白い地点を観察するのは楽しい。意味の無い趣味が一番追求するやりがいがある。周辺を散策すると、芸術祭目当てなのか観光客がちらほらいる。それ以外の人通りはほぼ無い。地図を眺める。島には土庄(とのしょう)、竹生(たこう)、苗羽(のうま)など面白い地名が多い。

 

f:id:ngcmw93:20220424161849j:image島の東側へ移動するため、またバスに乗る。ボーっと車窓を眺めていたら、なかなか目的地に着かないことに気付く。グーグルマップを開くと、思っていたのと違う道を走っているではないか。バス路線を勘違いしていたのだった。すぐに次の停留所で降りるが、何もない集落だった。ホトトギスが鳴きまくっている。引き返してバスを乗り継いでも1時間以上かかることが判明し、諦めてタクシーを呼ぶ。バス停の名前を伝えると10分で来てくれた。痛い出費だが仕方ない。

伊豆大島でも経験したけど、タクシー運転手と話すと島知識が増えて楽しい。新潟から来たと言うと、そりゃ遠いとこから、佐渡ヶ島には及びませんがこの島は日本で19番目に大きい島で…と解説が始まり、小豆島情報をたくさん聞けた。途中、寒霞渓へ行けるロープウェイ乗り場へ至る道があった。運転手はブラタモリタモリさんも来た、地層の話をしていった、この島の一番高いところは817mで…とひっきりなしに島情報を喋ってくれる。

行き先の醤油醸造所の話になると、いきなり指を四本立てて見せられる。これの意味分かります?と聞かれ製造場が四軒ってことですかと答えると違う、という。じゃあ40?と答えると誇らしげに昔は400軒ありましてな、と言われ驚く。島に400軒…そんなにあって経営成り立つのだろうか?

 

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f:id:ngcmw93:20220425171142j:image醤油醸造所で樽を眺めたり、醸造中の醤油の香りを嗅いだりした。周辺一帯で常に醤油の香りがしているのだが、ボタンを押すと強烈に濃い香りがする。

 

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f:id:ngcmw93:20220425171314j:imageマルキン醤油記念館を見学する。明治40年創業。450円くらいの入場料を払うと醤油を貰える。売店で醤油ソフトを食べた。かなり濃厚な醤油で美味い。すぐ溶けるので一気に食べないといけない。工場の一部も見学できたので、700トンの圧をかける圧搾器を眺めた。製鉄所みたいな機械群だった。

 

f:id:ngcmw93:20220425171556j:image明日の朝使う港を確認しに行くと、たぶんフェリーに車を乗り入れる為の橋が上がっていた。人工反り立つ壁だ。周辺に野良猫が何匹かいる。

 

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f:id:ngcmw93:20220425171722j:image宿に到着する。この日はゲストハウス。主人曰く他に客はもうひとりだけなのでドミトリーを一人で使ってよいとのこと。日本地図と世界地図があり、出身地をシールで貼ってくれと言われる。新潟から来た先人は3人いた。中国やアメリカ、メキシコなどから来た形跡もあった。自由帳があり、滞在した人たちがメッセージを書き残している。ちらほら英語もあった。直島とセットで来た人も多いようだ。元従業員の書き込みもあり、この宿で住み込みバイトをした後移住してきたらしい。


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f:id:ngcmw93:20220425171805j:imageしばらく休んだ後、港近くのクラフトビールが飲める屋台へ行く。この街で遅くまでやっている店はここだけのようだ。大阪から移住してきたという店長がひとりでやってた。自分の他には東京から来た観光客カップルと、地元のおじさんがひとり。店長が「ビール切れたから樽取ってくる」と不在の間、地元のおじさんが好きにビールを注いだり、料理を出したりしていて良かった。今晩の宿を聞かれたので答えると、もうひとりの宿泊客もウチに飲みに来たらいいなあと言う。

地元おじさんが面白く、MCとして場を回していた。みんなすぐに打ち解ける。島の方言の話題になった。櫓を「背負う」とは言わず、「かぐ」と言うとか、小豆島の発音も「しょ」にアクセントがくるとか。

あとは太鼓祭りの話で盛り上がる。毎年10月、大規模な祭りがある。法被を着た人々がデカい櫓を担ぎ、派手に街を練り歩く。怪我人が出るほど激しく、祭りの為の保険があるらしい。「男になれる祭りだ」とおじさんは笑った。

集落ごとに祭りの仕様も違うそうだ。ある集落の祭りでは、沖合から港へ船が乗り込んできて、船上で踊り狂う獅子舞が祭りの開始を告げるらしい。超カッコよい登場の仕方だ。ビジュアルが格好良すぎる、あれには勝たれへん、とおじさんは豪快に笑っていた。旅先で現地の人々と喋るのはやはり面白い。特に土地の話、祭りという民俗の話を地元の人から聞けて満足した。千鳥足で宿へ戻る。

f:id:ngcmw93:20220425171829j:image帰り際、「いい満月が見えるぞ」と言われたが本当にいい月だった。街灯よりよっぽど明るい。やはり島はこうでないと。

宿に帰って歯を磨いていると、もう一人の宿泊客がやってきた。軽く挨拶する。さっき行った店をおすすめしようかと思っているうちに外出してしまった。2時間後、自分が寝支度をするころに帰ってきて、案の定クラフトビール屋台に行ったらしく「同じ宿から入れ替わりでまた客が来た!と盛り上がりました」と言ってて愉快だった。

 

 

四国旅行記①

 

寝台特急で四国を訪れた2泊4日の記録。

行き先は高松、小豆島、神戸。

 

○ 1日目

f:id:ngcmw93:20220422183959j:image仕事終わり、上越新幹線に飛び乗る。20時過ぎに東京駅23番線ホームへ到着。新幹線で飲むビールはなぜこうも美味いんだろうか。頭の中で旅程を確かめながら東京駅を歩き回る。本屋や土産物屋で時間を潰す。

 

f:id:ngcmw93:20220421181015j:image21:30頃、寝台特急サンライズ瀬戸」がホームに入線。先頭まで行って列車の顔を見た。特急顔だった。

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f:id:ngcmw93:20220421181335j:imageとりあえず無事に乗れたので安心。自分はノビノビ座席を確保したので5号車。意外と空いていて車両に5人しかいない。軽く車内を探検する。カード制のシャワー室や自販機がある。荷物を置き、3号車のラウンジに座って外を眺めた。乗務員が切符を切っていく。21:50発車。

車窓から富士屋の広告ネオンが見えて、映画のロストイントランスレーションみたいだ、と思う。もしくは中村一義キャノンボール』や、マニックスの『Motorcycle Emptiness』のPV。90〜2000年代初頭の東京の感じがツボなのだ。雑然としていて、ひたすらに人が多くて、賑やかなのになんだかくすんで見える街並みが。streamable.com目の前を東海道新幹線が並走し、すぐに追い抜いていった。なかなかいい感じだ。ハニーチーズクリームドッグ(ハチミツ味)を食べつつドトールのふんわりラテを飲むという激甘な間食をとる。近くの席で外国人の集団がシャンパンで乾杯していた。

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f:id:ngcmw93:20220422190039j:imageノビノビ座席は畳1畳半くらいのスペースだ。狭いがなんとか足を伸ばせる。枕元にコンセントがあるかと思ったら無かった。照明と読書灯はあるのに。このため2日目はスマホの充電が残り25%という危機的状況から始まる。

f:id:ngcmw93:20220425163713j:imageノビノビ座席は一番安い席で、他に様々な個室がある。これは一人もしくは二人で利用できる部屋。跳ね上げ式のベッドは乗り心地はわからないが少し怖そう。「MAXとき」みたいに上下に廊下のある二階建ての車両もあった。

23時の車内放送の後、廊下側の照明が少し暗くなる。窓のスライドを下ろすとちょうどよい暗さになった。しばらく眠る。

ふと目を覚ます。午前3時20分。いまどこに居るんだろう。グーグルマップを起動したら米原だった。琵琶湖が見えるかもしれない。窓の外をしばらく眺めたが、時々通り過ぎる駅のホームしか明かりはない。知らない場所にいる心細さが、なんともいえず良い。気付いたら車内は混んでいて両側のスペースにも人が寝ていた。途中の駅で乗り込んだらしい。

 


○  2日目

6時頃、岡山駅着の予告放送が流れた。ここで列車の切り離し作業がある。1〜7号車が高松行きのサンライズ瀬戸で、8〜14号車がサンライズ出雲


岡山の次の児島駅JR四国の乗務員に交代しました、と放送が入る。

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f:id:ngcmw93:20220421181813j:image続けて瀬戸大橋の説明。6つの橋の総延長は13.1キロ。サンライズ瀬戸は7分間かけて渡るらしい。曇り空だったが、通り過ぎる瀬戸内海の島々が見えていい感じだ。

 

f:id:ngcmw93:20220421181901j:image7:26、高松駅に到着。四国に初上陸した。小雨が降っている。

向かいのホームには松山行きの「特急いしづき」が停車していた。エスカレーターで全員右側に立っていて、ああ西日本だ、と実感する。とりあえず体勢を整えるためにスタバに入り充電する。ラジオ体操をする建設作業員や、ホームを掃き掃除する駅員をボーっと眺めた。いい時間だ。

 

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f:id:ngcmw93:20220425164328j:image天気予報では9時以降は降らない予報。「ことでん」に乗り琴電琴平へ向かう。高松築港駅高松城跡の真横にあり、石垣に沿って車両が入ってくるのが面白い。

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f:id:ngcmw93:20220422191105j:image琴電はマスコットキャラの「ことちゃん」がかわいい。琴電の駅はもちろん、街中いたるところにいた。表情豊かでいろんなデザインがある。

 

1時間ほど琴電に乗り、終点の琴電琴平駅へ。ここから徒歩で金刀比羅宮を目指す。修学旅行生の大群に巻き込まれる。かなり急な階段を数百段登る。中学生がくたびれてるくらいなので、大人たちは時々ある茶屋やベンチで休み休み登らなくてはならない。軽い登山だ。

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f:id:ngcmw93:20220425165555j:image途中、優しそうな白馬が二頭いた。月琴号とはかっこいい名だ。馬小屋の隣には謎のプロペラが奉納されてる。

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f:id:ngcmw93:20220425165806j:imageなんとか本殿に辿り着き、お参りをしてすぐ下山。濃い霧が出ている。

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f:id:ngcmw93:20220425170047j:image土産物屋街を歩く。陸軍中野学校は知ってたが中野うどん学校は知らなかった。しかもA館B館の2校ある。その場で自分でうどんを打って食べれるらしい。近くの売店で和三盆ソフトを食べた。すごくインスタ映えなやつが出てきて困る。美味かった。付近にかなり怪しい雰囲気の喫茶店があった。この照明で営業してるのだろうか。

 

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f:id:ngcmw93:20220424151432j:image琴電に乗り移動。さぬきうどん上原屋本店で昼飯を食べる。ついに初の本番うどん。もう、感動する美味さだった。コシが強い。高野豆腐揚げが美味しすぎて声が出そうになった。凄い量の出汁が染みてる。

 

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f:id:ngcmw93:20220424151645j:image栗林(りつりん)公園を見学する。広大な庭園で、軽く見て回るのに1時間かかった。

公園の一角に香川うどんの解説がある。平成10年の調査で、香川県民が一年間に食べるうどんの量は男性310玉とある。生産量・消費量ともにずば抜けた一位らしい。当たり前のように毎日うどんを食べるとは。しかしこれだけ美味ければ主食でもいいかも。

また琴電に乗っていたら、瓦町駅くるりの「コトコトことでん」のメロディーが流れた。2018年から発車のチャイムとして使われてるらしい。確か名曲「赤い電車」もどこかの駅で使われてたはず。電車おたくバンドだ。

 

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f:id:ngcmw93:20220424151918j:image宿にチェックインしてから街を散策する。この日見つけた良い看板と像。なんかヤドンのポストもあった。商店街の外れの方に、高松城の外堀跡の旧跡があった。現在残っている城跡から数キロは離れており、その広大さが伺える。


夕飯を決めてなかったので適当なラーメン屋に入ったらまさかの二郎系だった。訳もわからずライスも付けて完食した。肉と脂の暴力。なぜ香川まで来て二郎を食ったのか謎。軽くダメージを受け、すぐ寝た。